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「尸」の追求-その16

今回は「尸」の字です。まず辞書で意味と解字を確認します。

「尸」 部首解説:人体や人に関する意を表す文字ができている。覆い・しりなどの意を表わしたり履物(くつ)の意を表わしたりする(音は「シ」)。
解字:象形。人がくびを伏せて背を曲げた形にかたどる。一説に人が死んで体を伸ばして横たわるさまにかたどり「しかばね」の意を表わし、屍の原字という。

 「尸」は余り良い意味ではなさそうです。「尸」を直接に探求する前に部首としての使われ方を確認し、外堀を埋めましょう。まず仲間の字を探し辞書でその意味を確かめます。

「尾」 字義:=お
    解字:会意。意符の尸(しりの意)と、意符の毛とからなる。尻にある毛、「お」の意
「尿」 字義:にょう
    解字:会意。意符の尸(しりの意)と、意符の水とからなる。しりから出る水、小便の意。
「屎」 字義:くそ
    解字:会意。意符の尸(人体の意)と、意符の米とからなる。人体から出る米「くそ」の意。
「屈」 字義:かがむ
    解字:形声。意符の尸(陰部)と、音符の出(切り去る意)とからなる。
「届」 字義:とどく
    解字:(旧字:屆の解説 形声。)
「尻」 字義:しり
    解字:形声。意符の尸(しりの意)と、九(穴の意)とからなる。人のしりの穴の意。

 「尸」には確かに「しり」の意味があるようです。「尸」の意味が「しり」ならば「屎」「尿」「尾」が非常に分かりやすい会意文字で解読の必要がありませんが、「屈」になると形声で「尸」の意味が「陰部」となり一貫性がありません。「届」は既に解読した「由」の意味から解読できます。「九」についての解説は少し先に延ばし、その他を改めて解字しておきます。

」=「尸」+「毛」:=しり+け=>しりのけ=>お
尿」=「尸」+「水」:=しり+みず=>しりのみず=>にょう
」=「尸」+「米」:=しり+こめ=>しりのこめ=>くそ
」=「尸」+「出」:=しり+でる=>しりがでる=>かがむ
」=「尸」+「由」:=しり+上に伸びたもの=>伸びてしりまでくる=>とどく
とすべて「しり」の意味で明快に解読できます。


 「尸」の仲間の部首に「尸」に「ノ」を付けただけの「戸」があります。ただし「戸」は第一画が横棒ですが、設問解字も康熙字典も共に部首見出しの第一画は「ノ」です。以下の活字はこの「ノ」がすべて横の一棒になっているので気をつけてください。「戸」仲間を洗い出し確かめます。

戸 部首解説:これを部首にして、扉・部屋・家などに関する文字ができている。
  字  義:と
  解  字:象形。門の左半分の形にかたどる。部屋を守護するもの「と」の意。
「戻」 字義:もどる
    解字:会意。(以下、旁が犬である旧字の説明)
「扇」 字義:おうぎ
    解字:形声。意符の「戸」と、音符の羽(正確には翅の旁)とからなる。とりの羽のように左右に開く扉の意。
「雇」 字義:やとう
    解字:形声。意符の隹(とり)と、音符の戸とから成る。鳥の名。借りて、「やとう」意に用いる。
「扉」 字義:とびら
    解字:形声。意符の戸(と)と、音符の非(開く意)と左右にひらくと、扉の意。


以上を解読すると次のようになり「戸」を特別に象形と解説する必要がなく、「尸」の派生と考えられ、解読も順調に進みます。
」=「尸」+「ノ」:=しり+特別な=>特別な尻の動き=>股関節の動き=>何度も折れ曲がる=>行き来する
」=「尸」+「大」:=行き来する+大きい男=>何度もくる大きい男=>戻る大きい男=>もどるもの=>もどる
」=「尸」+「羽」:=行き来する+羽=>行き来する羽=>おうぎ
」=「尸」+「隹」:=行き来する+鳥=>行き来する鳥=>決まった季節にくるもの=>季節労務者=>やとう
」=「尸」+「非」:=行き来する+左右に分かれたたくさんの木=>観音開きの戸=>とびら

注:「扉」は先に解読した「非」:=左右に分かれたたくさんの木 の意味がそのまま生きている良い例です。


「尸」の意味が明確に見えてきたので改めて追求を始めます。「尸」は「口」と「|+ノ」からできています。ここで「|+ノ」は単なる「ノ」と違い縦棒の下が僅かに左にハネた形です。全体の意味が「しり」の意味であるならば、「口」は食べる口でなく肛門です。そして「|+ノ」は肛門から出るものとしか考えられません。結局「|」にはこれまで解読した「棒」の意味の他に「垂直に落下するもの」の意味があったと推測できます。

」:=真直ぐ落ちるもの (意味追加)
|+ノ」(左はね縦棒)=「|」+「ノ」:=真直ぐ落ちるもの+特別なもの=>真直ぐ落ちる特別なもの=>くそ=>垂れ落ちるもの=>垂れ下がるもの
」=「口」+「|+ノ」:=肛門+垂れ下がるもの=>腰に突き出すもの=>腰に垂れ出るもの=>しり
と三者セットで解読が成功です。

「尸」が覆いの意を表わすことから「|+ノ」(左はね縦棒)は長い間に更に意味が変化していると思われます。
 原始の世界では、人間は猿のように前かがみの姿勢であったらしく、横から見るとしりはひさしのように突き出す部分でしたから、次の変化の展開も考えられます。改めて全部を示します。
」=「口」+「|+ノ」:=肛門+垂れ下がるもの=>腰に突き出すもの=>腰に垂れ出るもの=>しり=>突き出したもの=>ひさし状のもの=>のき=>覆うもの
」=「尸」+「死」:=しり+し=>死体のしり=>死体の肉=>しかばね

「屏」「屑」は「しり」の意味で、「屋」「展」「属」は「ひさし状のもの」の意味で解読できるのですが、未だ旁の説明をしていないのでこれらも先に回します。

 ここまでで「尸」の部首解説に書かれた「覆うもの」まではたどり着けますが、「履物」の意味までには達することができません。実際「履物」を意味する「履」や「屐」は設文解字には載っておらず、後代の創作でしょう。

 設文解字には「屍」の字が既に記載されています。「尸」は康熙字典では「口」+「|+ノ」ですが、設文解字では「コ」+「|+ノ」となっており口の左が開いています。後に示すように「コ」には別の意味があり、「尸」は上が口でなければ全体の辻褄が合わなくなります。


 人間は食べる感覚の次には「排泄」の感覚に目覚めたようで、それが次第に「排泄する所」=>「しり」 の感覚となり、最後に自分の体全体感覚へと目覚めたと考えられます。「尸」が「排泄」から「尻」へ、更には「覆うもの」へと意味が変化するのに人類は数千年の時間を費やした考えられます。

 参考までに以上はフロイトが「肛門期」と呼ぶ人の生後まもない感覚の発展第二段階です。

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テーマ:漢字 - ジャンル:学問・文化・芸術

【2006/07/05 22:22】 | 解読の前に | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
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 このブログは漢字の解読を紹介します。従来、部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。  「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。

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