象形文字の秘密
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「凵」の追求3 /35

今回は「凵」の字です。

 1.前々回「冂+|」の回転型で「山」を説明した時つい勢い余って「凵」まで話を進めました。今回は「冂」の回転型で残っている「凵」を中心に検討します。

「凵」の仲間の「艸-屮」、「屮」、「艸」、「屯」も一緒に辞書の意味を見ておきましょう。

「凵」 部首解説:(カンニョウ)これをもとにしてできている文字はすくなく、おもに文字整理の上から設けられた部首。文字構成の上からは、容器の形や、くぼんでいるさまを示している。「うけばこ」ともいう。
    字義:口を開いたさま。
    解字:象形。容器類が上に向かって口を開いているさまにかたどる。
「艸-屮」部首解説:これを部首にして、草やその芽生えに関する意を表わす文字ができているが、数はきわめて少ない大部分は艸の形になって「くさかんむり」の部首に属している。
    字義:め。めばえ。 
    解字:象形。一本の草が地を突き破って生えたさまに象る。
「屮」 字義:ひだりて。
    解字:象形。左手を突き出している形にかたどる。
「艸」 部首解説:これを部首にして草花の種類・状態などに関する意を表わす文字ができている。
    字義:くさ。
    解字:会意。意符の「艸-屮」を二つ並べた形から成る。草が並びはえている意。

「屯」 字義:たむろす
    解字:指示。草(艸-屮)が地(一)を突き出ようとして伸び悩むさまを示す。悩み苦しむ意。

「凵」と「艸-屮」が独立した別の部首となっている点に気をつけてください。


」=「一」+「||」:=体+二本足=>立っている体=>立っているもの=>とびだすもの/下に欠込むもの=>飛出した形/欠込む形=>ものの形/ものの型=>輪郭=>きょうかい

 「コ」には「ハイハイするもの(=横を向く口)」の意味がありました。辞書の中に「凵」が部首解説で「うけばこ」の意、その意味に「口を開いたさま」があり、一緒にすると「上を向く口」が出てきます。

 今度は「凵」に関する「艸-屮」と「屯-ノ」の二つの字を書き並べてよく見てください。「凵」に各々「|」と「L」が組み合わさっています。すでに解読した内容「|:=男」「L:=女」の対の両者があるということは「凵」がオスとメスの対を意識した動物であるはずです。

以上を統合すると「凵」の意味として「お座りして上に口を向けた犬」が浮かんできます。
」=「冂」の逆転:=上に欠込むもの=>欠け込むも形=>上を向く口(口をあけたさま)=>いぬ(けもの)

 意味の流れから時代的には「上に欠け込む」意味の「山」の認識の方が早く、その後「イヌ」が人の友達となったと考えられます。

 実際の字で確認を採りましょう。
艸-屮」=「凵+|」:=いぬ+棒=>犬のペニス=>オス犬
屯-ノ」=「凵+L」:=いぬ+女の徳=>子を産む犬=>メス犬
」=「ノ」+「凵+L」:=特別な+メス犬=>メス犬の特性=>同種で寄合うメス犬=>均一の集まり(純血なもの/純粋のもの)=>たむろす

」=「糸」+「屯」:=いと+均一なもの=>均一な糸=>きぬ/きぬいと
」=「金」+「屯」:=金+均一なもの=>均一の金属=>単一金属の刀=>切れ味のにぶいもの=>にぶいもの=>にぶい
」=「氵」+「屯」:=水+たむろす=>寄り集る水=>流れない水=>よどんだもの=>よどむ

 注:易経には「たむろす」意味の「水雷屯」の卦があり、易経のできた周時代(B.C.770年~B.C.22年)にはすでに「屯」に「たむろす」意味が有ったと思われます。しかし「屯」を持つ「沌」は説文解字(A.D.100年頃)に載っていません。

 強くてよく切れた銅と錫の合金である青銅器の時代(始まりは紀元前2000年頃)に「鈍」の字が生まれたようです。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「純」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の屯(優れて立派な混じりけのない意=淳)とから成る。りっぱで美しい絹糸の意。ひいて、混じりけのない意に用いる。
「鈍」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の屯(にぶくなる意)とから成る。刀が鈍ってよく切れない、「にぶい」の意。
「沌」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の屯(ゆきなやむ意)とから成る。水が思うように流れない意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

 上の3例は、辞書の解字の典型例を示しています。音符であるはずの「屯」に全て意味の由来を持たせています。
 しかもその意味が字によって自在に変わっており一貫していません。この時代では最早正確に文字の由来を辿ることは不可能だったとも考えられます。

 文字の意味を書き残す手段が発達していなかった長い原始の時代には「各文字の形と意味」だけが伝えられた可能性が高く、たとえ焚書坑儒がなくて文字に関する古代の書が存在したとしても「艸-屮」や「屯-ノ」の元の由来まで正しく伝えられていたか疑問です。



2.続いて「屮」の検討です。

」=「凵」+「|+ノ」:=犬+垂れ下がるもの=>犬に垂れ下がるもの=>尻尾=>うしろ=>?=>ひだりて
」=「屮」+「艸-屮」:=尻尾+犬のペニス=>先の尖ったものたち=>くさ

 「屮」は動物の尻尾(=>うしろ)の意味ですが、脈略なく「ひだりて」の意味に変化しており、最早たどることができません。
 「艸」は現在クサカンムリになっています。クサカンムリは別に検討する予定です。

 遡る時代が古くなり解読の確認の例を探すのが困難になってきました。「屮」の展開である「逆」の字で確認したいのですが、少し遠回りをする必要があります。

 「前」の字に注目してください。
「前」=「ソ+一」+「月」+「刂」:=「ソ+一」+体+刀=>「ソ+一」+切った体=>切った体の「ソ+一」/「ソ+一」の切った体=>まえ

 分かっている付随的な意味を取り除くと「ソ+一」だけで「まえ」の意味があることが分かります。したがって次の解読が可能です。
前-月-刂」=「ソ+一」:=まえ
」=「ソ+一」+「月+刂」:=まえ+切った体=>切った体の前=>まえの肉=>まえ
」=「ソ+一」+「屮」:=まえ+うしろ=>まえうしろ=>ぜんご=>はんたい=>もどる
」=「辶」+「屰」:=あし+まえうしろ=>前後する足=>常に逆になるもの=>ぎゃくのもの=>ぎゃく

 正確には「屰」は最初それだけで「ぎゃく」の意味があったのが、次第に「後に戻る」意味になってゆき、改めて「辶」を付けた「逆」で「ぎゃく」の意味を表したと考えられます。

 ついでにその辺りの「逆-辶」の展開も処理しておきましょう。

」=「屰」+「月」:=後へ戻る+つき=>日時(月)を戻る=>月の始めに戻る=>始めに戻る=>ついたち
」=「朔」+「辶」:=日時を戻る+あし=>過去の日に戻る=>さかのぼる
」=「朔」+「土」:=始めに戻る+つち=>形が戻る土=>ねんど=>粘土で作られた人形=>でく


画-凵」=「一」+「由」:=体+上に伸びるもの=>上に伸びる体=>妊娠した体=>はらむ
」=「画-凵」+「凵」:=はらむ+いぬ=>はらんだ犬=>気の立ったもの=>隔離する=>くぎる


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「前」 解字:形声。意符の刀(かたな)と、音符の「前-刂」(そろえる意)とから成る。刀で切りそろえる意。借りて、「まえ」の意に用いる。
「屰」(ぎゃく) 解字:象形。木の葉が枯れて落ちて、葉だけが尖って、交錯する形にかたどる。相手を正そうとして争う意。転じて、隔て妨げる、反撃などの意に用いる。
「逆」 解字:形声。意符の「足-口+彡」(ゆく)と、音符の「逆-辶」(むかえる意=迎)とから成る。行って出迎える意。ひいて、「あらかじめ」の意に、借りて「さからう」の意に用いる。
「朔」 解字:形声。意符の月(つき)と、音符の「逆-辶」(白い明るさの意)とから成る。月が白い明るさを取戻すころ、「ついたち」の意。
「溯」(遡) 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の「逆-辶」(はばむ意=阻)とから成る。川を流れに阻まれながら進む、「さかのぼる」意。
「塑」 解字:形声。意符の土(つち)と、音符の「逆-辶」(かたどる意=相)とから成る。土で作る人形の意。
 注:説文解字にも康熙字典も「遡」はありますが、「溯」と「塑」は共にどちらにもありません。
「画-凵」 解字:なし
「画」 解字:なし(旧字「畫」の解字)。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3.「凵」の別の意味。

「凵」は二つの意味の流れがあるようで、今度は前とは逆に飛出した方の意味です。
」=「冂」の逆転:=下に飛出すもの=>垂れ下がる形=>垂れ下がるもの

 この字の展開を見てゆきましょう。
廿」=「凵」+「一」:=下に飛び出すもの+体の一部=>下に垂れ下がる部分=>乳房=>?=>にじゅう
」=「廿」+「丶」:=乳房+特別な=>乳=>あまい
」=「廿」+「L」:=乳房+女の徳=>乳房を持つ女=>乳房の張る期間=>ひとの支配期間=>一世代=>よ
」=「艸」+「世」+「木」:=くさ+一世代+木=>草と木の一世代=>芽を出してから散り落ちるまでの葉=>はっぱ

 「廿」の現代の意味「にじゅう」とは最早繋がりません。「にじゅう」はいかにも後付け追加の感がします。

 現代では強烈な甘味が開発されていますが、自然環境の味覚では母乳は甘いとされています。また、一世代は東洋でも西洋でも30年を意味し、これは当時の一人の女の支配する平均的な寿命であったようです。


 「冂」の展開の最後は「冂」の展開ばかりからできている「帯」で〆ましょう。

「帯」の冠は「廿」+「廿」の横融合型です。したがって次のようになります。

」=「廿」+「廿」+「冖」+「巾」:=両乳+覆う+おさえる=>両乳に被せておさえるもの=>乳当て(ブラジャー)=>おび

 「帯-冠」の「冖+巾」の意味が「覆って押さえるもの」であり、後代の「冠を着けた指揮者」の意味より基本の意味に近いので、かなり古い時代にできた文字であると考えられます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「廿」 解字:会意。意符の「十」二つからなる二十の意。
「甘」 解字:象形指示。口の中に一画を書いて、物を口の中に入れて,含み味わうさまにかたどる。口中に物を含む意。ひいて、「うまい」「あまい」意に用いる。
「世」 解字:なし(旧字「丗」の解字)。
「葉」 解字:会意形声。意符の艸(くさ)と、意符と音符を兼ねる「蝶-虫」(うすい木札の意)とから成る。薄い木札のような草の部分、「は」の意。
「帯」 解字:なし(旧字「帶」の解説)。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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テーマ:漢字 - ジャンル:学問・文化・芸術

【2006/10/28 01:04】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(1) |
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【2006/11/03 14:43】 | #[ 編集]

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