象形文字の秘密
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「弋」の追求-その15

 今回は「弋-丶」と「弋」の両者とその一連の仲間を調べます。康熙字典には「弋」(しきがまえ、音はヨク)は「丶」のない「弋-丶」の形がなく、「丶」が付いていきなり三画にでてきます。そして「設文解字」には「武」の字があるのに「弋」はなく、更に「ノ」が付いた「戈」(ほこづくり)でいきなり四画にでてきます。まず一連の字の辞書での意味です。

「弋」 部首解説:これを部首として、くいを用いた道具の意を表わす文字ができている。
    字義:くい、ぼう。
    解字:象形。断ち切った木の小枝の、先のとがったものの形にかたどる。
「戈」 部首解説:これを部首として、武器の種類、武器をもってする行為などの意を表わす文字ができている。
    字義:ほこ、たたかい
    解字:象形。石突きの付いた柄のある、鎌形の枝刃のあるほこの形にかたどる。一説に会意で弋と、意符の一から成るという。
「弌」 字義:いち   
「弍」 字義:に    
「弎」 字義:さん   
「代」 字義:かわる
    解字:形声。意符の人と、音符の弋(かわる意)とから成る。
「杙」 字義:くい
    解字:形声。意符の木と、音符の弋とからなる。果樹の名。一説に、会意形声で、弋はくいの意と音を表わすと言う。
「鳶」 字義:とんび
    解字:形声。意符の鳥と、音符の弋(とる意)とから成る。
「袋」 字義:ふくろ
    解字:形声。意符の衣と音符の代(ふくろの意)とから成る。

以上、同じ「弋」が「代」と「鳶」で現在の意味にひきずられて脈略もなく異り混乱します。また「袋」の説明では「代」がいつの間には袋の意味に代わっています?


 「弋」が検討したい中心です。我々は既に「十」:=棒 を知っています。「十」との間に関係が得られるでしょうか?

「十」と「弋」差は①棒の下端が右に曲がる変形と、②それに「特別な」の意味を加える「丶」の二点ですが、この二つの内容は正確に上の「弋」の解字に記述されています。両者を分ければ、

弋-丶」=「十」の変形:=棒+特定の切りだし=>用途合わせて切った棒
」=「弋-丶」+「丶」:=用途に合わせて切った棒+特別な=>先を尖らせた棒=>くい
と解読でき「弋-丶」も特別な象形とする必要がなく、「十」:=棒 の派生と考えることができます。

 「弌」「弍」「弎」は各々「一本のくい」「二本のくい」「三本のくい」で解説の必要がないと思われます。これまでの検討で得た結果を利用して先に上げた一連の字を解読すると、
」=「イ」+「弋」:=男の仕事+くい=>立っている男の仕事=>(女の)代わりに参加する男=>代わりの男=>かわり
」=「木」+「弋」:=木+くい=>木のくい
」=「弋」+「鳥」:=先の尖ったくい+とり=>尖った尾を持つ鳥=>三角の尾を持つ鳥=>とんび
」=「代」+「衣」:=>衣の代わり=>ふくろ
袋の意味似は少し解説が入るようです。腰にはいた半ズボンは脚の口を閉じれば袋となります。衣の代わりに袋をはいて行き、脚の穴を縛って収穫したものをたくさん入れて持って帰れます。


 「戈」は「弋」との差は「ノ」ですから何の問題もなく次のように解読でき、「戈」を特別な象形および部首とする必要がないことが分かります。
」=「弋」+「ノ」:くい+特別な=>特別なくい=>武器にするくい=>武器=>ほこ=>たたかう
ただし、裁縫の「裁」の字がある所から
」=「弋」+「ノ」:くい+特別な=>特別なくい=>尖らせた道具=>道具
と二つの流れが読み取れます。

「戈」の字もその展開を解読しておきます。「戈」の仲間である「伐」「戍」「戯」「我」および「戔」とその仲間たちについて調べますが、まず辞書の説明です。
「伐」 字義:うつ、きる
    解字:象形。人を戈(ほこ、武器)で刺撃した形にかたどる。人を武器で切り殺す意。
「戍」 字義:まもる
    解字:会意。意符「男」と意符「武器」とからなる。人がほこを持って国境を守備する意。
「戯」 字義:たわむれる
    解字:形声。音符「虚(最後の旁が旧字)」と意符「戈」とからなる。
「我」 字義:われ
    解字:会意形声。意符「手+(第二画の横長変形)」と意符と音符を兼ねた「戈」とからなる。
「戔」 字義:そこなう、あまり、のこり
    解字:会意。意符の戈(ほこ)二つからなる。ほこを交えて戦う意。ひいて、そこなう意に用いる。

 以上の解読ですが、「戍」は例外的に正しく解字されています。
」=「イ」+「戈」:=男の仕事+道具/武器=>切る/討つ
」=「人」+「戈」:=男+武器=>武器を持つ男=>まもる
」=「虚」+「戈」:=むなしい+武器=>実際でない武器=>たわむれ
」=「手」+「戈」:=て+武器=>手の武器=>手の武器を持つもの=>武器を持つもの=>わたし
」=「戈」+「戈」:=武器がぶつかる=>破損した武器=>壊れたもの=>そこなう
」=「戈」+「戈」:=武器を重ねる(過剰生産)=>余った武器=>あまる

 「我」の字の「戈」は「哉」「裁」「栽」「識」「職」のように左の字と融合する特徴がります。また、「戈」は長い時代に意味も徐々に変化したのでしょうが、発音の変化に比べて十分遅いのでこのように追うことができます。以上辞書の意味に合わせて解読したのですが、「戔」の中間達を取り出すと少し様子が変です。

「淺」 字義:あさい(=浅)
    解字:形声。旧字は意符の水と、音符の戔(すくない意)とからなる。水量が少ない、「あさい」の意。ひいて物事の程度の少ないことに用いる。
「棧」 字義:かけはし、たな(=桟)
    解字:形声。意符の木と、音符の戔(木や竹を編んでつくる意)とからなる。
「盞」 字義:さかずき
    解字:形声。意符の皿と、音符の戔(ちいさい意)とからなる。
「錢」 字義:すき、ぜに(=銭)
    解字:形声。意符の金と、音符の戔(先端が薄く削られている意)とからなる。
「箋」 字義:ふだ、かきもの
    解字:形声。意符の竹と、音符の戔(うすい、ちいさい意)とからなる。

改めて「戔」に遡って以上を解読し直すことが必要なようです。
」=「戈」+「戈」:=武器を重ねる=>うまく積める武器=>うすい武具=>うすい
」=「戔」+「皿」:=うすい+さら=>さかずき
」=「木」+「戔」:=き+うすい=>薄い木=>たな、かけはし
」=「金」+「戔」:=かね+うすい=>薄い金=>すき、ぜに
」=「氵」+「戔」:=みず+うすい=>薄いみず=>あさせ=>あさい
」=「竹」+「戔」:=たけ+うすい=>薄い竹=>ふだ、かきもの
となり、「戔」はほとんど「うすい」の意味で使われているのに、辞書には「うすい」の意味がないのです?

 「戔」の仲間の字は「設文解字」にはほとんど見当たらず、康熙字典ができるまでの時代、武器を多用する父系社会で造られた字だったのです。「戔」が始め「うすい」意味で、時代と共に新しい言葉「そこなう」と「あまる」が生まれるとき、「戔」のもとの意味まで戻り、「うすい」と枝分かれした形で「戔」に「そこなう」と「あまる」の意味を当てはめた、と考えられます。この手法は言葉を増やす素晴らし手法です。

 「弌」「弍」「弎」も予想通り「説文解字」にはなく、武器を扱う後代に武器を数える言葉として生まれたと考えられます。


 原始社会の過酷な現実に慣れてもらうためにも、今回の「我」の仲間の字を最後に敢えて紹介しておきます。
「餓」=「食」+「我」:=食う+武器を持つもの=>武器を持つものを食う=>うえる
(辞書:「餓」は音符の食と、我(ほねばる意)とからなる。食物に苦しんで骨ばる、「うえる」意)

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 人間は共食いを止める本能を持っていません。肉食の哺乳類でも犬や熊は本能で共食いをしません。「千夜一夜」の物語や、中国の「西皇后」の物語、世界各地の「城や砦の兵糧攻め」の記録など、共食いの記録は幾多も上げられます。また、北欧の「万歳」という言葉は「頭」を意味し、獲物とした人の頭骨で酒を飲む習慣であった名残なのです。(ちなみに「サッカー」の起源は西欧で被征服民の頭を切って蹴って凱旋したのが始まりです。)

 人類は誕生して以来四度の過酷な氷河期を越えてきていますが、豊かな時に増えた仲間を食料とし、やっと生き延びることができたのです。人間は牙や脚力の代わりに、そして共食い防止の本能をも犠牲として、ずっと素晴らしい理性を与えられています。

 人間という種は理性に賭けた生き物です。現在では社会制度や宗教等の「自己家畜化」により原始的本能を次第に淘汰する方法も獲得しています。
 素晴らしき理性が今日の繁栄と平和をもたらしていることに感謝しましょう!

テーマ:漢字 - ジャンル:学問・文化・芸術

【2006/06/28 08:04】 | 解読の前に | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
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