象形文字の秘密
漢字の解読

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「冂」の追求 /31

1. 今回は「冂」の追求です。まず辞書の内容から入りましょう。

「冂」 部首解説:これをもとにしてできている文字はすくなく、おもに文字整理の上から設けられた部首。
    字義:さかい。
    解字:象形。はるかかなたにある境界のさまにかたどる。

 例によって辞書からの手掛かりがありません。手掛かりを掴むために骨格が同じ文字を集めたいのですが余り見つかりません。

 これまでに得た手持ちの要素を使って解読を試みます。
」=「一」+「||」:=体+二本足=>立っている体=>立っているもの=>とびだすもの=>飛出した形=>ものの形/ものの型=>輪郭=>きょうかい

 この解読を確かめる手掛かりもありません。「冂」の形は漢字解読の大きな溝になって立ちはだかっており、飛び越えるのが大変な溝です。



2. 少し遠回りして同じ骨格でも横を向いた「コ」、そして「L」と結合した「己」を捕まえます。
 困難なことに「コ」は部首にもありませんが、当然「L:=女の徳=>徳」(第19回参照)を利用します。

「己」 字義:わたし。はじめ。  <=女児(女の始まり)
「已」 字義:すでに。      <=歩き出した女児
「包」 字義:つつむ。      <=股間に包まれる女児
「起」 字義:おきる。      <=立ち始める女児
「記」 字義:しるす。      <=話し始める女児
「妃」 字義:きさき。      <=跡取りの女児
「紀」 字義:しるす。いとぐち。 <=糸の始まり
「配」 字義:くばる。      <=酒盛りの始まり


 「己」の中に「ハイハイする女児」の意味が見えてきましたので、以上の字を逆に解読します。
」=「冂」の右90度回転=>横向きの体/横向きの形=>前向きの体/前向きの形=>はいずる体=>ハイハイする体
」=「コ」+「L」+=ハイハイする体+女の徳=>ハイハイする女児=>はいずる体/はじめの体=>はいずる私=>おのれ/はじめ
」=「コ」+「L」+=ハイハイする体+女の徳=>「己」より少し成長した女児=>すでに歩き始めた女児=>すでに歩く体=>すでに
」=「勹」+「己」=>つつむ+ハイハイする女児=>股ぐらの女児=>女児をつつむ=>つつむ
」=「走」+「己」=>ひとの足(走る)+ハイハイする女児=>ヨチヨチ歩き出す女児=>おきる
」=「言」+「己」=>ことば+ハイハイする女児=>片言の女児=>初期の言葉=>ことば=>しるす
」=「女」+「己」=>おんな+ハイハイする女児=>跡取りの女児(長女)=>跡取り=>大切な女=>連れ添う女=>きさき
」=「糸」+「己」=>いと+はじめ=>いとぐち
」=「酉」+「己」=>さけ+はじめ=>酒盛りの始まり=>酒をくばる=>くばる


注:第19回の「土」と第20回の「走」の解読では「土:=男」でしたが、「起」の字に及んで両者に「ひと」の意味を追加更新します。
」=「十」+「一」:=男+体=>男の体=>男/ひと=>座り込む体=>座る所=>地面=>つち
」=「土」+「足-口」:=おとこ+あし=>男の足/ひとの足=>はしる/あるく

 「つつむ」は始め「勹」でしたが、文字が複雑化するにつれ次第に単独では使われなくなり、「己」を加えた「包」が「つつむ」の意味を引き継いだものと思われます。

 「記」の「ことば」から「しるす」までの意味の間には、文字を書き始めた時代から文字を書くことで通達や記録を記すまでの数千年の時間の経過が伺われます。

 「妃」の字は父系社会以降その意味が男社会用の「連れ添う女」に変更されています。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「己」 解字:象形。糸の先端の曲がりくねっている形にかたどる。長い糸の先端の意、かりて「おのれ」の意味に用いる。
「已」 解字:象形。誇大の工作用の木の鋤の曲がった形にかたどる。すきの意。のち已(やめる)などに変化した。
「包」 解字:会意形声。意符の巳(腹の中のまだ形が出来上がらない意)と、意符と音符を兼ねる勹(人が体を曲げてつつむ)とから成る。胎児を腹中に抱えている、身ごもっている意。ひいて、「つつむ」意に用いる。
「起」 解字:形声。意符の走(はしる)と、音符の巳(己は誤り変わった形。止まる意=止)とから成る。走るのを止めて立ち止まる意。ひいて、「たつ」の意に用いる。
「記」 解字:形声。意符の言(ことば)と、音符の己(記す意=識)とから成る。言葉をしるす意、ひいて「しるす」意に用いる。
「妃」 解字:形声。意符の女(おんな)と、音符の己(そう、ならぶ意=配)とから成る。夫に連れ添いならぶ女の意。
「紀」 解字:会意形声。意符の糸(いと)と、意符と音符を兼ね備える己(糸の先端の意)とから成る。糸の先端、いとぐちの意。
「配」 解字:形声。意符の酉(さけ)と、音符の己(意味不明)とから成る。酒の色の意という。かりて、「つれあい」「くばる」などの意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3. 「コ」が「冂」の回転として意味が繋がっているようなので、更に進めてみます。次は「匚」ですが、似た形の「匸」もいっしょに検討します。

「匚」(ハコガマエ) 部首解説:これを部首にして、箱の種類に関する文字ができている。匸(かくしがまえ)とは異なる。
字義:ものを入れる四角の器
解字:象形。ヤナギの枝や竹などを曲げてつくった、方形の枠や箱などの形にかたどる。四角形の入れ物の意。
「匸」 部首解説:(カクシガマエ)これを部首にして、区切る、囲う、隠すなどの意を示す字ができている。匚とは異なる。
    字義:斜めに待ち望み、鋏み隠すものがあるさま。
    解字:象形。両足をそろえて出して体をかがめ、さらに両手をそろえて前に出して、物を覆い隠す形にかたどる。形には諸説あり。


 始に簡明な所から決めてゆきます。これまでの解読から得た知識で「匸」を解読すると次のようになります。
」=「一」+「L」:=からだ+女の徳=>女体の徳=>女の秘めた徳=>隠された徳=>かくす

 「元々隠れている」意味が途中から「隠す」意味に変わっています。注意して辞書を見ると、不思議なことに「匸」を持つ文字は多く「匚」の形での見出し字があり、また、実際「匸」や「匚」の付く字達の旁を比べると、基本的な文字要素を持つ持つ字は全て「匚」にあります(「医」は例外)。

 「亡」の文字が一見「匸」と関係あるように見えますが、「亡」は「亠」を持つ骨格で全く別の仲間です(後述)。

 「匸」の形だけが他と無関係に現れており、「匸」と「匚」の意味も類似しているので、後代の追加型と思われます。そこで「匸」は全て「匚」の変形または仲間の字として考えます。

」=「冂」の左90度回転=>横向きの体/横向きの形=>後向きの体/後向きの形=>物を隠す形=>かくす
」=「匚」+「斤」:=かくす+反抗する職人=>反抗心を隠す職人=>秘めた探求心=>匠の心=>たくみ
」=「匚」+「儿」:=かくす+たれ流す女児=>大切な子供=>けものの子供(逆意)=>ひき
」=「匚」+「王」:=かくす+亀頭=>亀頭を隠す=>情欲をかくす=>行儀をただす=>ただす
」=「匚」+「若」:=かくす+わかい=>若さを隠す(年配に振舞う)=>かくす

 「匹」は途中で意味が逆転しています。母系社会の意味が父系社会になって逆転させられたものと思われます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「匠」 解字:会意。意符の匚(はこ)と、音符の斤(ちょうな)とから成る。道具箱の中に大工道具を装備している意。ひいて、木工の意に用いる。
「匹」 解字:会意。意符の?(二つの布を並べて広げたさま)と、意符の?(一巻き、または、一反の布)とから成る。一説に象形で、馬の尻の形にかたどるという。
「匡」 解字:形声。意符の匚(はこ)と、音符の「|+凵+王」(王は省略の形。ただしい、四角形の意)とから成る。飯を入れる方形の器の意。借りて、「ただす」意に用いる。
「匿」 解字:形声。旧字は意符の匸(体を曲げて腕で挟み隠す形)と、音符の若(置く意=置)とから成る。物を脇の下に挟みおいて、人目に触れなくする、「かくす」意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



4. 「冖」と「宀」の追求です。辞書の意味をまず見てみます。

「冖」(ワカンムリ) 部首解説:これを部首にして、覆い・覆われたものの意を表わす文字ができている。
    字義:おおう
    解字:象形。上から物を覆い、四方に垂れ下がっている形にかたどる。
「宀」(ウカンムリ) 部首解説:これを部首にして、屋根で覆われた家屋の、部分・種類・状態など、住居に関する意味を表わす文字ができている。
    字義:屋根を四方に垂れ寄せ棟の奥深い屋根。
解字:象形。他かい屋根に覆われた家屋の、屋根の形にかたどる。

 象形となっていますが「冖」はこれまでの解読と辞書の解字の内容とから、「冂」の足を短くし高さに比べて上の面積が大きい形へとすぐ連想がつながります。


」=「冂」の高さの低いもの:=かぶせるもの=>おおうもの/覆う布=>おおう
」=「冖」+「与」:=おおう+あたえる=(布を)被せて(字形を)あたえる=>被せて字を学ばせる=>字をうつさせる=>うつす
」=「冖」+「几」:=おおい+指揮する女=>指揮する女の冠=>無用なもの=>むだなもの
冘-L」=「冖+ノ」:=おおい+垂れ下がるもの=>垂れ下がる覆い=>垂れた衣
」=「冖+|+ノ」+「L」:=垂れた衣+女=>女の垂れた衣=>重い衣のひと(サックドレス型?)=>下に引かれる体=>下に引かれる
」=「氵」+「冘」:=みず+下に引かれる=>水で下に引かれる=>しずむ

」=「冖」+「丶」:=おおい+特別な=>特別な覆い=>空の覆い=>いえ
」=「宀」+「女」:=いえ+おんな=>家の中の女=>安全なひと=>安心なこと=>やすい
」=「宀」+「元」:=いえ+二年目の幼女=>家で育てる二年目の幼児=>必ず育つ幼児=>まっとうする
」=「宀」+「子」:=いえ+こども=>同じ家の子供=>同じ仲間=>同類のもの=>同類の字=>もじ


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「写」 解字:形声。意符の宀(いえ)と、音符の「寫-宀」(こちらからあちらへ物を運んで降ろす意=卸)とから成る。こちらの家からあちらの家に物を運び置く意。ひいて、「うつす」意に広く用いる。
「冗」 解字:会意形声。意符の宀(冖は変わった形=家)と、意符と音符を兼ねる儿(几は変わった形。労働のできない柔軟な人の意=)とから成る。もと人が家の中で何もせず、勝手気ままにしている意。ひいて、むだの意に用いる。
「冘」 解字:象形。武器か農具のようなものを持っている形にかたどる。物を担って下に引く力が強い、重い意。
「沈」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の冘(重く垂れ下がる意=耽)とから成る。重くて水中に深く没する、「しずむ」意。

「安」 解字:会意形声。意符の女(おんな)と、ノ(むつき)と意符と音符を兼ねる宀(意家の中でくつろぎ楽しむ意)とから成る。婦人が生理の時にむつきを着けて、家の中に隠れて静かにくつろいでいる意。ひいて、静かに家の中にいる、「やすんじる」意に用いる。
「完」 解字:形声。意符の宀(いえ)と、音符の元(垣根の意=垣)とから成る。家の回りを巡る垣の意。ぐるっと巡らして、欠けた所がないことから、完全の意味に用いる。
「字」 解字:形声。意符の宀(いえ)と、音符の子(出生の意=乳)とから成る。子を産む家、産屋の意。ひいて、やしなう、借りて、「あざな」の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



 以上今回の「冂」の解読は「コ」を最初の手掛かりとし「匚」「冖」「宀」の変形した部首により間接的に検証することが出来ました。


31kokoko.gif

テーマ:漢字 - ジャンル:学問・文化・芸術

【2006/10/02 08:44】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) |
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コメント

 コメント読みました。

 ARCHIVESのSeptemberをクリックしますと、9月のカレンダーがでます。そこで、5日のところをクリックしていただけますと、内容が出ます。

 内容は、私やSachioさんを含めて、字源を扱っている素人が、自分の説に満足して悦にいるだけで済ませないようにということと、漢和辞典の編者などプロに見せて、自分の説を採用してもらおうと呼びかけたものです。

 Sachioさんの説は、はっきり言って理解しがたい部分も少なくないのですが、体系をなしているという点では、私など足元にも寄れないと思っています。

 物理学の世界では、一介の公務員に過ぎない人が、20世紀最大の科学者になったのですから、漢字の字源の世界でも、素人の力をプロに見せつけてやりましょう。

 なお、私のホームページ「和製漢字の辞典」は、書籍化に向けて動き出していますが、字源のブログは、書籍化してやろうという出版社がありません。しかし、自費出版するつもりは、さらさらありません。

 Sachioさんも出版を目指してみてはと思うのですが、いかがですか。
【2006/10/07 10:52】 URL | jitenfeti #vk7Sntis[ 編集]
「勺」に付いてのご指摘ありがとうございました。この字が新字体であること全く見逃しており、この字を手掛かりに解読を進め手しまいました。
 「靮-革」から解読を始めるともっと困難であったと思われます。結果的には、怪我の功名に成った感がします。
 一方「靮-革」の横棒は人の手書きの時流に沿って必然的に「勺」に変化する宿命を負っておりそれが解読に味方したと、勝手に解読に負わされた使命を確認できた幸せに浸っております?
 いずれにしろ、あの部分は解読を再検討する予定です。
【2006/10/14 08:38】 URL | #-[ 編集]

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 このブログは漢字の解読を紹介します。従来、部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。  「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。

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定年後に漢字の解読を研究中
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