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「口」の追求8 /44

 今回は第42回に少し取り上げた「口」と「ナ」の関係をさらに深く追求します。

1. 「丈」と「史」の追求

 まず、辞書の解説から入ります。

「丈」 字義:たけ
    解字:会意形声。意符の又(=手。もと、右手の親指と、他の四本の指を合わせたものを広げ、跨状をなして測り、一尺を示した)と、意符と音符を兼ねる十(十度する意)とから成る。尺の形を十度する、十尺の意。
「史」 字義:ふみ。ふびと。
    解字:会意。意符の??(手)と、意符の??(数取りの棒)とから成る。手で暦を数える意。のち、書くこと、読むことの意に用いる。


 両者のために、これまでの解読を整理し、独自に解釈を進めます。

|+ノ」(左はね縦棒)=「|」+「ノ」:=真直ぐ落ちるもの+特別な=>くそ=>垂れ落ちるもの=>垂れ下がるもの=>紐=>ころも (第16回、第34回参照)
丈-一」=「|+ノ」(左はね縦棒)+「ヽ」:=ころも+特別な=>衣の特徴(属性)=>衣のたけ
」=「一」+「|+ノ」:=からだ+垂れ下がるもの=>体から垂れ下がるもの=>ころも

」=「丈-一」+「一」:=衣のたけ+からだ=>からだの衣丈=>衣の丈=>身丈=>丈のあるもの(背の高いもの)=>身丈のある棒=>武器の棒=>丈夫なもの

」=「丈-一」+「口」:=衣の丈+女=>女の衣たけ=>(多少の計算を必要とする)女の衣丈を計る仕事=>読み書きに仕えるもの=>ふびと=>ふみ

 「丈」は「女以外の衣の丈」が元の意味で主に男の身丈であり、これに対する「女の衣の丈」が「史」です。ここでも「一」と「口」が対応しています。

 「丈」の三画目や「史」の五画目の頭に鍵の付いた形が旧字体としてありますが、時代の途中で付加された修飾のようです。
 ちなみに『康煕字典』の「丈」の親字には鍵が付いていますが「一」ノ部二画で、全体が三角なのは変わりません。

 「丈」と「史-ヽ」には参考までに次の解読も成立しますが、上記の方が正統です。

」=「ナ」+「ヽ」:=ころも+特別な=>衣の特徴=>衣の丈=>身丈=>丈のあるもの(背の高いもの)=>身丈のある棒=>武器の棒=>丈夫なもの
史-ヽ」=「口」+「|+ノ>」(左はね縦棒):=おんな+ころも=>女の衣


「丈」の展開を見てみましょう。

」=「イ」+「丈」:=男の仕事+武器の棒=>武器の棒を作る仕事=>武器
」=「木」+「丈」:=き+たけ=>身丈を支える棒=>つえ
」=「丈」+「子」:=衣丈+子供=>子供の身丈布=>子供の衣丈がある=>ある
」=「丈」+「土」:=衣丈+おとこ=>人の身丈布=>人の衣丈がある=>ある

 「存」も「在」も「丈」が偏となっておらず、かなり早い時代に出来た文字であると思われます。
 初期の時代の文字の創造にはまだ偏や旁が特に定まっておらず、「存」や「在」のように個々の意味を組み合わせて字形を自由に構成してるので、単純で類型のない文字は解読が困難になってきます。

 前々回検討した「有:=衣を着けた体=>衣のある体=>ある」と統合すると、衣が出回る時代に「ある/なし」の感覚が発達したと考えられます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「仗」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の丈(長い棒の意=杖)とから成る。人が手に持つ長い棒の意。
「杖」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の丈(寄りかかる意=仗)とから成る。歩行のとき寄りかかるために持つ棒、つえの意。
「存」 解字:形声。意符の才(土が積もって川がふさがる意)と、音符の子(ふさぐ意=塞)とから成る。土砂が積もって川がふさがる意。「在」 解字:会意形声。意符の土(つち)と、意符と音符を兼ねる才(川が土砂でふさがった形)とから成る。土がたまってふさがる意。

 「仗」と「杖」の説明は、オックスフォード辞書を編纂するとき回避を目標としたと伝えられるループ解説「岩:=大きな石」「石:=小さい岩」を思い出します。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2. 「吏」の追求

 まず、辞書の解説です。「使」もついでに挙げます。

「吏」 字義:つかさ
    解字:会意形声。意符の??(仕事の意)と、意符と音符を兼ねる??(立ち木の枝で作った小旗をつける柱)とから成る。仕事をする小役人の意。史・事に同じ。
「使」 字義:つかう
    解字:会意形声。意符の人(ひと)と、意符と音符を兼ねる吏(事に同じ。仕事をする意)とから成る。人のために仕事をする人。使われる人の意。ひいて、「つかう」意にもちいる。

 「吏」を解読するに先立ち時代の流れに合わせて「同-冂」の意味を少し追加します。(第41回参照)

同-冂」=「一」+「口」:=からだ+女=>女の体=>成人した女=>独立したひと=>あるじ
」=「一+口」+「丈-一」=>あるじ+衣の丈=>主の衣丈>特別な衣丈を計る仕事=>使用人頭=>小役人
使」=「イ」+「吏」:=男の仕事+衣丈を計る仕事=>身丈を計る男=>雑用に使う男=>使う男>つかう

 「吏-ヽ」には参考までに次の解読も成立しますが、上記の方が正統です。
吏-ヽ」=「一+口」+「|+ノ>」(左はね縦棒):=おんなの体+ころも=>女の衣



3. 「更」の追求

まず、辞書の内容を確認します。

「更」 字義:かわる。かえる。
    解字:なし(「丙+攴」の字の解説)

 「画-凵」から解読を始めます。「更」は二つの意味の流れが読み取れます。

画-凵」=「由」+「一」:=上に伸びるもの+からだ=>上に伸びた体=>妊娠した女=>妊婦(第35回参照)
」=「画-凵」+「丈-一」:=妊婦+衣の身丈=>妊婦の衣丈=>作り変える衣=>新しくする=>ぬりかえる=>かえる
」=「画-凵」+「丈-一」:=妊婦+衣の身丈=>妊婦の衣丈=>作り変える衣(更新されるもの)=>かたい布地の衣=>次第にかたくなるもの=>かたい

 初期の妊婦の衣は、胴回りを広くするばかりでなく、危険を避けるために普段よりかたい布地を利用した護身用と考えられます。

 次第にかたく変わってゆくものとしては、草の芽、木の小枝、甲虫類の脱皮する殻などたくさん見つかります。

 「更-ヽ」には参考までに次の解読も成立しますが、上記の方が正統です。
更-ヽ」=「一+由」+「|+ノ>」(左はね縦棒):=妊婦+ころも=>妊婦の衣


 以下「更」の展開です。

便」=「イ」+「更」:=男の仕事+ぬりかえる=>次々に新しくする仕事=>便りを送る仕事=>びん
」=「木」+「更」:=き+かたい=>かたくなる木=>やまにれ
」=「石」+「更」:=いし+かたい=>かたくなった石=>かたい
」=「糸」+「更」:=いと+かたい(取り変わる)=>かたい(取り替える)いと=>つるべ縄
」=「骨」+「更」:=ほね+取り変わる=>取り変わる骨=>永久歯=>硬い骨=>のどにつかえる骨=>のどに刺さる骨

 「硬」は『康煕字典』にはありますが『設文解字』にはありません。
 「骾」には「永久歯」の意味がると思われますが、『設文解字』の時代には既に「のどに刺さる硬い骨」の意味です。「喉」の意味が永久歯から来ていると思われます。


 「稉」に関する検討を参考までに追加します。

」=「禾」+「更」:=粟+取り変わる=>取り替わる粟=>粟に取り変わるもの=>うるち(米)
 「稉米」(うるちまい)は現在われわれの食べる一般的な「米」のことです。正確には『設文解字』の解説で「米」とは「粟の実」となっています。また、『設文解字』に「稉」はありません。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「便」 解字:なし(「イ+丙+攴」の解説)
「梗」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の更(かたい意=剛)とから成る。意。
「硬」 解字:形声。意符の()と、音符の(意=)とから成る。意。=「石」+「更」:=いし+取り替える=>取り替える(石臼の)石=>かたい石=>かたい
「綆」 解字:形声。意符の糸(なわ)と、音符の更(丈夫の意=剛)とから成る。深い井戸水をくみ上げる丈夫な縄、「つるべなわ」の意。
「骾」 解字:形声。意符の骨(ほね)と、音符の更(つかえる意=梗)とから成る。骨がのどにつかえる意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****


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テーマ:漢字 - ジャンル:学問・文化・芸術

【2007/01/03 00:13】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
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