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「勹」の解読 /26

 今回は「勹」の解読です。「勹」(ホウ)には似た字「勺」(シャク)があるので、まず辞書の解説から手掛かりを探します。

「勹」 部首解説:これを部首にして、包み込む、抱き込むなどの意を表わす文字ができている。
    字義:つつむ。包むの本字
    解字:象形。人が前かがみになって何かを包むようにている形にかたどる。あるいは人が何かを抱きかかえこむ形にかたどる。つつむ意。
「勺」 字義:象形。瓢箪などを立てに割って、大きな椀のようにした、液体を汲む道具の形にかたどる。杓の原字。ひいて、くみとる道具、ひしゃくの意に用いる。

これでは全く手掛かりが得られないので、文字達に聞くよりありません。「勹」は利用された字が少ないので、比較的に仲間の多い「勺」の字を捕らえます。

「妁」 なこうど。       <=男女をつなぐ
「杓」 ひしゃく。       <=木で(液体に)つながる
「灼」 やく。あぶる。     <=火とつながる
「約」 つづめる。たばねる。 <=糸でつなぐ
「仢」 丸木橋。        <=土地がつながる
「彴」 丸木橋。        <=土地がつながる
「酌」 酒をくむ。       <=酒と(さかずきが)つながる
「釣」 つる。         <=釣りばりで(魚と)つながる
「汋」 うるおう。       <=水とつながる
「靮」 たづな。        <=革でつながる

「勺」からは「つながる」という意味が炙り出されてきます。ただ、下の二つは「勺」の「丶」が「一」になっていますが同じように意味がつながるので、区別が見えてくるまでそのままで進みます。

ここで次のXを考えます。
「勺」=「勹」+「丶」:=X+特別な=>特別なX=>つながる
Xにはこれまでの経験から「我々の体に関すること」、その図形から「二つの要素であること」がヒントです。

 体で「(特別でなく)普通に繋がっている所」とは手か足で、手の繋がっている所は「戸」の字で捕らえることができます。少し横道にそれますが、処理しておきましょう。
」:=「戸」+「月」=>行き来するもの+体=>体で(手の)行き来するところ=>かた

残るは足で、「勹」は「股関節」の意味を持つ可能性が高くなります。
」:=足のつながる所=>股関節
」=「勹」+「丶」:=股関節+特別な=>(神経の)つながった足=>つながったもの=>つながる=>木で(水と)繋がるもの=>ひしゃく

「勹」の展開を見て確認を取りましょう。
」=「勹」+「二」:=足のつながる所+ふたつ=>対の二本の足=>均等に働く足=>そろう
」=「土」+「」:=男+そろう=>そろえた男=>均等に扱う男=>ひとしく扱う=>ひとしい
」=「勹」+「甫」:=足のつながる所+はじめ=>始めのつながった足=>はう。はらばう
「旬」=「勹」+「日」:=つながった足+日=>?=>一連の日(十日)=>一連のもの

「旬」の繋がりが途中で切れます。おそまきながら「旬」の辞書の内容です。
「旬」 字義:十日。十日間。
    解字:形声。意符の日(ひ)と、音符の「勹の変形」(勹は誤った形。へびがとぐろを巻いた形)とから成る。(十干の暦法により)日が一巡する、十日間の意。

「旬」の繋がりが途中で切れたまま「十日」から導かれる「一連の日(十日)=>一連のもの」を手掛かりに展開してみます。

」=「竹」+「旬」:=竹+一連のもの=>繋がった竹=>たけのこ
」(ケン)=「糸」+「旬」:=いと+一連のもの=>一連の糸=>あやなす糸=>あや
」=「氵」+「旬」:=みず+一連のもの=>一連の水=>渦巻く水=>うずまき
」(シュン)=「山」+「旬」:=やま+一連のもの=>一連のやま=>つらなる
」=「言」+「旬」:=ことば+一連のもの=(相手と)つながった言葉=>同意する言葉=>したがう
」=「忄」+「旬」:=こころ+一連のもの=つながった心=>信じる=>まこと

「旬」の展開に関しても問題はありませんが、未判読の部分を埋めるために再度「勹」の検討を洗い直します。

これまでの流れからすると
「勹」=「ノ」+「刀-ノ」:=特別な+曲がった足?
がまず考えられます。しかし「刀-ノ」が曲がった足だと、「勹」の「ノ」の部分に「体」の意味がなければ全体として「足のつながる所」の意味が生まれず、今までの解読と矛盾します。

「勹」の形をよく見てください。「勹」を象形と考えると、先に解読した「|:=立った足」に対抗する「普段の足」の象形で「曲げた足にかたどる」と考えられます。矛盾なく「勹」を解釈するには以上を配慮して次のようになります。
」=象形/曲げた足に形にかたどる:=>足のつながる所=>股関節

更に現在の意味への流れもつかめます。
」:足のつながる所=>=股関節=>座った股関節=>またぐらをなす所=>またぐら=>ものをつつむ=>つつむ


 一方、「勹」の第一画が長めの展開である「万」や「成」(「方」もこの仲間:後述)には「動きまわる」意味が共通に読取れ、もう一つの解読が成立するのです。
」:=足のつながる所=>股関節=>何度も折れ曲がる=>動きつづける=>動き回る
」=「一」+「勹」:=体+動き回る=>動きまわる体=>しなやかな体=>千変万化の格好をするもの=>ものすごい変化=>ものすごい数=>まん
」=「勹」+「戈」:=動き回る+武器=>持ち歩く武器=>武器を持ち歩くひと=>大人になった人=>大人になること=>なる

 「成」は攻撃の武器とは限らず腰を守る防具、もしくは両足を守るための「腿当て」のような防御道具だったかもしれません。それらは一人前になって使用する成人祝いの道具だったのでしょう。

 結局「勹」には最初の「足のつながる所=>股関節」の先に「座った足」と「動き回る足」の二つの意味の分岐があったのです。そして「動き回る」意味からのやっと「旬」の解読が見えてきます。
」=「勹」+「日」:=動き回る+日=>続けて働く日=>働く日々=>一連の日(十日)=>一連のもの


 最初「勺」が繋がる意味で「旬」が複数のつながりの意味でした。「勺」が次第に「ひしゃく」の意味となってしまったので、改めて「旬」が繋がる意味を引き継いだと考えられます。

 ここで振り返えると「勺」と「汋-氵」における「丶」と「一」の混同の様子も理解できます。「勺」の単なるつながり、「」の二つのつながり、「旬」の複数のつながり、以上のはざまで「汋-氵」は一つのつながりを強調しようとした意図だったのです。意味としては「勺」に近く混同されたと思われます。


 「旬」の字の解読から、原始社会では十日間の連続勤務(もしくは十日で一巡する勤務)であったと考えられます。


 最後に今回の手掛かりを与えてくれた文字達の解読です。
」=「女」+「勺」:=女+つなげる=>(男女を)つなぐ女=>なこうど
」=「木」+「勺」:=き+つながる=>木と(液体が)つながる=>ひしゃく
」=「火」+「勺」:=火+つながる=>火とつながる=>やける
」=「糸」+「勺」:=糸+つなげる=>糸でつなげる=>たばねる
」=「イ」+「勺」:=部族内の仕事+つなげる=>両岸をつなげる=>橋をかける=>丸木橋
」=「彳」+「勺」:=部族外の仕事+つなげる=>両岸をつなげる=>橋をかける=>丸木橋        
」=「酉」+「勺」:=酒+つながる=>酒と(さかずきが)つながる=>酒をつぐ=>つぐ
」=「金」+「勺」:=金+つながる=>釣りばりで(魚と)つながる=>魚をつる=>つる
」=「氵」+「勺」:=みず+つながる=>水とつながる=>うるおう
」=「革」+「勺」:=かわ+つながる=>革でつながる=>たずな

 これらの字が繊細な自然の観察から生みだされていることを改めて味わってください。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「肩」 解字:会意。意符の肉(からだ)と、意符の戸(戸は省略形。肩甲骨から肘に連なる部分の形)とからある。からだの左右の肩甲骨のある腕の付け根の部分、「かた」の意。

「」 解字:会意。意符の「勹の変形」(勹は変わった形。みみずの形にかたどる)と、意符の二(同じ物が二つ重なる意)とから成る。みみずの一回り、あるいは二回りの意のち、一般に、まわる意に用いる。
「均」 解字:形声。意符の土(土地)と、音符の(たいら意=平)とから成る。土地をならしてたいらにする意。ひいて「「ととのえる」「ひとしい」意に用いる。
「匍」 解字:形声。意符の勹(ひとが前に屈んださま)と、音符の甫(ふせる意=伏)とから成る。手をつき腹を地面に着ける、はらばう意。

「筍」 解字:形声。意符の竹(たけ)と、音符の旬(めぐる意=巡)とから成る。竹の皮にぐるぐる巻かれているもの、「たけのこ」の意。
「絢」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の旬(五色の色糸の意=筍)とから成る。色糸をおり巡らした模様、「あや」の意。
「洵」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の旬(めぐる意=巡)とから成る。うずまく水の意。

「峋」 解字:形声。意符の山(やま)と、音符の旬(うすぐらい意)とから成る。山が薄暗いほど奥深い意。
「詢」 解字:形声。意符の言(ことば)と、音符の旬(たずねる意=尋)とから成る。意見などを問い尋ねる意。
「恂」 解字:形声。意符の心(こころ)と、音符の旬(混じりけがない意=純)とから成る。心に混じりけがない、「まこと」の意。

「万」 解字。ナシ(萬の解説)
「成」 解字。形声。意符の戊(弓なりに曲がった小刀)と、音符の丁(かさねる意)とから成る。小刀で木の表面を幾度も重ねて削る意。ひいて「なす」「なる」「たいらげる」などの意に用いる。

「妁」 解字:形声。音符の女(おんな)と、意符の勺(むすぶ意=結)とから成る。二姓の間を結ぶ人、なこうどの意。
「杓」 解字:会意形声。意符の木(き)と、意符と音符を兼ねる勺(液体を汲み取るひしゃくの意味)とから成る。ひしゃくの柄の意。
「灼」 解字:形声。意符の火(ひ)と、音符の勺(やく意)とから成る。火でやく意。
「約」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の勺(しばる意)とから成る。意とでしっかりしばる意。
「仢」 解字:ナシ(彴の別字)    
「彴」 解字:形声。意符の彳(あるく)と、音符の勺(まるきばしの意)とから成る。水面の上に架け渡したまるきばしの意。
「酌」 解字:会意形声。意符の酉(さけ)と、音符と音符を兼ねる勺(ひしゃくでくみとる意)とから成る。酒樽からひしゃくで酒を汲み取る意。
「釣」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の勺(つる、つるすの意=吊)とから成る。金属製のかぎで魚を捕らえる、「つる」意。
「汋」 解字:形声。意符の氵(水)と、音符の勺(たちまち、急激の意)とから成る。水が急激に流れる音の意。
「靮」 解字:形声。意符の革(かわ)と、音符の勺(しめる意=締)とから成る。午を締め着けて制御する皮のひも、手綱の意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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テーマ:漢字 - ジャンル:学問・文化・芸術

【2006/08/30 23:20】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
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 このブログは漢字の解読を紹介します。従来、部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。  「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。

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