象形文字の秘密
漢字の解読

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複合文字の解読(その2) /63

 今回は複合型の二回目です。特殊な複合型として「冎」も採り上げます。前回言い忘れたのですが、「呂」「官」などの複数の口の複合型は第43回を参照してください。

7.複合型「堯」

  前回の「共-ハ」の解読のヒントは実は「堯」の字にあります。「堯」の省略形が「尭」で、中央の横に並んだ「土」が融合して「共-ハ」(上側の横棒の方が長い)となっています。ただし、これは更に「兀」の横一画とも融合した特殊な例となっています。

 「堯」自身を解読するに当たってまず「兀(ゴツ)」の解読から入ります。

」=「一」+「儿」:=いち+垂れ流す子供=>一年目の垂れ流す子供(ゼロ歳児)=>(栄養不足で)ゴツゴツした子供=>ゴツゴツしたもの(比較「元」cf.19)
」=「土」+「土」+「土」+「兀」:=人々+ゴツゴツしたもの=>やせ細った人達=>食を求めるもの=>寄り来るもの=>まといつくもの=>まといつく音=>引きずる音

 以下に示す「堯」の展開では、「嶢」の場合だけは「ゴツゴツしたもの」の意味ですが、その他は全て「まつわりつくもの」の意味を共通に持っています。ただし、「僥」「燒」「磽」「獟」「驍」「嬈」のように偏が「まつわり付くもの」の主語となる場合と、「澆」「繞」のように偏が目的語となる場合、その他「曉」「嘵」「鐃」「橈」のように偏が「まつわれ付かれるもの」の主体(間接目的語)となる場合があります。


」=「山」+「堯」:=やま+ゴツゴツしたもの=>ゴツゴツした山=>けわしいやま=>たかいやま=>たかい(「山」cf.33)
」=「イ」+「堯」:=男の仕事+まといつく=>まといつく仕事=>依頼ごとの使者=>望みを頼むもの=>ねがう/もとめる(「イ」cf.54)
)」=「火」+「堯」:=ひ+まといつくもの=>火がまといつく=>やける=>やく(「火」cf.61)
」=「石」+「堯」:=いし+からみつく=>からみつく石=>石ころの多いさま=>石の多い土地(「石」cf.54)
」=「犭」+「堯」:=犬+まつわりつく=>まつわりつく犬=>攻撃する犬(よい犬)=>あらあらしい犬/狂った犬=>あらあらしい(「犭」cf.13)
」=「馬」+「堯」:=うま+まつわりつく=>(戦場で敵に)まつわりつく馬=>勇猛な馬=>たけし(「馬」cf.33/61)
」=「女」+「堯」:=おんな+まつわりつく=>まつわりつく女=>わずらわしい
」=「虫」+「尭」:=虫+まつわりつく=>(腸に)まつわりつく虫=>ギョウチュウ(「虫」cf.38)
」=「食」+「堯」:=しょくもつ+寄り来るもの=>(人徳等で)食物が集ってくるもの=>ゆたかなもの=>ゆたか
」=「土」+「堯」:=つち+からみつくもの=>からみつく土=>粘土質の土地=>痩せた土地=>やせち(「土」cf.19)
」=「辵」+「堯」:=あゆみ+まつわりつくもの=>まつわりつく歩み=>めぐるあゆみ=>めぐる

」=「氵」+「堯」:=水+まとわり付く=>水をまつわり付ける=>みずを加える=>そそぐ/うすい
」=「糸」+「堯」:=いと+まつわりつくもの=>まつわりつく糸=>糸をまつわりつける=>糸を巻き付けてくくる=>糸でまとう=>まとう(「糸」cf.49)

」=「日」+「堯」:=日+まといつくもの=>雲のまといついた日=>あかつき(「日」cf.45)
」=「木」+「堯」:=き+まつわりつくもの=>(器で混ぜる)木にまつわりつく=>きがたわむ=>たわむ(「木」cf.59)
」=「扌」+「堯」:=て+まといつく=>手にまといつく=>(手で)かき混ぜる=>指にからみつく=>指がたわむ=>たわむ(「扌」cf.12)
」=「足」+「堯」:=あし+まつわりつく=>まつわりつく足=>すばやい(小回りの)動き=>すばやい動き(「足」cf.41)
」=「口」+「堯」:=言葉+まつわりつく言葉=>引き伸ばされた言葉=>悲鳴(「口」cf.37-48)
」=「金」+「堯」:=金属+引きずる音=>(反響して)音を引きずる金属=>どら


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「兀」 解字:会意。意符の儿(人体)と、音符の一(頭の意)とから成る。人のまるい頭の意。借りて、山などが高い意に用いる。
「堯」 解字:会意形声。意符の兀(高く突き出る意)と、意符と音符を兼ねる「堯-兀」(土を高く盛ったさま)とから成る。非常に「たかい」意。

「嶢」 解字:形声。意符の山(やま)と、音符の尭(たかい意)とから成る。山が高い意。けわしい意。

「僥」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の堯(他よりぬきんでて高い意)とから成る。人がひときは高い望みを持つ意。
「燒」 解字:形声。意符の火(ひ)と、音符の堯(たかい意)とから成る。草などが燃えて、火や煙が高く昇る意。ひいて、「やく」意に用いる。
「磽」 解字:形声。意符の石(いし)と、音符の堯(かたい意=硬)とから成る。硬い石の意。転じて、石が多い痩せた土地の意に用いる。
「獟」 解字:形声。意符の犬(いぬ)と、音符の尭(くるう意)とから成る。狂った犬の意。
「驍」 解字:会意形声。意符の馬(うま)と、意符と音符の尭(たかい、りっぱの意)とから成る。りっぱな馬、良馬の意。
「嬈」 解字:形声。意符の女(おんな)と、音符の尭(まといつく意)とから成る。女がまといついて煩わしい意。
「蟯」 解字:形声。意符の虫(むし)と、音符の堯(巡りもつれる意)とから成る。腸の中に巻きつく寄生虫の名。
「饒」 解字:形声。意符の食(たべもの)と、音符の堯(あまる意)とから成る。食物が余って多い意。
「墝」 解字:形声。意符の土(つち)と、音符の堯(痩せて石ころの多い土地の意)とから成る。石ころの多い痩せた土地の意。
「遶」 解字:形声。意符の辵(ゆく)と、音符の堯(めぐる意)とから成る。めぐりゆく、めぐり囲む意。

「澆」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の堯(めぐらす意)とから成る。水を注ぎ巡らす意。
「繞」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の堯(まつわりめぐる意=撓)とから成る。糸がまつわりつく意。ひいて、「まとう」意に用いる。

「曉」 解字:形声。意符の日(ひ)と、音符の堯(次第に明るくなる意)とから成る。太陽の光が次第に明るくなる、「あかつき」の意ひいて、心の迷いが解けて「さとる」意に用いる。
「橈」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の堯(たわむ意=撓)とから成る。たわんだ木、曲がった木の意。
「撓」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の堯(乱れる意)とから成る。手でかき乱す意。
「嘵」 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の堯(鳥などが怖れて騒ぐ声の意)とから成る。怖れる声の意。
「蹺」 解字:形声。意符の足(あし)と、音符の堯(高く上げる意)とから成る。足を高く上げて歩く意。
「鐃」 解字:形声。意符の金(かね)と、音符の堯(かまびすしい音の意)とから成る。金属製のやかましい音を出す楽器、「どら」の意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****




8.複合型「刂」

 「刂」(リットウ)は大小二本の縦棒で構成されており、長さの違う同一のものの複合です。金属の開発前の武器の原点は、両手に持った「二本の棍棒」です。部首「刀」の中に「刂」があり、また「刂」が付いて展開される字が「切る」意味を持つことから金属の刀の発明以降も長く「刃物」を「刂」で表現したと考えられます。「刀」の付く字は少なく、特に「券」「巻」「剪」など、「刀」の展開とされる字はどちらかというと複雑で、またその数は少ないのです。金属の刀の開発以降かなりのちに「刀」の字が作られたようです。

」=「(短い)棒」+「(長い)棒」:=二本の棒=>両手の武器=>腰に下げて携帯するもの=>かたな=>きる=>けずる=>きれる

」=「干」+「刂」:=強姦する男+きる=>男根を切る=>かりとる=>かる(再掲。cf.19)
」=「半」+「刂」:=半分+きる=>半分にきる=>(真ん中を見定め二つに)わける=>わかつ(cf.17)

」=「禾」+「刂」:=あわ+きる=>あわをきる=>実を刈り取る=>収穫する=>りえきとなる=>もうけ(「禾」cf.11)
」=「禾」+「刂」:=あわ+きる=>あわをきる=>実を刈り取る=>鋭い刃のかたな=>するどい=>きれる

」=「害」+「刂」:=家に隠れ住む人+きる=>隠れ住む同僚を切る=>袂をわかつ=>連帯をわかつ=>わる(「害」cf.51)
」=「克」+「刂」:=男の相続人+きる=>(年上の)男の相続人を(年下の妹が)殺す=>相続人を殺す=>かつ(「克」cf.40)

」=「耳」+「刂」:=みみ+きる=>耳を切る=>みみきる(刑罰)(「耳」cf.48)


 「刂」は意味がはっきりしており、その構成を検討せずにすでに意味だけを検証に利用してきました。以下の「刂」の展開はさかのぼって参照してください。

「刳」(cf.27)、 「刎」(cf.28)、 「別」(cf.41)、 「副」(cf.41)、 「列」(cf.42)、
「剞」(cf.58)、 「刺」(cf.59)、 「剌」(cf.59)、 「則」(cf.60)、 「刑」(cf.62)、
「制」(cf.34/54)


 「刷」に関しては「刷-刂」から解読します。

刷-刂」=「尸」+「巾」:=しり+きれ=>シリの布/腰布/パンツ(「尸」cf.16)
」=「刷-刂」+「刂」=>パンツ+きれる=>パンツの尻が擦り切れる=>すれる=>こする=>する

 「削」に関しては「肖」から解読します。「肖」の冠はこれまでしばしば出てきたように「小」が正式で、意味の流れが二つあります。

」=「小」+「月」:=ちいさい+にく=>ちいさいにく=>こまかなもの
」=「小」+「月」:=ちいさい+からだ=>ちいさいからだ=>にた小型のからだ=>似る/かたどる

」=「肖」+「刂」:=こまかなもの+きる=>こまかいものをきる=>きざむ=>けずる


***** 終了 関連する辞書の解字 *****


「刂」 解字:「刀」の解説。
「刊」 解字:形声。意符の刀(かたな)と、音符の干(掘り起こす意)とから成る。刀で木を「けずる」意。
「判」 解字:会意形声。意符の刀(かたな)と、意符と音符を兼ねる半(二つに分ける意)とから成る。刀で二つに切り分ける意。のち、一般に「分ける」意に用いる。
「利」 解字:会意。意符の??(刀は誤り変わった形。すきで土を掘り起こしているさま)と、音符の禾(穀物の意)とから成る。すきの先端がとがっていることから、「するどい」意に、借りて、利益の意に用いる。
「割」 解字:形声。意符の刀(かたな)と、音符の害(動物を解剖して体をばらばらにする意)とから成る。刀で解剖してばらばらにする意。ひいて、傷つける、断ち切る意に用いる。
「剋」 解字:形声。意符の刀(かたな)と、音符の克(ころす意)とから成る。かたなで殺す意。かりて「かつ」意に用いる。
「刵」 解字:形声。意ふの刀(かたな)と、意符と音符を兼ねる耳(みみ意)とから成る。刀で耳を切る意。


「刷」 解字:形声。意符の刀(小刀)と、音符の「刷-刂」(こする意)とから成る。小刀で削る意。借りて、「こする」意に用いる。

「肖」 解字:形声。意符の肉(からだ)と、音符の小(似る意)とから成る。体つきが似ている意。引いて「にる」「かたどる」意に用いる。
「削」 解字:形声。意符の刀(かたな)と、音符の「削-刂」(入れ物の意=箱)とから成る。刀を入れるさやの意。借りて、「けずる」の意に用いる。


***** 終了 関連する辞書の解字 *****




9.複合型「冎」

 複合型「冎」には「冂」が大小二重に使われています。「冎」は部首にないのですが、「咼」の付く字が多くあります。「冎」を解読するには部首「骨」を利用しなければならないので、二段階の解読となります。まず、以前に紹介した「冂」の解読の再掲です。

」=「一」+「||」:=体+二本足=>立っている体=>立っているもの=>とびだすもの=>飛出した形=>ものの形/ものの型=>輪郭=>きょうかい(再掲。Cf.31)

 漢字の中で「┌」を持つ文字は「冎」意外に「骨」しかありません。ここで「骨」の中央部は「冖:=被せるもの」(cf.34)と解釈するより、「冂:=輪郭」(cf.31)と考える方が自然です。「骨:=体の骨」ですから「月:=にく/体」(cf.45)を取り去った部分は「骨」自身、もしくは「骨組み」を意味すると考えられます。

「冎」=「骨-月」:=からだのほね/ほね組み-肉/体=>ほね/ほね自身

 「冎」には「冂」が二重に使われており、意味の構成として「輪郭の中の輪郭=>ほね」の予感が見えてきます。以上から「骨」の解読を確認しましょう。

」=「冎」+「月」:=(角や牙を含む)骨組みの中の(肉がに包まれた)骨=>ほね

 ここで矛先を変えて「冎」の展開である「咼」を注目します。まず、「咼」の展開にある「渦」「鍋」「堝」を捉えます。これらの文字の共通な含意として「中のくぼんだ皿状のもの」が出てきます(各文字の解読結果を直接示します)。

「咼」=「冎」+「口」:=?=>皿状にくぼんだもの
」=「氵」+「咼」:=みず+皿状のもの=>皿状になった水=>うず
」=「金」+「咼」:=金物+皿上のもの=>皿上になった金物=>なべ
」=「土」+「咼」:=つち+皿状のもの=>(解けた金属を入れる)皿状の土鍋=>るつぼ

 以上の解読では「猧」「緺」「過」「禍」の意味が取れません。「猧:=チン(犬の種類)」「蝸:=かたつむり」「緺:=印の紐」とから「咼」にはくぼみとは逆に「段状に飛出すもの」の意味がありそうです。

「咼」=「冎」+「口」:=?=>段状に飛出すもの
」=「犭」+「咼」:=いぬ+段状に飛出すもの=>顔が段状に飛出す犬=>チン
」=「虫」+「咼」:=むし+段状に飛出すもの=>段状の殻を持つ虫=>かたつむり
」=「糸」+「咼」:=いと+段状に飛出すもの=>段状に結ぶ紐=>印を結ぶ紐

 以上から「過」を解読するためには「咼」に「凹凸のピーク」を加えれば解けそうです。

「咼」=「冎」+「口」:=?=>段状に飛出すもの=>ピークを持つもの
」=「辵」+「咼」:=あし/あるく+ピーク持つもの=>ピークを通過すること=>すぎる

 ここまで来ると「禍」の本来の意味が見えてきます。

」=「示」+「咼」:=しめす+ピークを持つもの=>ピークをしめす=>絶頂をしめす=>衰退の兆候=>わざわい

 外堀が埋まったので、改めて「?」を持つ「咼」を解読しましょう。「ほね」と「くち」を構成要素として持つ「咼」を以上の検討から総合して以下の解読を得ます。

」=「冎」+「口」:=ほね+くち=>口を持つ骨=>穴のある骨=>骨盤=>薄い円錐型の凹凸のもの/段状に飛出すもの=>ピークのあるもの

 更に「冎」の解読に遡ります。「┌」は他の文字を探しても見当たらない要素といいましたが、この「冎」に限られた特別な記法と考えられます。そこで、「┌」は「口」の省略された変形ではないかと予想します。

」=「冂」+「口」:=立っているからだ+女性器=>女性器のある体=>女の体 (再掲。cf.38)
」=「冎-冂」+「冂」:=女の体+骨組み=>女の骨格=>骨格=>ほね

 これで一連の解読はうまく収まり、「咼」は「冋」と「冋」が複合された文字であることが判明します。「咼」は「冋」の同形の複合ですが、厳密には上の「口」は「女」の意味、下の「口」は穴の意味、であり両者の微妙な意味の相違と表記の煩雑さとから、上の「口」を省略型に変形したと考えられます。


 今回の「堯」の項では実は「髐=骨+堯:=骨にまつわりつくもの=>?=>かぶら矢」の意味が解きにくかったのですが、「堯」の中の「嘵」「鐃」があり「音のまつわり付き」を意味していることから、「骨」には「ヤジリ」の意味があり、骨のヤジリを彫り込んで(ピューと)音の出る加工を加えた矢がカブラヤの始まり考えられます。

 また、下に示した「骨」の展開である「榾」「猾」「搰」(同類「穿」:後述)の字から共通に「土を掘る意味」が見出されることから、大型動物の肋骨を土掘りの道具として利用したようです。鋤以前の最初の農具と考えられます。最終的な「骨」に関する解読は次のようになります。

」=「冎」+「月」:=(角や牙を含む)骨格+にく=>(角や牙を含む)骨組みの中の(肉がに包まれた)骨=>ほね=>骨の道具=>やじり/ほるもの

」=「氵」+「骨」:=骨を繋ぐみず=>関節液=>骨のすべりを良くするもの=>すべる

」=「骨」+「堯」:=やじり+まつわりつくもの=>(まつわりつく)音を発するやじり=>かぶら矢

」=「木」+「骨」:=き+ほりだすもの=>木の根=>こかぶ
」=「犭」+「骨」:=けもの+ほりだすもの=>(えさを埋めて)ほりだす犬=>(餌を隠す)賢い犬=>わるがしこい
」=「扌」+「骨」:=てにしたもの+ほりだすもの=>ほる道具=>ほる

 犬は余分な餌を地中に埋める習性があり(屋内で飼うと肥満になる?)食料保存と肥満対策を本能的に獲得しており、お産が軽く、集団で狩をし、リーダーが敵の正面で(超能力的コミニケーション?により)攻撃の指揮を取り、狩でばらばらになっても超能力的?に集団に戻れ、また人と共同生活のできる不思議な優れもの(犬=大+ノ:=特別なおとこ。cf.13)です。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「咼」 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の冎(もとる意=禍)とから成る。口がゆがんで正しくない意。
「渦」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の過(咼は省略形)とから成る。もと、川の名。借りて、川の水が渦を巻いて流れる意に用いる。
「鍋」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の咼(中空の意)とから成る。車のコシキの中にある中空の鉄器、かりもの意。
「堝」 解字:形声。意符の土(つち)と、音符の咼(つぼ状のものの意)とから成る。土で作ったつぼ状のもの、「るつぼ」の意。
「猧」 解字:形声。意符の犬(いぬ)と、音符の咼(ちいさい意)とから成る。ちいさな犬、チンの意。
「蝸」 解字:形声。意符の虫(むし)と、音符の咼(うずまきの意=渦)とから成る。渦巻きの殻を持つ貝、「かたつむり」の意。
「緺」 解字:形声。意符の糸(ひも)と、音符の冎(背が青色の意)とから成る。紫がかった青色の印の紐の意。
「過」 解字:形声。意符の辵(みち)と、音符の咼(おおい意)とから成る。道を多く行き過ぎる、「すぎる」意。
「禍」 解字:形声。意符の示(かみ)と、音符の咼(まがっている意)とから成る。神の下すまがごと、「わざわい」の意。

「冎」 解字:象形(音は「カ」)。首より上の肉をとった骨の形にかたどり、意符として、骨の意を示すという。

「骨」 部首解説:これを部首にして、体の骨節の部分の名称、骨による製品の名称などに関する意を表す文字ができている。
      解字:会意。意符の肉(月は省略形。肉の意)と、音符の冎(頭蓋の隆骨の意)とから成る。肉中に残る硬い骨の意。ひいて、広く「ほね」の意に用いる。

「滑」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の骨(流出する意)とから成る。水が自ずから流れ出る意。ひいて、「なめらか」「しベル」などの意に用いる。
「髐」 解字:形声。意符の骨(ほね)と、音符の堯(かぶら矢の意)とから成る。骨製のかぶら矢の意。
「榾」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の骨(高く突き出る意)とから成る。地上に高く突き出ている木の一部分。木の切り株の意。
「猾」 解字:形声。意符の犬(いぬ)と、音符の骨(わるがしこい意)とから成る。わるがしこい犬の意。ひいて、「わるがしこい」意に用いる。
「搰」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の骨(精出して土を掘る意)とから成る。手で土をほる意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****


 北宋の学者であった王安石(1021-1081)は「字説」という書で漢字を会意で解字しようとしたといわれています。
 中国の有名な笑い話に、王安石が「波」は「水の皮」だと主張すると、それなら「滑」は「水の骨か」と問われて困ったという逸話が残されており(「滑」は上の解読を参照)、中国では漢字は多くを会意で解釈することができないという考えが植え付けられてきたようです。

 王安石の著した「字説」は復刻版が「福建人民出版社」より出ており取り寄せましたが、部首や象形とされる文字についての解読は無く、意味(訓)の注釈書となっています。ちらほらと例外的に解字的な注釈があるので、それらを参考までに示しておきます。
「波:波者水之皮」
「伍:五人為伍」
「示:示之字从二从小」(注:「示」=「二」+「小」と考えたようです。「示」は第61回参照)
「役:役則執殳」
(注:「皮」「五」「殳」は追ってこのブログで解読を紹介する予定です)


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【2007/12/24 10:02】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

複合文字の解読 /62

 今回は本筋から少し外れて、一つの文字の中に同じ文字要素が含まれる複合型をまとめて紹介します。特に同じ形の横並びは横棒が融合する傾向が見られます。
 これまでに出てきた例としては「帯」のカンムリがありました。参考までに再掲しておきます(cf.35)。

」=「廿」+(融合)+「廿」:=乳房+乳房=>両乳房
」=「帯-冖-巾」+「冖」+「巾」:=両乳房+被せるもの+抑えるもの=>両乳に被せて抑えるもの=>乳止め(ブラジャ)=>おび



1.複合型「幵」

 「幵」は「刑」の偏のように「干」の横棒が融合した融合型となる場合と、「銒」の偏のように「干」をただ並べただけの並列型の場合があります。「研」にはどちらの字形もあることから、よく使われた文字は横棒が融合したと考えられます(「幵+刂」は康煕字典には無いのですが、角川大字源には「刑」の本字として載っています)。 これが今回の一連の解読のおおきなヒントです。

」=「十」+「一」:=男+体=>男の体(士の逆転)=>犯す男根の体=>犯す男子=>犯す=>(罰に)食を与えない=>ほす (再掲、cf.19)
」=「干」+(融合)+「干」:=犯す男子+犯す男子=>強姦する男達=>犯罪者/受刑者/矯正者=>処刑する=>処刑する所=>処刑者を葬る所(=>鳥居マーク)

」=「足」+「幵」:=あし+犯す=>犯罪者の足=>爪先立つ
」=「金」+「幵」:=かね+犯す=>(焼きを入れて)犯罪者を懲らしめる金物=>長い柄のついた焼きごて=>持ち手の長い金属=>首の長いつぼ=>首の長い酒器
」=「石」+「幵」:=いし+犯罪者=>石を削る受刑者=>石を削る受刑者の仕事=>けずる
」=「幵」+「刂」:=犯罪者+刀=>犯罪者を切りる=>けいを執行する=>けい
」=「刑」+「土」:=けい+ひと=>刑の執行者=>手続きの決まった執行=>段取りのきまったもの=>決まったパターン=>かた

 「趼」の意味は角川大字源では「整ったひずめ」となっていますが、設文解字には「爪先立つ」となっています。

 中国より伝わったと考えられる「鳥居」は「幵」からデザインされたものらしく受刑者の矯正施設、処刑場、もしくは処刑者の弔い場所(=>埋葬所?=>神社)、などの意味に推察できます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「趼」 解字:形声。意符の足(あし)と、音符の幵(平らの意)とから成る。足のひずめが平らで整っている意。
「銒」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の幵(首の長い意)とから成る。鐘に似た首の長い酒器の意。
「研」 解字:形声。意符の石(いし)と、音符の幵(平らにする意=平)とから成る。石の表面を平らにする、「磨」意。
「刑」 解字:形声。意符の刀(かたな)と、音符の??(れんじ窓の形。「刑-刂」は変わった形。きずつける意)とから成る。体に刀で傷をつける意。
「型」 解字:形声。意符の土(つち)と、音符の??(刑は誤り変わった形。初めて作る意)とから成る。土で作った鋳型の意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****




2.複合型「クサカンムリ」

 クサカンムリの解読です。まず辞書による「クサカンムリ」の解説を確認します。

「艸」 部首解説:これを部首にして、草花の種類・状態などを表す文字ができている。楷書では通常冠となって四画となり、常用漢字・人名漢字では更に省略されて三画となる。

 クサカンムリを解読するためにこれをもつ字の意味をグループ分けすると、草に関する意味の他に、「若」「苦」「葬」など特に「芸」「英」は明らかに「ひと」に関する意味を含んでいます。したがって、「クサカンムリ」の中には「ひと」の意味を見出すことが先決問題です。
 三画の融合前の形として、前項の「幵」に習って「十」を二つ並べた型を取り上げ、「おとこ」の意味を取り出します。

芳-方」=「十」+(融合)+「十」:=おとこ+おとこ=>男達

 「クサカンムリ」は「十+十」の四画が正式で「男達カンムリ」と呼ぶほうが適切なようです。「クサカンムリ」から男達の意味を取りだすと、多くの字の解読が可能となります。以下「クサカンムリ」の会意文字です。

 「クサカンムリ」は三画の型と、「十」を二つ並べた型の二つがありますが、どちらもフォントがなく「芳-方」で表記します。「クサカンムリ」の元として現在解説されている「艸」は別の文字として解読します。

 「芸」は「云」から解読しておきます。辞書で「芸」は「藝」から出来たと解説されていますが疑問です。設文解字では「芸」は草の一種とされていることから、設文解字のできたAD100年ごろには既に草の意味と混同していたと考えられますので、これも元の意味を解読しておきます。

」=「芳-方」+「方」:=男達+動き回る=>動き回る男達=>かんばしい(「方」cf.51)

」=「二」+「ム」:=二つ+(女性器の)ないもの(=おとこ/おす)=>二人の男達=>男が二人で語り合う=>二人でいい合う=>いう(「ム」cf.14)
」=「芳-方」+「云」:=男達+二人で言い合う=>(漫才コンビのような)会話を聞かせるおとこ=>芸人=>げい

」=「芳-方」+「右」:=男達+腰布を右側で縛る衣=>(右で縛る)女の衣を着た男達=>わかい男達=>わかい(「右」cf.42)

 本来「左(:=左縛りの衣)」側で縛るべき男が中性(第一次性徴期以前)の時代に女にあこがれて女装したのを文字が写し取ったもので、男性社会で若い女のボーイッシュなスタイルに相当します。

」=「芳-方」+「口+一+人」:=男達+まんなか=>中央にいる男達=>優れた男達=>ひいでたもの=>ひいでる(「央」cf.56)
」=「芳-方」+「古」:=男達+ふるいもの=>長く村落に居る男達=>ぎりぎりの生活をするもの=>生活に苦しむもの=>くるしい(「古」cf.39)
」=「芳-方」+「田」:=男達+生むもの=>男達が(田で)生産する=>草木のなえ=>なえ
」=「芳-方」+「何」:=男達+なんでも=>雑用の男達=>(主に)荷運びの男達=>荷を運ぶ=>にもつ(「何」cf.40)
」=「芳-方」+「者」:=男達+年寄り=>年取った男達=>何かに秀でたもの=>めだつもの=>いちじるしい(「者」cf.45)
」=「芳-方」+「亡」+「儿+|」:=男達+死ぬ+川に流す子供=>死んで川に流す男達=>腐敗する=>あれる(「亡」cf.51,「儿+|」cf.52)

」=「ノ(左はね棒)」+「戈」:=垂れ下がるもの+武器=>(錘の付いた)ぶら下げる武器=>ぶら下がる武器
」=「芳-方」+「戊」:=男達+ぶら下げた武器=>ぶら下げる武器をもつ男達=>優れた男達=>すぐれたもの=>りっぱなもの=>りっぱなくさ=>しげる

 第15回では「ノ(左はね棒)」の解読が済んでいなかったので「戊」の解読を除いていました。改めて「戊」から解読しておきます。「茂」のクサカンムリは初期の「男達」の意味から「垂れ下がるほどに成長したくさ=>しげるくさ=>しげる」と、同じ文字が途中から「くさ」の意味に変化しています。

」=「芳-方」+「死」+「廾」:=男達+しぬ+垂流すもの=>男の死体を(川に)流す=>ほうむる=>とむらう(「死」cf.、「廾」cf.)
」=「芳-方」+「介」:=男達+立って歩ける垂流す男=>垂流す男共=>つまらないもの=>ちさいもの(「介」cf.59)

」=「十」+「ハ」:=男+立ち上がるひと=>立ち上がる男=>優れた男/おとこ=>優れたもの
」=「芳-方」+「个-|」+「ホ」:=男達+優れたもの+おとこ=>優れた男達=>?=>ちゃを飲む男達=>ちゃ

 「茶」の中の「ホ」は「木」と同じ構成ですが、「ホ」には「優れた男」の意味が、「木」には「夫」の意味が強かったと考えられます。また、山岳民族などはビタミンの補給に茶を飲みますが、果実で作る酒の代わりに(穀物の)葉を発酵させた茶を飲みだしたのかもしれません(実際アリの中には木の葉を発酵させるものがいる)。



 本来の「艸」の解読を追加します。「艸」の省略形が「十+十」として残り、以上の「男達」の表記と混同したようです。まず辞書の解字を確認します。

「艸」 解字:会意。意符の「艸-屮」(くさ)を二つ横に並べた形からなる。くさがならび生えている意。

」:=からだ(上下逆転型):=口を上に向けるもの(いぬ)=>(四本足の)動物(再掲「凵」cf.35)
」=「凵」+「|+ノ」(左はね棒):=動物+垂れ下がるもの=>動物に垂れ下がるもの=>尻尾(再掲cf.35)
艸-屮」=「凵」+「|」:=動物+男根=>獣の男根
」=「屮」+「凵+|」:=尻尾+獣の男根=>たくさん細長く伸びたもの=>くさ

 「艸」の右半分は「凵+|」ですが、左半分の「屮」の複数形と考えてもよいでしょう。

」=「艸」+「草-艸」:=くさ+はやい=>(木に比べ)すぐ伸びるくさ=>くさ(「早」cf.45)
」=「艸」+「化」:=くさ+変化したもの=>くさの変化したもの=>はな
」=「艸」+「台」:=くさ+台のように盛り上がったもの=>盛り上がったくさ=>こけ(「台」cf.37)
」=「艸」+「牙」:=くさ+きば=きばのような草=>くさのめ=>め(再掲「芽」cf.52)

」=「艸」+「母」:=くさ+(実が)横に膨らむもの=>いちごの実=>いちご(「母」cf.10)

 「説文解字」で示されるクサカンムリの字は「艸」を元とする草の意味に解説されており、人の意味がすでに忘れ去られています。

***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「芳」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の方(匂いのよい意=香)とから成る。くさの香りがよい、香り草の意。ひいて、「かんばし」「かおり」などの意に用いる。
「云」 解字:象形。入道雲が巻いて上天に昇るさまを逆さまにした形。回り巡る雲の意。かりて。「いう」の意味に用いる。
「芸」 解字:「藝」の解説。
「若」 解字:会意形声。意符の口(くち)と、音符と意符をかねる「若-口」(??。髪を振り乱し、両手を差し伸べ、ひざまずいている象形)とから成る。神託を受ける、神託を受けた者の意。転じて、「したがう」意に用い、転じて、広く助字に用いる。
「英」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の央(はなの意=榮)とから成る。花だけ咲いて実らない草の花の意。ひいて、「はな」「はなぶさ」「ひいでる」などの意に用いる。
「苦」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の古(ひきしめる意)とから成る。口に入れると口内が引き締まる味のする草、にがなの意。ひいて、「にがい」意に、転じて「くるしい」意に用いる。
「苗」 解字:会意。意符の艸(くさ)と、意符の田(耕地)とから成る。田に植えたばかりのくさ、なえの意。
「荷」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の何(羽のくきの意)とから成る。羽の茎のような葉を持つ草、「はす」の意。借りて、「になう」意に用いる。
「著」 解字:形声。もと、箸の俗字で意符の竹が艸に変わったもの。ひいて、「つく」意に、借りて。「あらわれる」「あらわす」意に用いる。
「荒」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の??(乱れしげる意)とから成る。草が乱れしげる、「あれる」意。
「茂」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の戊(盛んの意)とから成る。艸が盛んに生い茂る意。ひいて、「しげる」い意に用いる。

「葬」 解字:形声。意符の死(しまばね)と、音符の??(「葬-死」は省略形。覆い隠す意)とから成る。しかばねを木の枝や土などで覆い隠す、「ほうむる」意。
「芥」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の介(そこなう意)とから成る。辛くて口をいためる野菜、からし菜の意。転じて、つまらないもの。
「茶」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の余(「茶-艸」は省略形。にがい意)とから成る。苦味のある飲料の取れる植物、「ちゃ」の意。


「草」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の早(ははその意)とから成る。ははその実の意。借りて、「くさ」の意に用いる。
「花」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の化(はなの意=華)とから成る。はなの意。
「苔」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の台(ころもの意=衣)とから成る。湿地や石などの表面に生える衣のようなくさ、「こけ」の意。
「苺」 解字:莓の解説。苺は莓の本字。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3.複合型「共-ハ」

 「共-ハ」は現在部首としてはありませんが、解読の対象とします。「干+干」や「十+十」の横棒が融合して一本になることに味を占め、「共-ハ」に応用します。

共-ハ」=「土」+(融合)+「土」=:(男の)ひと+(男の)ひと=>(男の)ひとたち
」=「共-ハ」+「ハ」=:(男の)ひとたち+立ち上がる男=>立ち上がる男達=>一緒にことを始める男達=>ともに働くひとたち=>ともに働くもの=>ともに働く所=>ともに働く

」=「イ」+「共」:=男の仕事+ともに働く人たち=>集団に使える男=>差し出す手伝い人=>提供されるひと=>きょうする(「イ」cf.54)
」=「氵」+「共」:=みず+ともに働くもの=>押し寄せる水=>おおみず
」=「口」+「共」:=くち+ともに働く=>みんながともに出す声=>どよめき
」=「共」+「虫」:=共に働くもの+むし=>一緒になくむし=>こおろぎ(意味は康煕字典による)(「虫」cf.38)
」=「共」+「己」:=共には働く所+成人した女=>女が共に働く所=>共同の仕事場=>ちまた(「己」cf.31)
」=「氵」+「巷」:=みず+共同の仕事場=>水に関する共同の仕事場=>みなと


 「巽」の字は上が現在「己」となっていますが、「饌」の字に残っているように「己」が「巳」であったはずです。なぜなら、「己:=ハイハイする女児」では意味が通らず、「巳:=成人した女」でないと意味が通りません。「巽」の展開の字はフォントの関係上現在ある「己」で代用します。

」=「巳」+「巳」+「共」:=女主人たちとともに働く人たち=>女主人がえらぶ仕事グループ=>えらぶ=>えらばれる位置=>東南の方角=>東南

 中国黄河文明で黄河流域の東北地方は生活条件が悪かったらしく「鬼門」と呼ばれて避けられ、逆に東南の方角が好まれたようです。「巽」が特定の方位ををえらぶ意味となったので、改めて「辵」をつけて「選」が「えらぶ」の意味を引き継いだと考えられます。

」=「食」+「巽」:=食べ物+えらぶ=>食物をえらぶ=>お供え物にする=>そなえる
」=「辵」+「巽」:=あし+えらぶ=>歩きまわってえらぶ=>えらぶ
」=「扌」+「巽」:=て+えらぶ=>手でえらぶ=>手でより分ける=>手に取る=>えらぶ/もつ/とる



」=「共-ハ」+「日」:=男達+頭領=>頭領であった男達=>むかしの男達=>むかし(「日」cf.45)
」=「共-ハ」+「日」:=男達+頭領=>頭領であった男達=>むかしの男達/むかしのもの=>古いタイプの男達=>ボス的な男

 「昔」には二つの意味の流れが読み取れます。

」=「イ」+「昔」:=おとこの仕事+むかしの頭領=>むかしの頭領に関する仕事=>頭領の所有物を貸し出す仕事=>道具を貸す=>かりる
」=「忄」+「昔」:=こころ+昔の頭領=>(逞しかった)昔の頭領への郷愁=>強かった男への郷愁=>いとおしむ=>おしむ
」=「口」+「昔」:=口+昔の頭領=>昔の頭領の言葉=>やんやいう
」=「扌」+「昔」:=手中のもの+古いタイプの男=>部族内のボス的男=>そのままにしておく=>すえおく=>おく
」=「金」+「昔」:=かね+むかしのもの=>昔の金属=>混じり物が多い=>混じる=>混ざる=>まじわる
」=「耒」+「昔」:=すき+古い頭領=>頭領のすき=>頭領が耕す/頭領のすきをかりる=>天使が自ら耕す/かりる
」=「竹」+「耤」:=竹+かりたすき=>借りをメモした竹札=>かきもの=>ふみ

 以上の文字から母系社会以前の旧父系制社会で既に耕作が始まっていたようです。

  「昔」の字の解読から、母系制社会になる前にはチンパンジやマントヒヒのように順位を持つオスたちが群れを率いる古い父系制の時代があったようです。「且」(後述)の解読からも同じ用に推測できます。従って、人類の歴史は横暴な旧父系制社会を女が知恵で母系制社会に変え、再び男が腕力で父系制社会に戻したと考えられます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「供」 解字:会意形声。意符の人(ひと)と、意符と音符を兼ねる共(ささげる意)とから成る。人の前にささげもってならべ置く、並べ勧める意。
「洪」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の共(横に広がる意)とから成る。横に広がって水路に従わないみず、」おおみずの意。
「哄」 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の共(ともにする意)とから成る。多くの人が共にする声、どよめきの意。
「蛬」 解字:角川大字源に題字なし。
「巷」 解字:形声。意符の??(郷の省略形。巳は変わった形。むらざとの意)と、音符の共(小道の意)とから成る。村里の大道から派出する小道の意。
「港」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の巷(こみちの意)とから成る。本流から分かれた支流の意。借りて、「みなと」の意に用いる。

「巽」 解字:形声。意符の丌(共は変わった形。机またはものを載せる台)と、音符の「巳+巳」(順序良く並べ供える意)とから成る。机上に順序良く並べ供える意。饌の原字。
「饌」 解字:会意形声。意符の食(たべもの)と、意符と音符を兼ねる巽(そなえる意)とから成る。食物を「そなえる」意。
「選」 解字:形声。意符の辵(ゆく)と、音符の巽(後に続く意)とから成る。後ろに続いて歩く、おうい。借りて「えらぶ」意に用いる。
「撰」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の巽(そろえる意)とから成る。手で集めそろえる意。ひいて、「もつ」意に用いる。

「昔」 解字:形声。意符の日(ひ)と、音符の??(「共-ハ」は省略形。蚕に繭を作らせるときに敷く麦わらを幾重も折り重ねた族耤)とから成る。意に用いる。
「借」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の昔(すりをする意=作)とから成る。まねて本ものの振りをする人の意。ひいて、「かりる」意に用いる。
「惜」 解字:形声。意符の心(こころ)と、音符の昔(刀でさす意=刺)とから成る。心が突き刺されたようにいたむ意。ひいて、「おしむ」意に用いる。
「唶」 解字:形声。意符の口(こえ)と、音符の昔(つみ重ねる意=積)とから成る。ひっきりなしの声、うるさく言う意。
「措」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の昔(はなす意)とから成る。手から放す、「おく」意。
「錯」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の昔(ぬる意=塗)とから成る。金属にメッキをする意。借りて、「まじわる」「たがう」などの意に用いる。
「耤」 解字:形声。意符の耒(すき)と、音符の昔(足で踏む意)とから成る。すきを足で踏んで耕す意。ひいて、天使が自ら田を耕す意に用いる。
「籍」 解字:形声。意符の竹(たけのふだ)と、音符の耤(かきあらわす意=著)とから成る。文字の書かれている竹札の意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****




4.複合型「幸」

 特殊な複合型として「幸」を解読します。この字はこれまでの知識で解読できるのですが、一ひねりいります。

 まず辞書の解字を確認します。
「幸」 解字:会意形声。意符の夭(若死に・災害の意)と、意符と音符を兼ねる屰の(「羊-一」は変わった形。じゃまして遮る意)とから成る。災害を避け逃げる、あるいは死ぬところを死なないで助かる、「さいわい」の意。

」=「十」+「一」:=男+体=>男の体=>男=>ひと=>座り込む体=>座る所=>地面=>つち(再掲。「ひと」を追加。cf.19)
」=「土」+「∥」+「土」(上下逆):=ひと+男根+逆さ向きのひと=>男根で結びついた男女=>快感の絶頂=>しあわせ

 本来縦棒一本で表示する男根では「土」+「|」+逆さまの「土」では、縦軸が一本になってしまい、意味が取れなくなります。そこで「幸」では男根を二本の縦棒で表現することにより、上の男と逆さになったひと(女)の組み合わせで、まさに性交中をデザインしています。「幸」はたった八画で交わる男女を表す文字であり、漢字の中の傑作のひとつです。

 少し変形されているので分かりにくいのですが、二本の縦棒で男根を示す平凡な文字が他にあります。少し後の紹介となる予定ですが、皆さんも探してみてください。以下に「幸」の会意文字を示します。

」=「辵」+「幸」:=あゆむ+しあわせ=>しあわせにあゆみゆく=>エクスタシイへ上り行く=>のぼりゆく=>たっする

 「逹」は旁の「土」の下が「羊」になっているものがありますが、旁が「幸」でないと「羊(後述)」では意味がとれません。「達」は「エクスタシに達する」というのが本来の意味です。

」=「幸」+「丸」:=しあわせ+円熟した女=>行為に円熟するしあわせ=>快なる行為=>喜々としてはからう=>とりおこなう


 辞書で「幸」は古来「枷」の象形とされ、罪人を懲らしめる刑具と書かれたものがあります。漢字に興味を持ち出した10年以上前には、心が(好きなものに)捕らわれる「しあわせ」という抽象的な内容を、具体的な道具の象形で示すという知的に高度な抽象化表現の例であると考えていました。「幸」の解読により、漢字は抽象的な概念を意味要素の図案化で表現すると気づかせてくれました。
 この考えを手掛かりに難解であった「非」(cf.12)、「言」(cf.39)、「夕」(cf.42)、「刀」(後述)、「斗」(後述)などが解読できました。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「達」 解字:達の解字。
「執」 解字:形声。意符の幸(両手にはめた枷)と、音符の??(丸は省略形。つかんで握る意)とから成る。罪人を手でつかんで握る意。ひいて、「とる」意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



5.複合型「無-(乞-乙)-灬」

 「無-(乞-乙)-灬」は前項の「共-ハ」を更に横に融合した骨格を持ち、女の徳(出産と理性)を持たないものすべてを表したようです。辞書によると「無」と「舞」はもとは同じ字で共に象形とされています。

無-(乞-乙)-灬」=「共-ハ」+(融合)+「共-ハ」:=共に働くもの+共に働くもの=>集団で動くもの=>自己(主張)のないもの(「灬」cf.61)
無-灬」=「無-(乞-乙)-灬」+「乞-乙」:=集団で働くもの+若い男=>集団で働く若い男達
」=「無-(乞-乙)-灬」+「乞-乙」+「灬」:=集団で動くもの+若い男+子供達=>集団で動く若い男子と子供達=>(女の)徳のないもの=>徳のないもの達(女を産まぬもの)=>(女児の)ないもの=>ない(「乞-乙」cf.54)
」=「扌」+「無」:=て+(女の)徳のないもの=>(女が)所有する徳のない(言葉の通じぬ)もの=>なでる
」=「忄」+「無」:=こころ+(女の)徳の無いもの=>徳の無いものの心=>動かない心

 「憮」の意味は辞書では「徳の無いものへの心=>かわいがる・いつくしむ」となっていますが、設文解字では「(徳の無いものの心=>)動かない心」となっています。「憮然」の意味から「動かない心」のほうに近いでしょう。

」=「口」+「無」:=くち+ないもの=>言葉を持たぬもの=>口に出せない=>あいまいなようす=>さぞ


」=「夕」+「ヰ」:=かたむいた体+前を隠した男/すぐれた男=>反抗する優れた男=>傾いて優れた(輝く)もの=>たがで止めた傾いた木(棒)=>傾いた木枠の容器=>ます(再掲、cf.53)
」=「無-灬」+「舛」:=集団で働く男子達+〔傾けた体+すぐれた男〕=>集団で体を傾ける男達=>集団でまう男達=>まう


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「無」 解字:甲骨と金文は象形で、もと舞(まう意)意に同じ。篆文では亡を加えて、「ない」意に用いる。
「撫」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の無(なでる意)とから成る。手で「なでる」意。
「憮」 解字:形声。意符の心(こころ)と、音符の無(なでやすんじる意)とから成る。いつくしむ意。
「嘸」 解字:会意形声。意符の口(くち)と、意符と音符を兼ねる無(ない、むなしい意)とから成る。くちに出さない、むなしい意。

「舞」 解字:解字:甲骨と金文は象形で、もと無と同じ。人が飾りを身につけてまうさまにかたどる。のち、舛を加えて、無(ない意)と区別し、もっぱら「まう」意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



6.複合型「冓-冉」

 「主」は上がナベブタですが、「青」「害」などのように、よくナベブタノの点と「土」の縦棒とが融合して一画になってしまうケースを紹介しました。そこで「冓」の冠も「主」の融合と強引に推理します。


冓-冉」=「主」+(融合)+「主」:=隠れたひと+隠れたひと=>隠れたひとびと

」=「一」+「||+由」:=体+臨月の妊婦=>臨月の体=>じわじわ上向く=>じわじわ進む(再掲、cf.25)
」=「一」+「||+由」:=体+立ち上がる妊婦=>(敏感に)危険に対しみがまえた体=>かまえた体=>かまえる

「冉」(コウ)には妊婦の「(体が)じわじわ上向く」意味の他に、気の立った妊婦が危険に対して敏感に「身構える」意味の流れがありましたので追加します。

」=「冓-冉」+「冉」:=かまえた体+隠れたひとびと=>身を隠して身構えるひと達=>身構える人たち=>かまえること=>枠組み

」=「木」+「冓」:=き+かまえる=>木で枠組みしたもの=>木の枠組み=>木枠=>木の骨組み

」=「氵」+「冓」:=水+枠組み=>枠組みした水=>水の流れ道を固めたもの=>みぞ

」=「扌」+「冓」:=て+かまえる=>手をかまえる=>(武道などの)素手もしくは手を意識した身のかまえ=>かまえる
」=「辵」+「冓」:=あし+かまえる=>あしをかまえる=>(何者かに)出会って歩が止まる=>足をかまえる=>出会う=>あう
」=「言」+「冓」:=ことば+かまえる=>言葉をかまえる=>言葉を選んで話す

」=「貝」+「冓」:=聡明な男+かまえる=>賢い男がかまえる=>失敗をつぐなう=>あがなう=>対価を払う=>かう


 「冓」と次の「塞-宀-土」は共に「身構える=>かまえる」意味ですが、元の意味として「冓」は女が身構える、「塞-宀-土」は男が身構える、の違いがあります。


塞-宀-土」=「冓-冓」+「ハ」:=かまえる+たちあがる男=>立ち上がってかまえる人=>身構える=かまえる
塞-土」=「塞-宀-土」+「宀」:=身構える+いえ=>家の中で身構えるひと=>身構える=>かまえる
」=「塞-土」+「土」:=家の中で身構える+ひと=>家の中で身構える=>(危険に対して)出入り口を閉じる=>出入り口をふさぐ=>ふさぐ


」=「塞-土」+「貝」:=かまえる+賢い男=>賢い男がかまえる=>神へ感謝し報いる=>さいせんを捧げる=>賭博金を出す=>(さいころで)勝敗を争う=>争う道具=>さいころ
」=「塞-土」+「手」:=かまえる+て=>構えたて=>ひきぬく手=>ぬきとる=>とる
」=「塞-土」+「足」:=かまえる+あし=>あしをかまえる=>足を曲げる=>曲がった足=>あしなえ
」=「塞-土」+「言」:=かまえる+ことば=>かまえた言葉=>どもる



***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「冓」 解字:象形。器になる部分と台になる部分とが同じ形に作られた竹製に容器の形にかたどる。篝の原字。借りて、「かまえる」意に用いる。
「構」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の冓(互い違いに組み合わせえて積む意=交)とから成る。木を互い違いに組み合わせて積み、家屋・橋梁などを建築する、「かまえる」意。
「溝」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の冓(互いに行き会う意=遘)とから成る。田畑の間に水を通すために、互いに交差させた水路、「みぞ」の意。
「搆」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の冓(組み合わせて作る意=構)とから成る。手で組み立てて作る、「かまえる」意。
「遘」 解字:形声。意符の辵(みち)と、音符の冓(であう意=遇)とから成る。道で互いに行き会う、「あう」意。
「講」 解字:形声。意符の言(ことば)と、音符の冓(やわらぎをはかる意=)とから成る。お互いの言い分を取ってやわらぎを計る意。
「購」 解字:形声。意符の貝(貨幣)と、音符の冓(「塞-土」の省略形。神を祭る意=祭)とから成る。神から受けた福に対して貨幣などによって報い祭る意。

「塞」 解字:会意形声。意符の土(つち)と、意符と音符を兼ねる??(「塞-土」は省略形。両手でかわらを済み重ねる意)とから成る。両手で屋根の下にかわらを斉整に積み重ねて、「ふさぐ」意。
「賽」 解字:形声。意符の貝(財産)と、音符の「塞-土」(塞の省略形。神を祭る意)とから成る。神から受けた福に対して、貨幣などによって報い祭る意。
「搴」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の「塞-土」(抜き取る意)とから成る。手で抜き取る意。
「蹇」 解字:形声。意符の足(あし)と、音符の「塞-土」(まがる意=曲)とから成る。片足が曲がって伸びない、「あしなえ」の意。
「謇」 解字:形声。意符の言(ことば)と、音符の「塞-土」(蹇の省略形。なやむ意)とから成る。言葉になやむ、「どもる」意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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 このブログは漢字の解読を紹介します。従来、部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。  「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。

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Author:sachio43
定年後に漢字の解読を研究中
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