象形文字の秘密
漢字の解読

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「口」の追求11 /47

 これまでの「口」の追求で説明の行き届かなかったものを今回取り上げます。

1. まず独立の部首である「豆」ですが、辞書の説明から入ります。

「豆」 部首解説:これを部首にして高杯(たかつき)種類・状態に関する文字ができている。また、のちに「まめ」の意に借用されるようになってからは、豆の種類・製品などに関する文字ができている。
    字義:たかつき(食物を盛った木製の祭器)。まめ。
    解字:象形。盛り物をもった高杯の形にかたどる。脚が高くたっている器、「たかつき」の意。


 これまでの解読から進めてみましょう。
同-冂」=「一」+「口」:=からだ+女=>女の体=>成人した女=>独立したひと=>あるじ(第41回、第44回参照)
前-月-刂」=「ソ+一」:=まえ(第35回参照:これに関しては、後にもっと詳しく追求します)
」=「同-冂」+「前-月-刂」:=女の体+まえ=>女の体のまえ=>あたま=>丸いもの=>まめ

」=「曲」+「豆」:=上にたくさん曲がって伸びるもの+まめ=>豆の芽=>心豊かになるもの=>心ゆたか=>ゆたか(再掲:第10回参照)


」(ガイ)=「山」+「豆」:=火山+丸いもの=>火山弾=>噴出すもの(火山の大きな丸い岩)=>積もるもの=>積み重なるもの=>(短期に)繰り返すもの=>無意味に繰り返すこと=>どうして(あに)
」=「豈」+「刂」:=火山の石+かたな=>花崗岩の研磨棒=>みがく棒=>みがく
」=「石」+「豈」:=いし+火山の石=>加工した石=>うす(火山岩の一種の花崗岩で造る)
」=「豈」+「几」:=繰り返すもの+指揮官=>指揮官の繰り返すもの=>勝ち鬨=>喜びの雄叫び=>よろこぶ=>たのしむ
」=「土」+「豈」:=つち+積み重なる=>積み重なった土地=>たかだい
」=「金」+「豈」:=かね+積み重なるもの=>積み重なる金属=>よろい
」=「忄」+「豈」:=こころ+丸い石=>丸く大きな心=>たのしいこころ=>たのしむ
」=「白」+「豈」:=清い水+積み重なる=>滝の水=>白く清い
」=「阝」+「豈」:=単なる寄せ集め+火山の石=>積み重なった石=>(自然の)石段=>はしご


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「剴」 解字:形声。意符の刀(かたな)と、音符の豈(こする意=磑)とから成る。一説に音符の豈は、ごしごし切る意で、刃物でごしごし切る意という。
「磑」 解字:形声。意符の石(いし)と、音符の豈(すり合わせる意=剴)とから成る。いしうすの意。

「凱」 解字:形声。豈はたかつきに盛った美味しい食べ物の意で、ひいて「たのしむ」意に用いられたが、のち、「あに」という副詞に専用されるようになったので、意符の几(楽器を載せる台)と、音符の豈(たのしむ意)とをあわせ、戦勝の音楽、ひいて、楽しむ意に用いる。

「塏」 解字:形声。意符の土(土地)と、音符の豈(かわく意=晞)とから成る。高く乾いている土地の意。
「鎧」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の豈(よろいの意=介・甲)とから成る。金属製のよろいの意。
「」 解字:形声。意符の心(こころ)と、音符の豈(たのしむ意=)とから成る。楽しむ心の意。ひいて、「たのしむ」意に用いる。
「皚」 解字:形声。意符の白(しろい)と、音符の豈(うつくしい意=艾)とから成る。白く美しい意。

「隑」 解字:形声。意符の阜(おか)と、音符の豈(はしごの意=階)とから成る。はしごを昇る、つまだつ意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2.「吉」「喜」の追求

 第41回で、結局父系社会になって「吉」の字は上部が「土」だったのが「士:=>男子」(第20回参照)に換えられたと考えられるとしましたが、「喜」の字の事を忘れていました。「吉」の字は別に『設文解字』に独立して表記されています。辞書の意味をまず参照し、改めて解読します。

「吉」 字義:よし
    解字:甲骨文字では会意。意符の口(くち)と、音符の才(ふさがる意=塞)とから成る。食物で口をふさぐ意。金文では形声。意符の口(くち)と、音符の戉(食物をかむ意=喫)とから成る。食物を口にいっぱいにして食う意。服喪の期間が終わり、平常生活に戻ったときのことなので、ひいて「よい」意に用いる。


」=「士」+「口」:=男根+ひと=>わかい男の人=>壮年の男=>たくましい=>よし
」=「イ」+「吉」:=男の仕事+若い男=>若い男の仕事(種馬のひと)=>健やかな男根=>固く締まったもの=>かたい/すこやか
」=「扌」+「吉」:=て+若い男=>若い男の手=>固く引き締まった手=>労働する手=>はたらく
」=「言」+「吉」:=ことば+若い男=>若い男の言葉=>つっかえる=>つまる=>(問い)つめる=>つめる
」=「糸」+「吉」:=いと+若い男=>糸先の飛び出し=>結び目で飛び出す糸先=>結び目=>むすぶ

喜-下の口」=「吉」+「ソ+一」:=若い男+まえ=>若い男の前
」=「喜-下の口」+「口」:=若い男の前+おんな=>若い男の前の女=>よろこぶ女=>よろこぶ

 「」は「哲」の別自体となっており、『設文解字』に「哲」はありますが「」はみつかりません。『康煕字典』では「哲」の古字として「品」の「口」を「吉」で置き換えた字が載っています。「」の代わりに「哲」の字を解読しておきます(「折」は第22回で「腕を曲げる」意味にとりましたが、今回は指に関する意味のようです)。

」=「折」+「口」:=反り返る手+おんな=>反り返る指の女=>賢いひと=>さとい


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「佶」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の吉(つよい意=劼)とから成る。人が健やかである意。
「拮」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の吉(固く締まった意=緊)とから成る。手を引き締めて働く意。
「詰」 解字:形声。意符の言(ことば)と、音符の吉(きわめる意=窮)とから成る。言葉で問い窮める、「なじる」意。
「結」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の吉(まげる意=曲・屈)とから成る。糸を曲げて結ぶ意、ひいて「むすぶ」意に用いる。

「哲」 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の折(ただす意=制)とから成る。言葉が正しい、才知が明らかでものの道理がわかる意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3.「事」の追求

 ここまでくれば「事」は何事もないく解読可能です。ついでに「争」の字も解読しておきます。

「事」 字義:こと
    解字:会意形声。意符の??(手)と、意符と音符を兼ねる樴??(=樴。「十+口」は省略形。小旗をつけて印とした柱の意)とから成る。古代役所や職業の目印として、枝のある立ち木を切って立て、これにその取り扱う仕事を表す小旗をつけたことから、もと、目印の旗が示す仕事の意。ひいて、一般に仕事・事柄の意に用いる。
「争」 字義:あらそう
    解字:なし(爭の解説)。

帚-冖-巾」=「巾」の右90度回転:=制する男=>指揮する男(第34回参照)
すでに解読した内容ですが、「事」を解読するためにこの意味の流れをさらに追加します。

帚-冖-巾」=「巾」の右90度回転:=制する男=>指揮する男=>覇を競う=>競い合う=>あらそう
」=「十」+「口」+「帚-冖-巾」:=おとこ+おんな+あらそう=>男と女の争い=>男女のもめごと(色恋ざた等)=>できごと=>こと
」=「ク」+「帚-冖-巾」+「|」=どうぶつ+あらそう+垂れ流す=>垂れ流す獣の争い=>あらそう



4. 「香」の追求

 「香」は「日」の部首に入っていてもおかしくないと思われます。しかし、「日」が太陽の意味である限り解字が困難ですから、独立の部首としたのでしょう。象形とは言い切れず、会意で説明するために、二つの部分がともに別字の省略形とひねって説明しています。

「香」 部首解説:これを部首にしてかおりに関する文字ができている。
字義:かおり
    解字:形声。意符の黍(禾は省略形。きび)と、音符の甘(日は省略形。あまい意)とから成る。口に入れた黍のこうばしい「かおり」の意。


」=「禾」+「日」:=あわ+優れたひと=>食の足りた知者=>優雅な雰囲気=>オーラのかおり=>かおり


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【2007/01/28 15:39】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(1) | COMMENT(0) |

「口」の追求10 /46

 今回は「口+中の|」を追求します。「中」は「口」を突き抜けていましたが、「口」の中の縦棒です。

1. 「免-ク-儿」の追求

 「免-ク-儿」は部首としては「日」が90度回転した形です。現在「円」「」「巴」「邑(阝)」「色」「免」「眉」「声」の中にあり、基本的な要素です。

 前回追求した「日」は「おんな」の意味から「太陽」へと発展したように、女の最高要素を表していました。これに対して「横向きの日」では何を表しているのでしょうか?

「円」「色」「免」の三文字に関し、既に解読できた所を埋め込んで未知の部分をあぶりだしてみましょう。

「円」=「免-ク-儿」+「||」:=?+立った(女の)両足=>?+立ったひと=>?なひと=>まるい
「色」=「ク」+「免-ク-儿」+「L」:=動物的な+?+女の徳=>動物的な?のおんな=>発情したおんな=>いろっぽい
「免」=「ク」+「免-ク-儿」+「儿」=動物的な+?+垂れ流す子供=>垂れ流す動物的な?=>めんずる(ゆるす)

 以上の「免-ク-儿」は「ク:=動物的な」と結びつき易い特徴を持つもので、共通な意味として「肉体」もしくは「女体」を取り出すことができます。この意味で解読を進めます。

免-ク-儿」=「口」+「|」(「日」の90度回転):=>くち+垂れ流す=>垂れ流す口=>尿道口=>女性器=>女体
眉-目」=「免-ク-儿」+「|+ノ」(左はね棒):=女性器+垂れ下がるもの=>女性器に垂れ下がるもの=>陰毛
」=「眉-目」+「目」:=陰毛+目=>目の陰毛=>まゆげ=>まゆ
」=「免-ク-儿」+「||」:=女性器+立ち上がる女=>女の肉体=>まるい
」=「色-ク」=「免-ク-儿」+「L」:=女性器+女の徳=>女体の徳(女陰)=>女の生殖(出産)
免-儿」=「ク」+「免-ク-儿」:=動物的な+女体=>動物的な女=>発情した女
」=「ク」+「免-ク-儿」+「L」:=動物的な+女体+女の徳=>発情した魅力的な女=>肉感的な女体=>いろけ=>いろ
」=「ク」+「免-ク-儿」+「儿」:=動物的な+女体+垂れ流す女=>動物的な女子=>早熟な女子=>早すぎる性交=>ゆるす

 「色」や「免」は途中の「免-儿」の意味を経由しないで、各三つの構成要素の合成から直接解読できます。これらの各要素の意味がかなり長い時代にわたり独立に固定していたからと考えられます。


」=「木」+「色」:=き+いろ=>色のつく木=>もみじ
」=「糸」+「色」:=いと+いろ=>色をつけた糸=>色あせる=>色がなくなる=>なくなる=>たえる
」=「豊」+「色」:=ゆたか+いろけ=>豊かな色気=>つややか

 「絶」の成り立ちとその意味から、糸は染めてもすぐ剥げてしまい染色の技術が発達するまでには長い時代が掛かったと考えられます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「眉」 解字:象形。目の上に毛のあるさまにかたどる。目のそばにある毛、「まゆ」の意。
「円」 解字:なし(圓の説明)。
「巴」 解字:象形。虫(へび)の形にかたどる。大蛇の意。像を食う非常に大きい蛇という。
「色」 解字:形声。意符の「万-一」(人の形)と、音符の「即の旁+ヽ」(巴は変わった形。交合する意=接)とから成る。人が交わり結びつく、性交する意。ひいて、男女間の情欲など、「いろ」の意に広く用いる。
「免」 解字:形声。意符の儿(ひと)と、音符の「奐-大」(屈服する意=伏)とから成る。人が伏して屈服している意。俛の原字。

「栬」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の色(くいの意=弋)とから成る。木のくいの意。
「絶」 解字:なし(旁が「刀+巴」の解説)。
「艶」 解字:なし(旁が「去+皿」の解説)。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2. 以下「免」の展開です。「免」は八画ですが、偏がつくと七画に変わります?
「免」の展開された文字達から共通に「引き戻す」意味が取り出せますから、前項の解読を補充します。

」=「ク」+「免-ク-儿」+「儿」:=動物的な+女体+垂れ流す女=>動物的な女子=>早熟な女子=>早すぎる性交=>ゆるす=>(罪を)まぬがれる=>(最後の)放免=>引き戻す
」=「イ」+「免」:=男の仕事+引き戻す=>綱を引く仕事=>身をかがめて引く=>うつむく動作=>うつむく
」=「扌」+「免」:=て+引き戻す=>手で引き戻す=>手で引く=>ひく
」=「氵」+「免」:=みず+引き戻す=>元に戻す水=>(使用済みの)水を聖なる所に戻す=>けがす
」=「忄」+「免」:=こころ+引き戻す=>引き戻された心=>記憶の戻った心=>わすれる
」=「日」+「免」:=太陽+引き戻す=>引き戻された太陽=>沈む直前の(大きくなった)太陽=>夕方=>ばん
」=「辵」+「免」:=あし+引き戻す=>走りゆく=>逃れられる=>うしなう
」=「女」+「免」:=おんな+引き戻す=妊娠から引き戻す=>産み落とす=>うむ
」=「車」+「免」:=くるま+引き戻す=>(車輪のはまった)車を引き戻す=>車を引く


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「俛」 解字:会意形声。意符の人(ひと)と、意符と音符を兼ねる免(人がうつむいている形)とから成る。人が体をうつむけて伏している意。
「挽」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の免(力を入れた引っ張る意)とから成る。手で強く引く意。
「浼」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の免(黒くする意=煤)とから成る。水を黒くする意、ひいて「けがす」意に用いる。
「悗」 解字:会意形声。意符の心(こころ)と、意符と音符を兼ねる免(ぬける意)とから成る。心から抜けてしまう、わすれる意。
「晩」 解字:形声。意符の日(ひ)と、音符の「刀+免-ク」(=免。日が見えなくなる意=莫)とから成る。太陽が見えなくなる、日が暮れる意。
「逸」 解字:形声。意符の辵(ゆく)と、音符の兔(うさぎの意)とから成る。兔が手からすり抜けてゆく、「にげる」「うしなう」の意。
「娩」 解字:形声。意符の女(おんな)と、音符の免(女性がしゃがんで赤子を産み落とす意)とから成る。女性が赤子を産む意。
「輓」 解字:形声。意符の車(くるま)と、音符の免(ひく意=挽)とから成る。車を「ひく」意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3. 以下は「巴」の展開です。

 「巴」はその展開が豊富です。特に項を設けて紹介します。「巴」を展開した次に示す最初の「邑」「疤」をのぞいて、共通に「つかむ」意味が取り出せます。まず、これに合わせて前々項の解読を補充します。

」=「色-ク」=「免-ク-儿」+「L」:=女性器+女の徳=>女体の徳(女陰)=>女の生殖器(出産/生む所)=>男根をつかむもの=>つかむ
」=「口」+「巴」:=おんな+生殖器=>生み出す所=>命を生むもの
」=「疒」+「巴」:=やまい+生む所=>生むところの病=>(子宮が)回復する(縮む)病=>(傷の)縮む病=>(回復のための)かさぶた=>かさ
」=「扌」+「巴」:=て+つかむ=>手でつかむ=>つかむ
」=「木」+「巴」:=き+つかむ=>木でつかむ=>かき集める木道具=>さらえ
」=「弓」+「巴」:=ゆみ+つかむ=>弓のつかむところ=>ゆずか
」=「爪」+「巴」:=つめ+つかむ=>つめでつかむもの=>つめでかく=>引っかく
」=「クサ冠」+「巴」:=くさ+つかむ=>葉が(花芯を)つかむくさ=>ばしょう
」=「后-口」+「巴」:=反り返る体+つかむ=>反り返る(水をつかむ)器=>さかずき
」=「革」+「巴」:=かわ+つかむ=>つかむ革=>たずな


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「邑」 解字:形声。意符の口(囲いの意)と、音符の??(=跪。巴は誤り変わった形。集まる意=蒐、また丘の意=丘)とから成る。丘の上の囲まれた屋敷、また人の集まり住む所の意。ひいて、「みやこ」「くに」の意に用いる。
「疤」 解字:形声。意符の疒(やまい)と、音符の巴(傷跡の意=)とから成る。かさの跡の意。

「把」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の巴(つかむ意=包)とから成る。手で握る意。ひいて、握る部分「つか」の意味に用いる。
「杷」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の巴(かく意=爬・把)とから成る。掻いてならす木製の器具、「さらい」の意。
「弝」 解字:形声。意符の弓(ゆみ)と、音符の巴(つかむ意=把)とから成る。弓の中央部の左手で握る部分、「ゆづか」の意。
「爬」 解字:形声。意符の爪(つめ)と、音符の巴(はぎとる意)とから成る。つめではぐ、「かく」意。
「芭」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の巴(おおきい意=伯)とから成る。大きな葉を持った香草、ばしょうの意。
「巵」 解字:なし(卮の説明)。
「靶」 解字:形声。意符の革(かわ)と、音符の巴(たづなの意=勒)とから成る。革の手綱の意。


***** 終了 関連する辞書の解字 *****



4. さらに前項「邑」の展開で、まずは辞書の解説からです。
今回紹介する多くの展開が甲骨文字成立以前に出来上がったと考えられます。

「邑」 部首説明:これを部首にして、人の住居地に関する意や、地名に関する文字ができている。二次の構成上では旁となっていることが多く、楷書ではおおむね阝が用いられて、偏となる阝(阜の省略形。こざとへん)と区別して「おおざと」と称される。
    字義:みやこ
    解字:形声。意符の口(かこいの意)と、音符の??(=跪。巴は誤り変わった形。あつまる意=蒐。また、おかの意=丘)とから成る。丘の上に囲われた屋敷、また、人の集まり住む所のひいて、「みやこ」「くに」の意に用いる。

 「邑」の変形である「阝(おおざと)」を含む文字は共通に「複雑な組織」の意味が読み取れますので、それに合わせて「邑」の解読も補充します。

)」=「口」+「巴」:=おんな+つかむ=>おんなのつかむ所(つかむ口)=>生み出す所=>出産するひと=>命を生むもの=>有機的な(入り組んだ)もの=>(社会)組織=>みやこ=>くに
」=「イ」+「邑」:=男の仕事+組織=>組織で働く男=>いさまし男=>いさましい
」=「扌」+「邑」:=手+組織=>組んだ手=>(水をすくう)組手=>(水を)くむ=>くむ
」=「氵」+「邑」:=「氵」+「邑」=>みず+組織=>上水路(配水路組織)=>うるおう
」=「忄」+「邑」:=こころ+複雑な=>絡み込む心=>なやむ=>うれえる
」=「口」+「邑」:=くち+複雑な=>よれ曲がった口=>なげく
)」=「圭」+「邑」:=上下の男たち+組織=>男の作る組織=>二分したむら=>むら
)」=「咅」+「邑」:=立ったひと+組織=>組織の中の独立した女=>部分に組み込まれた女=>ぶもん=>ぶぶん
」=「有」+「邑」:=衣のある人+組織=>セレブの組織=>さかんなさま=>さかん
」=「者」+「邑」:=年取ったひと+組織=>複雑に枯れた組織=>みやこの社会組織=>みやこ
」=「屯」+「邑」:=たむろす+組織=>留まる軍隊=>軍の駐留する所=>むら

邦-阝」=「三」+「|」+(融合)+「|+ノ」(左はね棒)=>たくさんの男+たれながすもの=>垂れ流す男達
」=「邦-阝」+「阝」:=垂れ流す男達の集まり=>それなりの組織=>くに


「こざと偏」の「阜:=男の上下組織=>単純な集まり」(第43回参照)に比べ、「おおざと」は女の体に由来する複雑な組織を現しています。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「俋」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の邑(いっぱいにふさがる意=悒)とから成る。気力が満ち溢れて勇ましいささ。
「挹」= 解字:形声。意符の手(て)と、音符の邑(中に入れてふさぎこめる意=囿)とから成る。ひしゃくの中に液体を入れた「くむ」意。
「浥」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の邑(まとう意)とから成る。水をいっぱいまとう、「うるおう」意。
「悒」 解字:形声。意符の心(こころ)と、音符の邑(ふさがる意=厭)とから成る。心がふさがって落ち着かない、「うれえる」意。
「唈」解字:形声。意符の口(くち)と、音符の邑(気分がふさがる意=悒)とから成る。気分がふさぎ嘆く意。

「部」 解字:形声。意符の邑(集落、部族)と、音符の咅とから成る。地名。借りて、「わける」意に用いる。
「郁」 解字:形声。意符の邑(まち)と、音符の有とから成る。地名。かりて、「さかん」の意に用いる。
「都」 解字:形声。意符の邑(くに)と、音符の者(おおい意=諸)とから成る。国中で人のおおい所、「みやこ」の意。
「邽」 解字:形声。意符の邑(まち)と、音符の圭(はなれる意=睽)とから成る。上邽・下邽に分離した地の名。
「邨」 解字:形声。意符の邑(阝は省略形。むらざと)と、音符の屯(あつまる意)とから成る。人の集まる「むら」の意。のち、邨に変わって村がもっぱら「むら」の意に用いられる。
「邦」 解字:形声。意符の邑(甲骨文字は田。くに)と、音符の「|+三」(盛んに茂っている意=豊)とから成る。葉の差万に茂っている木を植えて田や村の境いとした区域の意。ひいて、「くに」の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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【2007/01/20 16:30】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(4) |

「口」の追求9 /45

 今回は「日」の追求です。

1. 「日」(ひ)に近い「曰」(いわく)から片付けておきます。

 まず辞書の意味から見てみます。

「曰」 部首解説:これをもとにして口から発することばに関する文字ができているが、数が少ない。字形の上からこの部首に置かれた文字もある。「いわく」「ひらび」などともいう。
    字義:のたまう。いわく。
    解字:象形指示。口の中からことばまたは気息が出るさま(L)。口の中からことばや口気が出る、「いう」意。「日(ひ)」の旧字体。

 注意;「□(くにがまえ):=かこう」の第一画にも「曰(いわく)」の見出しがあり、「囲う」意味から「曰(いわく)」がうまれ、その「曰(いわく)」の旧字体は「日(ひ)」とされています。
まとめると、「□(くにがまえ):=かこう」から「日(ひ)」が生まれ、「日(ひ)」から「曰(いわく)」が生まれたとなります。


 この「曰」(いわく)の部には既に解読した「由」「申」「甲」「曲」「更」や今回解読する「書」が含まれており、象形として由来の分からない文字の寄せ集めのエントリーです。「曰」を使った文字が特に見当たりません。

「曰(いわく)」は「口:=くち」から派生した後代の追加でしょう。この字は他の字と関係が薄く、解読不可能です。



2. 「日」の追求

 まず辞書の意味から見てみます。

「日」 部首解説:これを部首にして太陽の運行に伴う、時間や明暗に関する意を表す文字ができている。
    字義:太陽。ひ。
    解字:象形。太陽の形にかたどる。太陽の意、ひいて日光・昼・一日などの意に用いる。

 古い時代に作られ、画数が比較的に少なく、是までに解読が進み、かつ太陽の意味を持たない字を探すことから始めます。捕らえたのは「早」「者」「音」「旧」「是」です。

 一方「日」は既に次の所まで解読を進めることができます。先の一見ごみのように見えた「曰」(いわく)が、実は「日」が「口」と「一」の合成であることを暗示してくれています。

」=「口」+「一」:=おんな+からだ=>女の体=>女のひと=>ひと

これを手がかりに以上の文字を解読することができれば成功です。

」=「日」+「十」:=ひと+おとこ=>男の人=>おとこ=>はやい
」:=座る男=>男の人=>おとこ(第19回参照)
者-日」:=「土」+「ノ」=>おとこ+特別な=>特別な人=>年取った人=>おいた人
」=「者-日」+「日」:=おいた人+ひと=>年取った方=>年取ったもの=>もの
」=「立」+「日」:=たつ+ひと=>立ったひと=>演説するひと=>大きな声=>声=>おと
」=「|」+「日」:=垂れ流す+ひと=>垂れ流すひと=>古い時代のひと=>古い時代=>ふるい
」=「日」+「定-宀」=ひと+男の足=>足の速い男=>この男=>これ

これらを足がかりに、「日」の元の意味が「おんな」であるとして解読します。

」=「口」+「一」:=おんな+からだ=>女の体=>女の(特に優れた)ひと=>命を生むもの(知恵を得たもの)=>輝けるもの=>太陽

」=「日」+「||」:=おんな+両足=>立った女=>独立した女=>女のひと=>女体=>月経のあるもの=>毎月のもの=>毎月満ち欠けするもの=>つき
」=「日」+「||」:=太陽+両足=>足のある太陽=>動き回る太陽=>つき
」=「ノ」+「日」:=特別な+太陽=>太陽の特徴(属性)=>輝く/透明/しろ=>神事に関するもの
」=「日」+「生」:=太陽+うむ=>太陽のうむもの=>太陽の子供=>ほし

 「日」はその合成した結果が、意味する太陽をあたかも直接に象形したように構成された象形文字の傑作です。その意味と形が鑑賞のポイントです。

 「早」の男が「はやい」意味には「走る」ことと「性行為終了」(「十:=一本の棒=>男根=>おとこ)の二つが掛けられています。

 「月」は時代の流れとともに二つの意味に分岐していますが、両者が「つき」に行き着きます。

 二つの意味が掛けてあるのも象形文字創造のすばらしさを鑑賞するポイントです。

さらにこれらに関する展開を調べましょう。

」=「月」+「月」:=おんな+おんな=>並んだ女=>友達=>とも
」=「日」+「日」:=ひと+ひと=>優れたひとたち=>さかえる=>さかん
」=「日」+「日」+「日」:=ひと+ひと+ひと=たくさんの優れたひとびと=>輝くひとびと(かがやくもの)=>めだつもの=>あきらか

「白」の「日」は太陽の意味で、「朋」の「日」は女の意味です。辞書の解説では「白」は別の部首となっている事に注意してください。
 また、辞書では「昌」は形声ですが、それにさらに「日」を加えた「晶」は象形となっており、解釈が混乱しているようです。

」=「イ」+「白」:=男の仕事+神事=>神殿に仕える男=>親方=>年長者
」=「扌」+「白」:=て+神事=>祈る手=>かしわで=>てをうつ=>うつ
」=白+水:=神事(透明な)+水=>透明な(神の)水=>聖水=>いずみ
」=「氵」+「白」:=みず+神事=>神聖な水(を持ち回る)=>示して泊まる=>とまる
」=「忄」+「白」:=こころ+神事=>神を敬う=>神を怖れる=>おそれる
」=「辵」+「白」:=あし+神事=>祭壇にあゆむ=>おずおず(神前に)進む=>せまる
」=「巾」+「白」:=ぬの+しろ=>(神事に使う)白い布=>(乱れ髪を処理する)額に付ける布=>はちまき
」=「木」+「白」:=き+神事=>神殿に植える木=>かしわ

 特に「泊」の意味は「いずみ」と同じで渇きを満たすだけでなく、旅先で宿を頼む神器でしょう。

 以上最初の宗教は中国でも太陽神を祭ったと考えられます。

」=「白」+「巾」:=しろい+ぬの=>白い布=>きぬ
綿」=「糸」+「帛」:=いと+白い布=>綿花の布=>わた
絹-糸」=「口」+「月」:=おんな+からだ=>おんなのからだ
」=「糸」+「絹-糸」:=いと+おんなのからだ=>おんなに使う糸=>きぬ

 「きぬ」は最初「帛」だったのが、綿花が後に開発され、区別する必要から「綿」と「絹」の字が作られたと考えられます。


」:=制するもの+二本の棒=>制する手=>訓練した手=>熟練者
」=「聿」+「日」:=訓練した手+ひと=>手習いしたひと=>書くひと=>しょ
 「書」の旧字は「聿+日」となっています。(「聿」は第34回参照)

」=「夫」+「夫」+「日」:=夫達を持つひと=>(日々に)夫を替える=>かえる
」=「知」+「日」:=知識のあるひと=>知恵者=>ちえ
」=「日」+「一」:=おんな+からだ=>女の体=>柔和なもの=>おだやか(別解)

 「旦」は「一:=地平線」(第28回参照)から解釈するよりこちらの方がしっくりします。


」=「口」+「昌」:=くち+たくさんの優れたひとたち=>優れたひとたちのことば=>(新らしいことを)となえる
」=「犭」+「昌」:=けもの+狂ったもの=>たけりくるう獣=>くるう

 「猖」を解読するためには、先の「昌」の意味を分岐追加する必要があります。
」=「日」+「日」:=ひと+ひと=>優れたひとたち(さかえる=>さかん)=>時代に先駆けるもの=>狂ったもの=>くるう

 「昌」の字の「狂ったもの」の意味は後代の追加と考えられます。それは、「猖」が『設文解字』に載っていないからです。故意に「昌」と獣偏と結び付けた男達の、先駆けるものについてゆけない屈折した心理が見え隠れします。


 もし「日」が「太陽」の象形で最初から「おひさま」の意味であったなら、逆に途中から「おんな」の意味に転化したことになりますが、現在までの解読の状況からその可能性は低いと考えられます。

 数千年に渡る象形文字の代表者「日」や「月」が象形でないと意義を申し立てるには勇気が要ります。


 新らしい時代の新しい女を表すのに、これまで「几」「凡」「九」の系列、「口」「同-冂」「日」「月」の系列があることが分かります。


 何はともあれ、自分達を太陽にたとえるこの強烈な生命賛歌に・・・乾杯!


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「早」 解字:形声。意符の日(ひ)と、音符の甲(十は変わった形。ひらく意=開)とから成る。夜のとばりが開いて日の光が差し始めるころ、夜明けの意。ひいて、「はやい」意に用いる。
「者」 解字:会意形声。意符の??(箕の省略形。み)と、意符と音符を兼ねる??(樵。たきぎの意)とから成る。薪を箕の中に蓄える意。かりて、「もの」の意に用いる。
「音」 部首解説:これを部首にして音声・音響などの意に関する文字ができている。
    解字:形声。意符の??(=言。ことば)と、音符の一(引き伸ばす意)とから成る。引き伸ばしたことば。口から出る声の意。もと、言と同じ意味。のち、言と区別して「おと」の意に用いる。
「旧」 解字:なし。(舊の解説)
「是」 解字:形声。意符の()と、音符の(意=)とから成る。意。

「月」 部首解説:是を部首にして、月の満ち欠けなどの状態、それに伴う時間などの意を表す文字ができている。また、朝・服など月(船の省略形)の字形を持つものも収める。なお、月(肉の省略形)は別にたてる。本来、「つき」「ふねづき」「にくづき」は区別されていたが、常用漢字はすべて月の形にしている。
    解字:象形。半月の形にかたどる。満ち欠けする「つき」の意。
「白」 部首解説:これを部首にして、しろい、明らか、言うなどの意味を表す文字ができている。
    解字:象形。親指の形にかたどる。親方、主人、実力者の意。借りて、しろい、もうすなどの意に用いる。
「星」 解字:形声。意符の晶(日は省略形。ほしの形)と、音符の生(光が清明の意=精)とから成る。清明な光を放つ「ほし」の意。
「朋」 解字:象形。財宝としての玉や貝を連ねたものを二つ合わせた形にかたどる。一対に連ね合わせた玉や貝の意。借りて、「とも」の意に用いる。

「昌」 解字:形声。意符の日(ひ)と、音符の日(のぼる意=昇)とから成る。太陽が昇る意。ひいて、「さかん」の意に用いる。
「晶」 解字:象形。星が点に散らばり輝いている形にかたどる。天空に散らばって光を放つもの、星の意。もと、星の原字。ひいて、「あきらか」の意に用いる。

「伯」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の白(親指、ひいて親方の意)とから成る。多数の人の中の指導者の意。また、兄弟のうちの年長者、長男の意に用いる。
「拍」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の百(または白。なでるように軽く打つ意)とから成る。手でなでるように軽く打つ意。
「泉」 解字:象形。穴から水が湧き出している形にかたどる。地の穴から自然に湧き出る水、「いずみ」の意。
「泊」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の白(浅くて薄い意=薄)とから成る。水の浅い所、船どまりの意。ひいて、「とまる」「とめる」の意に用いる。
「怕」 解字:形声。意符の心(こころ)と、音符の白(おそれる意=怖)とから成る。心に「おそれる」意。
「迫」 解字:形声。意符の辵(ゆく)と、音符の白(ちかずく意=逼)とから成る。行って人に近づく意。ひいて、「せまる」意に用いる。
「帕」 解字:形声。意符の巾(ぬの)と、音符の白(つつむ意=包)とから成る。ぬので物を覆い包む意。
「柏」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の白(おやゆびの意)とから成る。手や指の形をした葉をつける木、「このてがしわ」の意。

「帛」 解字:会意形声。意符の巾(ぬの)と、意符と音符を兼ねる白(しろい意)とから成る。白い練り絹の意。
「綿」 解字:なし(緜の説明)
「絹」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の「絹-糸」(浅黄色の麦の茎の意)とから成る。浅黄色の生糸で織った布、「きぬ」の意。

「書」 解字:形声。意符の聿(ふで)と、音符の者(日は省略形。書き写す意=寫)とから成る。筆で書き写す、「かく」意。
「替」 解字:形声。意符の竝(「夫+夫」は変わった形。二人が並び立つ意)と、音符の自(白・日は誤り変わった形。低くなる意=低)とから成る。二人並んでいるうち一方が低くなる意。ひいて「すたれる」意に用いる。
「智」 解字:会意形声。意符の日(口から出ることば)と、意符と音符を兼ねる「知+干」(=知。立て続けにしゃべる意)とから成る。立て続けにしゃべることばの意。借りて智恵の意味に用いる。

「唱」 解字:会意形声。意符の口(ことば)と、意符と音符を兼ねる昌(たかく上げる意)とから成る。声を高く張り上げて歌う意。複数で歌うとき、一人が最初に歌いだすこと。ひいて、物事を最初に言い出すこと。ひいて、物事を最初に言い出す意となった。
「猖」 解字:形声。意符の犬(いぬ)と、音符の昌(くるう意=倡)とから成る。犬のようにくるう意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****


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【2007/01/11 21:45】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「口」の追求8 /44

 今回は第42回に少し取り上げた「口」と「ナ」の関係をさらに深く追求します。

1. 「丈」と「史」の追求

 まず、辞書の解説から入ります。

「丈」 字義:たけ
    解字:会意形声。意符の又(=手。もと、右手の親指と、他の四本の指を合わせたものを広げ、跨状をなして測り、一尺を示した)と、意符と音符を兼ねる十(十度する意)とから成る。尺の形を十度する、十尺の意。
「史」 字義:ふみ。ふびと。
    解字:会意。意符の??(手)と、意符の??(数取りの棒)とから成る。手で暦を数える意。のち、書くこと、読むことの意に用いる。


 両者のために、これまでの解読を整理し、独自に解釈を進めます。

|+ノ」(左はね縦棒)=「|」+「ノ」:=真直ぐ落ちるもの+特別な=>くそ=>垂れ落ちるもの=>垂れ下がるもの=>紐=>ころも (第16回、第34回参照)
丈-一」=「|+ノ」(左はね縦棒)+「ヽ」:=ころも+特別な=>衣の特徴(属性)=>衣のたけ
」=「一」+「|+ノ」:=からだ+垂れ下がるもの=>体から垂れ下がるもの=>ころも

」=「丈-一」+「一」:=衣のたけ+からだ=>からだの衣丈=>衣の丈=>身丈=>丈のあるもの(背の高いもの)=>身丈のある棒=>武器の棒=>丈夫なもの

」=「丈-一」+「口」:=衣の丈+女=>女の衣たけ=>(多少の計算を必要とする)女の衣丈を計る仕事=>読み書きに仕えるもの=>ふびと=>ふみ

 「丈」は「女以外の衣の丈」が元の意味で主に男の身丈であり、これに対する「女の衣の丈」が「史」です。ここでも「一」と「口」が対応しています。

 「丈」の三画目や「史」の五画目の頭に鍵の付いた形が旧字体としてありますが、時代の途中で付加された修飾のようです。
 ちなみに『康煕字典』の「丈」の親字には鍵が付いていますが「一」ノ部二画で、全体が三角なのは変わりません。

 「丈」と「史-ヽ」には参考までに次の解読も成立しますが、上記の方が正統です。

」=「ナ」+「ヽ」:=ころも+特別な=>衣の特徴=>衣の丈=>身丈=>丈のあるもの(背の高いもの)=>身丈のある棒=>武器の棒=>丈夫なもの
史-ヽ」=「口」+「|+ノ>」(左はね縦棒):=おんな+ころも=>女の衣


「丈」の展開を見てみましょう。

」=「イ」+「丈」:=男の仕事+武器の棒=>武器の棒を作る仕事=>武器
」=「木」+「丈」:=き+たけ=>身丈を支える棒=>つえ
」=「丈」+「子」:=衣丈+子供=>子供の身丈布=>子供の衣丈がある=>ある
」=「丈」+「土」:=衣丈+おとこ=>人の身丈布=>人の衣丈がある=>ある

 「存」も「在」も「丈」が偏となっておらず、かなり早い時代に出来た文字であると思われます。
 初期の時代の文字の創造にはまだ偏や旁が特に定まっておらず、「存」や「在」のように個々の意味を組み合わせて字形を自由に構成してるので、単純で類型のない文字は解読が困難になってきます。

 前々回検討した「有:=衣を着けた体=>衣のある体=>ある」と統合すると、衣が出回る時代に「ある/なし」の感覚が発達したと考えられます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「仗」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の丈(長い棒の意=杖)とから成る。人が手に持つ長い棒の意。
「杖」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の丈(寄りかかる意=仗)とから成る。歩行のとき寄りかかるために持つ棒、つえの意。
「存」 解字:形声。意符の才(土が積もって川がふさがる意)と、音符の子(ふさぐ意=塞)とから成る。土砂が積もって川がふさがる意。「在」 解字:会意形声。意符の土(つち)と、意符と音符を兼ねる才(川が土砂でふさがった形)とから成る。土がたまってふさがる意。

 「仗」と「杖」の説明は、オックスフォード辞書を編纂するとき回避を目標としたと伝えられるループ解説「岩:=大きな石」「石:=小さい岩」を思い出します。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2. 「吏」の追求

 まず、辞書の解説です。「使」もついでに挙げます。

「吏」 字義:つかさ
    解字:会意形声。意符の??(仕事の意)と、意符と音符を兼ねる??(立ち木の枝で作った小旗をつける柱)とから成る。仕事をする小役人の意。史・事に同じ。
「使」 字義:つかう
    解字:会意形声。意符の人(ひと)と、意符と音符を兼ねる吏(事に同じ。仕事をする意)とから成る。人のために仕事をする人。使われる人の意。ひいて、「つかう」意にもちいる。

 「吏」を解読するに先立ち時代の流れに合わせて「同-冂」の意味を少し追加します。(第41回参照)

同-冂」=「一」+「口」:=からだ+女=>女の体=>成人した女=>独立したひと=>あるじ
」=「一+口」+「丈-一」=>あるじ+衣の丈=>主の衣丈>特別な衣丈を計る仕事=>使用人頭=>小役人
使」=「イ」+「吏」:=男の仕事+衣丈を計る仕事=>身丈を計る男=>雑用に使う男=>使う男>つかう

 「吏-ヽ」には参考までに次の解読も成立しますが、上記の方が正統です。
吏-ヽ」=「一+口」+「|+ノ>」(左はね縦棒):=おんなの体+ころも=>女の衣



3. 「更」の追求

まず、辞書の内容を確認します。

「更」 字義:かわる。かえる。
    解字:なし(「丙+攴」の字の解説)

 「画-凵」から解読を始めます。「更」は二つの意味の流れが読み取れます。

画-凵」=「由」+「一」:=上に伸びるもの+からだ=>上に伸びた体=>妊娠した女=>妊婦(第35回参照)
」=「画-凵」+「丈-一」:=妊婦+衣の身丈=>妊婦の衣丈=>作り変える衣=>新しくする=>ぬりかえる=>かえる
」=「画-凵」+「丈-一」:=妊婦+衣の身丈=>妊婦の衣丈=>作り変える衣(更新されるもの)=>かたい布地の衣=>次第にかたくなるもの=>かたい

 初期の妊婦の衣は、胴回りを広くするばかりでなく、危険を避けるために普段よりかたい布地を利用した護身用と考えられます。

 次第にかたく変わってゆくものとしては、草の芽、木の小枝、甲虫類の脱皮する殻などたくさん見つかります。

 「更-ヽ」には参考までに次の解読も成立しますが、上記の方が正統です。
更-ヽ」=「一+由」+「|+ノ>」(左はね縦棒):=妊婦+ころも=>妊婦の衣


 以下「更」の展開です。

便」=「イ」+「更」:=男の仕事+ぬりかえる=>次々に新しくする仕事=>便りを送る仕事=>びん
」=「木」+「更」:=き+かたい=>かたくなる木=>やまにれ
」=「石」+「更」:=いし+かたい=>かたくなった石=>かたい
」=「糸」+「更」:=いと+かたい(取り変わる)=>かたい(取り替える)いと=>つるべ縄
」=「骨」+「更」:=ほね+取り変わる=>取り変わる骨=>永久歯=>硬い骨=>のどにつかえる骨=>のどに刺さる骨

 「硬」は『康煕字典』にはありますが『設文解字』にはありません。
 「骾」には「永久歯」の意味がると思われますが、『設文解字』の時代には既に「のどに刺さる硬い骨」の意味です。「喉」の意味が永久歯から来ていると思われます。


 「稉」に関する検討を参考までに追加します。

」=「禾」+「更」:=粟+取り変わる=>取り替わる粟=>粟に取り変わるもの=>うるち(米)
 「稉米」(うるちまい)は現在われわれの食べる一般的な「米」のことです。正確には『設文解字』の解説で「米」とは「粟の実」となっています。また、『設文解字』に「稉」はありません。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「便」 解字:なし(「イ+丙+攴」の解説)
「梗」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の更(かたい意=剛)とから成る。意。
「硬」 解字:形声。意符の()と、音符の(意=)とから成る。意。=「石」+「更」:=いし+取り替える=>取り替える(石臼の)石=>かたい石=>かたい
「綆」 解字:形声。意符の糸(なわ)と、音符の更(丈夫の意=剛)とから成る。深い井戸水をくみ上げる丈夫な縄、「つるべなわ」の意。
「骾」 解字:形声。意符の骨(ほね)と、音符の更(つかえる意=梗)とから成る。骨がのどにつかえる意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****


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【2007/01/03 00:13】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
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 このブログは漢字の解読を紹介します。従来、部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。  「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。

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