象形文字の秘密
漢字の解読

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「口」の追求7 /43

 今回は複数の「口」に付いて追いかけます。

1. 「回」の追求

 まず口の中に入った口からです。辞書の内容から入りましょう。

「回」 解字:象形。淵へ流れ込む水の渦のぐるぐる回るさまにかたどる。水がぐるぐる巡る。ひいて、「まわる」意に広く用いる。

 辞書の解説では口そのものの意味も、囲む口の意味もまったく無視して、唐突に水の象形とされています。

」=「口」+「口」:=口+口=>口の中の口=>膣の中の尿道口=>刺激するところ=>まわす
」=「イ」+「回」:=男の仕事+まわす=>見回る仕事=>めぐる
」=「彳」+「回」:=部族間の仕事+まわす=>持ちまわる仕事=>めぐる
」=「氵」+「回」:=水+まわす=>まわる水=>うず=>逆流する部分=>さかのぼる

 辞書の「回」の解説は「」の解説と混乱しています。

 「回」で連想できるのは「口の中の口=のど」と「膣口の中の尿道口」ですが、「まわす」意味と繋がるのは後者の方です。「回」から連想される英語の「Q」は音を他所から借用しているので起源をたどるのは困難でしょう。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「佪」 解字:会意形声。意符の人(ひと)と、意符と音符を兼ねる回(まわる意)とから成る。人があちらこちら回る意。
「徊」 解字:会意形声。意符の彳(ゆく、みち)と、意符と音符を兼ねる回(めぐる意=環)とから成る。道路をぐるぐるとめぐる意。
「」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の回(さかさま、転ずる意=迴)とから成る。流れにさかのぼる、「さかのぼる」意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2. 「官-宀」の追求

「官-宀」は既に単独では辞書にはありません。直接解読に入ります。
これまで「|:=男根=>棒」の意味でしたが、ここで新しく次の意味の流れを加えます。

」:=上下=>上下関係
官-宀」=「口」+「|」+「口」:=女+上下関係+女=>上下関係の女達(=>上下関係)=>役のある女集団=>組織の女=>官僚の女=>官僚
」=「宀」+「官-宀」:=いえ+官僚=>官僚の家=>役人
追-辶」=「ノ」+「官-宀」:=特別な+上下関係=>特別な上下関係=>男の上下関係=>師弟関係
」=「追-辶」+「辶」=男の上下関係+あし=>獲物を追う上下関係=>りょうし達=>おう

」=「帥-巾」+「巾」:=男の上下関係+指揮するもの=>軍団を指揮するもの=>統率者=>ひきいる
」=「帥-巾」+「帀」:=男の上下関係+鍛えた体=>個人的な師弟関係=>し(「帀」は第34回参照)

 教師はもと猟師や漁師と同じくマンツーマンの指導者でした。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「官」 解字:形声。意符の宀()と、音符の「追-辶」(「官-宀」は省略形。仕事をする意=事・幹)とから成る。仕事をする家、または小役人の家の意。ひいて、小役人の意に用いる。

「追」 解字:形声。意符の辵(ゆく)と、音符の「追-辶」(およぶ意=逮)とから成る。おいつくように行く、「おう」意。
「帥」 解字:形声。意符の巾(ぬの)と、音符の「追-辶」(??<針を先に付けた鞭の形>が正しい形。ぬぐう意)とから成る。ものをぬぐう手ぬぐいの意。借りて、「ひきいる」意に用いる。
「師」 解字:形声。意符の「追-辶」(臀部のむっくり盛り上がった形から小丘の意に借用された。古代、堆丘に軍隊が止駐していたので、軍隊の意に用いる)と、音符の帀(小高い丘の意=「追-辶」)とから成る。軍隊が駐屯する小高い丘の意。のち、軍隊の意の専用字となり、借りて、「おさ」の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3.「阜」(阝)の追求

 前項の展開で「阜」(阝)の追求です。辞書でのコザト偏から入ります。

 「阜」(阝) 部首解説:これを部首にして、地勢や盛り土など、丘や山の形状に関する意を表す文字ができている。楷書の偏になると省略形の阝が用いられるが、旁となる阝(邑の省略形。オオザト)と区別される。
    字義:おか
    解字:象形。丘や田畑の斜めに傾いて、平らかでないさまにかたどる。土地が盛り上がって高い丘の意。


」(阝)=「帥-巾」+「十」:=男の上下関係+男=>集まっただけのもの=>たくさんあるもの=>多数・複数(コザト編)

 前項で解読した「追-辶」を使います。「阜」の形が「阝」に変形するのですから、それだけで数千年の歳月が流れているようです。

」(「址」の本字)=「阝」+「止」:=複数+とまる=>多くの(痕跡や思い出を)止めたもの=>あと
」=「阝」+「可」:=複数+おおきい=>たくさんの大きいもの=>山の連なり=>山脈=>くま
」=「阝」+「占」:=複数+うらなう=>多くの占い=>混乱する=>あやうい
」=「阝」+「占」:=複数+占領=>多くの占領=>むさぼるもの=>あやうい
」=「阝」+「付」:=複数+付け人=>沢山の付き人=>多くの付着=>つく
」=「阝」+「完」:=複数+必ず育つ=>ほとんどうまくゆく=>かたい
」=「阝」+「車」:=複数+くるま=>沢山の車=>車で囲う陣地=>じん
」=「阝」+「走」:=複数+走る人=>沢山の走るひと=>あわただしい=>そばだつ=>けわしい
」=「阝」+「禺」:=複数+男を産むもの=>沢山の愚か者=>愚か者の集まる所=>すみ
」=「阝」+「昜」:=複数+穏やかな四つ足=>沢山の草食獣=>日向で暮らすもの=>ひなた=>おひさま

 「阽」は二つの意味の流れが読み取れます。

***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「阯」 解字:なし。(「址」の解説)
「阿」 解字:形声。意符の阜(おか、やま)と、音符の可(おおきい意=廈。又、曲がりくねる意=丂)とから成る。大きい丘、また、丘や山の曲がりくねった所、「くま」の意。
「阽」 解字:形声。意符の阜(盛り土)と、音符の占(垣の破れくずれる意=坫)とから成る。壁がくずれ落ちかかる意。ひいて、「あやうい」意に用いる。
「附」 解字:形声。意符の阜(おか)と、音符の付(むっくり高くなっている意=陪・部)とから成る。むっくり高くなっている丘、小さい丘の意。
「院」 解字:会意形声。意符の阜(盛り土)と、音符の完(家の周りをめぐる垣の意)とから成る。土を堅く積み重ねた垣の意。完の後にできた字。転じて、「かたい」意に用いる。
「陣」 解字:なし。(形声。もと、??に造る。その解説)
「陡」 解字:形声。意符の阜(おか、やま)と、音符の走(走るは省略形。けわしい意=隥)とから成る。丘や山が険しい意。ひいて、けわしい意に用いる。
「隅」 解字:形声。意符の阜(おか)と、音符の禺(曲がった狭い所の意=區・嵎)とから成る。丘の下の曲がった狭い所、「すみ」の意。
「陽」 解字:会意形成。意符の阜(おか、やま)と、意符と音符を兼ねる昜(太陽が昇り、光輝く意)とから成る。日光の当たる山の側、南側の意。ひいて、太陽の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



4. 「呂」の追求

 「呂」の口の意味を尊重して解読します。まず辞書の意味からです。

「呂」 字義:せぼね
    解字:象形。人の脊髄骨が一連に繋がっている形にかたどる。連なった背骨の意。

」=「口」+「ノ」+「口」:=女+特別な+女=>特別な関係の女達=>集団で働く女達=>神殿の女達=>巫女達=>?=>せぼね
」=「イ」+「呂」:=男の仕事+巫女達=>巫女に仕える男=>寺院の男=>ともがら=>とも
」=「宀」+「呂」:=家+巫女達=>巫女達の家=>寺院の建物=>おみや

 「呂」は背骨の象形とされ、その意味はもはや辿ることができません。元の意味と形が伝えられていない文字は、後代になって形から象形の元を推測したと考えられます。

 「侶」は巫女達に仕える多くの男達で、「ともがら」の意味から単独で仕えることはなかったようです。

 以上「呂」は字の中の「口」の意味と「侶」と「宮」から総合的に解読すると宗教に関係する意味が浮かび上がりました。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「侶」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の呂(集まる意=旅)とから成る。「とも」の意。
「宮」 解字:会意。意符の宀(いえ)と、音符の??(呂は変わった形。四方を取り囲んだ数個の部屋の意)とから成る。四方を障壁で囲んだ、建物がいくつも連なった屋敷の意。もと、身分に関係なく住居のことを言ったが、秦の始皇帝以降は、もっぱら皇居に称になった。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



5. 「品」の追求

 口が三つの場合の追求です。辞書の解説から入ります。

「品」 字義:しな。くらい。
    解字:会意。人の口を三つ合わせた形からなる。多くの人がしゃべる意。のち、口の意味が消え多くのしなもの、種類・区別などの意に用いる。


」=「口」+「口」+「口」:=多くのひとびと=>多くのもの=>しなもの=>しな
」=「口」+「口」+「口」:=上下のあるひとびと=>品格の異なるひと=>格のあること(くらい)=>でこぼこしているもの=>塊を持つもの=>かたまり

 「品」の字は「多くのひとびと」の意味の他に、その上下に構成した上にある「口:=ひと」で「品格・気品」を表現しています。

(区)」=「匚」+「品」:=隠す+しな=>ものを隠す=>区切って覆う=>くぎる
」=「口」+「區」:=くち+くぎる=>塊で口から出るもの=>一息ごとのことば=>うたう

」=「品」+「山」:=かたまり+かざん=>塊のある山=>岩山=>いわ


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「區」 解字:会意。意符の??(匸は変わった形。脇の下)と、意符の品(もの)とから成る。もと、脇の下の狭いところの意。ひいて、狭く仕切った場所などの意に用いる。
「嘔」 解字:形声。意符の口(こえ)と、音符の區(付しづける意=曲)とから成る。声を節付ける、「うたう」意。

「嵒」 解字:なし。(「岩」の解説)。

 注:「癌」の字は以前「嵒」であったものに最近になって「疒」をつけて造られたそうで、とうぜん康煕字典にはありません。


***** 終了 関連する辞書の解字 *****


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【2006/12/25 22:31】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「口」の追求6 /42

 今回は「口」が解けると付随して解けてくる周辺を追ってみます。

1. 「ナ」の追求から

 もう「右」の字は解読可能になりました。これを機会に「ナ」に関する文字「左」そして「厷」「有」「布」もついでに片付けましょう。まずは辞書の解字を確かめます。

「右」 字義:みぎ
    解字:形成。意符の口(くち)と、音符の??(すすめる意=侑)とから成る。口と手で勧め助ける意。佑(たすける)の原字。佑が主に助ける意味に用いられるようになったので、「佑」と区別して「みぎ」の意味に用いる。
「左」 字義:ひだり
    解字:会意形声。意符の工(仕事)と、意符と音符を兼ねるナ(??ほんらい左手の象形文字。右手を助けることから助ける意)とから成る。工作の仕事を「たすける」意。のち、助ける意にはもっぱら佐が用いられ、左が「ひだり」の専用字と成った。
「厷」 字義:かいな
    解字:(肱の本字。以下「肱」の項の解説)意符のナ(手)と、音符のム(大きく曲げる意=弘、宏)体の肩から肱までの大きく曲がる部分、かいなの意。
「有」 字義:ある
    解字:会意形声。意符の肉(にく)と、意符と音符を兼ねるナ(=又、手を突き出しておす意)とから成る。肉を手に持って突き出し、さらに食えといって勧める意。侑の原字、ひいて、「たもつ」「ある」などの意に用いる。
「布」 字義:ぬの
    解字:形声。意符の()と、音符の(意=)とから成る。意。

 「ナ」が手の象形とされ以上すべてが手の関係で説明されています。独自に「ナ」の解読から導きます。

|+ノ」(左はね縦棒)=「|」+「ノ」:=真直ぐ落ちるもの+特別な=>くそ=>垂れ落ちるもの=>垂れ下がるもの=>紐=>ころも (第16回、第34回参照)
」=「一」+「|+ノ」:=からだ+垂れ下がるもの=>体から垂れ下がるもの=>ころも

」=「ナ」+「口」:=ころも+女=>腰巻の女=>女の衣=>みぎで縛る衣=>みぎ
」=「ナ」+「工」:=ころも+職人=>腰巻の職人=>職人の衣=>ひだりで縛る衣=>ひだり

 初期にはタオルのような布を腰に巻いて横で縛る衣でしょう。右手をよく使う男の職人が左側で縛るのは、刀を左腰に下げるのと同じです。

 左右の縛り方で離れていても異性を区別することができたのです。
性器を隠すと性のアピールの代用表示が始まります。現代では、股間を象徴する男ものネクタイ、Vカットの女ものブラウス、ターバンを巻いたり髭を伸ばしたりするアラブ人などです。


」=「イ」+「右」:=男の仕事+右で縛る衣=>女の着付け係り=>着衣をたすける=>たすける
」=「イ」+「左」:=男の仕事+左で縛る衣=>男の着付け係り=>着衣をたすける=>たすける

 「佑」と「佐」は衣類の発達で権威を示す衣の着付けに手間が掛かるようになってきた時代の字です。

」=「ナ」+「月」:=ころも+体=>衣を着た体=>衣がある体=>衣がある=>ある

示+右」(祐)=「示」+「右」:=しめす+右縛り=>右縛りを示す=>女であることを示す=>(女なら)命をたすける=>たすける

 緊急の事態や、部族間の抗争で争ったときなど、女は助けても男は見捨てられたようです。ただ部族間の抗争で負けた女は足切りの刑が「別」であった可能性があります。
」:=女の足を切る=>特別の刑=>べつ扱い=>べつ(前回参照)


」=「ナ」+「ム」:=ころも+おとこ=>(一般の)男のころも=>(保護用の)腕巻き(かいな)=>腕飾り=>かざり
」=「月」+「厷」:=からだ+腕飾り=>腕飾りの部分=>うで(かいな)=>ひじ
」=「宀」+「厷」:=いえ+飾り=>飾りのある家=>広い家=>ひろい
」=「厷」+「隹」:=かざり+足の長い鳥=>飾り羽の鳥=>おんどり=>おす

 「厷」の意味は、棒が武器であった時代には相手の右腕を叩くことが重要で、右腕を守る衣が股間を隠すより重要だったのでしょう。

 「ころも」は最初は「|+ノ」(左はね縦棒)、「ナ」、「衣」と次第に複雑に変化しています。当然「衣」の字の中にも「ナ」が隠れていますが、現段階ではこの解読は不可能です。大きな回り道をした後で再び挑戦しましょう。



***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「佑」 解字:会意形成。意符の人(ひと)と、意符と音符を兼ねる右(たすける意)とから成る。人をたすける意。
「佐」 解字:会意形声。意符の人(ひと)と、意符と音符を兼ねる左(たすける意)とから成る。人がたすける意。

「示+右」 解字:会意形声。意符の示(かみ)と、意符と音符を兼ねる右(たすける意)とから成る。神が「たすける」意。

「肱」 解字:なし。(本字「厷」の解説)
「宏」 解字:形声。意符の宀(いえ)と、音符の厷(おおきい意=廣)とから成る。奥深い大きい家の意。ひいて、「ひろい」意に用いる。
「雄」 解字:形声。意符の隹(とり)と、音符の厷(光明が盛んの意=融)とから成る。羽毛の美しい鳥の意。ひいて、「おす」の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2. 「夕」の追及

 「夕」と「歹」は別の部首となっていますが、「一:=からだ」を獲得しているので、同類の字であることが容易に分かります。まず辞書の解字を確認します。

「夕」 部首解説:これを部首にして、夜に関する意を表す文字ができている。
解字:象形。月の形にかたどる。古くは月と同字であった。月の白く光る夜の意。もと、夜と同じであったが、のちには区別して、夜の始めの意味に用いるようになった。
「歹」 部首解説:これを部首にして死・障害の意を表す文字ができている。
    解字:なし。(別の古字??の説明:象形。脊髄の先端の頭蓋を支えている骨の形にかたどる。肉を削り取った残骨の意。)


 「夕」の解読は二つ考えられます。一つは「口」から、もう一つは「ク」からです。

円-中央縦棒」=「口」+「||」:=おんな+二本足でたつもの=>立っている女
」:=「円-中央縦棒」の右45度回転=>傾いて立つ女=>傾いた体=>傾いたもの=>傾いたお日様=>ゆうがた=>ゆうべ

 「然」では「夕」が「月:=からだ」の傾いた形になっています。

」:=動物の頭(第5回参照)
」=「ク」+「ノ」:=動物の頭+特別な=>特別な動物の頭=>小首をかしげる頭=>傾ける頭=>傾いたもの=>傾いたお日様=>ゆうがた=>ゆう

 子供や犬などが、かわいく小首を傾ける動作に感激したことがあると思います。

 以上二つはどちらも捨てがたい解読です。しばしば紹介すると思いますが、別の解読ができる場合、両者の意味を掛けたと思われます。

」=「一」+「夕」:=体+傾いたもの=>傾いた体=>死んだ体
」=「歹」+「刂」:=死んだ体+刀=>切り殺された体=>ならべる体=>つらなる=>れつ
」=「殘-戔」+「戔」:=傾いた体+あさい=>少し傾いた体=>傷の浅い体=>生き残ったひと=>生き残る=>のこる(「戔」は第15回参照)

 「列」は部族間の闘争の後に、敵味方の死体を並べ戦果と損失者の確認をする後処理でしょう。

」=「夕」+「夕」=傾いたもの+傾いたもの=>たくさんの傾いたもの=>たくさんのもの=>おおい
」=「夕」+「ト」:=傾いたもの+枝=>傾いた枝=>(放射状に伸びる)外向きの木の枝=>外向き=>そと
」=「氵」+「夕」:=みず+夕方=>夕方の水=>夕方の満ち潮=>しお
」=「夕」+「口」:=夕方+おんな=>夕方番のひと=>(暗くて)名を呼ぶ=>呼び名=>なまえ

 「汐」の辞書の解字は意見が一致しました。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「多」 解字:会意。意符の夕(ゆう)を二つから成る。夕べを積み重ねる、日数がおおい意。ひいて、「おおい」意に用いる。
「名」 解字:会意。意符の口(くち)と、音符の夕(おおごえの意=唶)とから成る。口から出る大声の意。ひいて、独り言を言う、自分をなのる意となる。一説に意符の口(くち)と、意符の夕(ゆうべ)とからなり、夕方の暗闇のなかで、人に自分の名をなのることから、「な」の意に用いるという。
「外」 解字:形声。意符のト(亀の甲羅にできたひび割れの形)と、音符の月(夕は省略形、欠ける意=缼)とから成る。亀トの表面に現れた、占いのひび割れの意。ひび割れが甲羅の表面(そとがわ)にできるところから、「そと」の意に用いる。
「汐」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の夕(ゆうがたの意)とから成る。夕方におこる「しお」の意。

「列」 解字:形声。意符の刀(かたな)と、音符の??(=歹。ばらばらにする意=裂)とから成る。刀でばらばらに分ける意。転じて、「つらねる」意に用いる。
「殘」 解字:形声。意符の歹(死)と、音符の戔(きる意=斬)とから成る。切って死に至らしめる、斬殺する意。ひいて、「そこなう」意に、借りて「のこる」意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3. 「革-十」の追求

 「革-十」は形も意味も既に歴史から消えていますが、解読のためには復元する必要があります。「革」と「漢-氵」ですが、部首に現れる「革」の辞書の意味から入りましょう。

「革」 部首解説:これを部首にしてかわの状態・製品などに関する意を表す文字ができている。
    解字:象形。犠牲にした小動物を雨ざらしにして白骨化した骨のさまにかたどる。小動物の白骨の意。借りて、「かわ」「あらためる」の意に用いる。

 白骨のなれの果ての「革」が何からできているかを十二分に観察してみます。

革-十」=「廿」+「口」:=乳房+女性器=>女の肉体 (「廿」は第35回参照)
」=「革-十」+(融合)+「十」:=女の肉体+男=>女を知った男=>童貞でなくなった男=>穏やかになる男(かわる)=>やわらかくなるも=>なめし皮=>(なめした)かわ
」=「革」+「卑」:=かわ+曲がって伸びたもの=>かたなのさや=>さや

 「革」の字の中に「中」の字が読み取れれば正解です。デザインの深い配慮が光っています。

 獣皮はそのままだとすぐ硬くバリバリになり使えません。古代では植物のタンニンでなめしたようです。


漢-氵」=「革-十」+(融合)+「夫」=>女の肉体+おっと=>女体にまつわり付く夫=>乳離れの難しい夫=>難しい乳離れ=>むずかしい
」=「氵」+「漢-氵」:=水+むずかし=>(治水の)困難な河=>黄河
」=「漢-氵」+「隹」:=むずかし+足の長い鳥=>(捕獲が)むずかしい鳥=>得がたいもの=>むずかし
」=「口」+「漢-氵」:=くち+むずかしい=>むずかしい口=>苦渋の口=>ため息を付く=>なげく

 現在使われる「漢-氵」の上の「廿」が「くさかんむり」に省略されています。

 漢字を創造した漢民族の男共は甘えん坊達でした。照れ隠しのためか康煕字典の「漢」には二つの古字が、「難」の字にはなんと8個もの古字があり、素性を煙に巻く魂胆です。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「鞞」 解字:形声。意符の革(かわ)と、音符の卑(覆って保護する意=庇)とから成る。刀身を保護するる皮製のもの、「さや」の意。

「漢」 解字:形声。意符の氵(みず)と、音符の「漢-氵」とから成る。もと、川の名。
「難」 解字:形声。意符の隹(とり)と、音符の??(=菫。こがね色の意=金)とから成る。黄金色の羽をしている鳥の名。借りて、「かたい」「むずかし」の意に用いる。
「嘆」 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の「漢-氵」(のみこむ意=呑)とから成る。声を飲み込んで「なげく」意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



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【2006/12/16 21:59】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「口」の追求5 /41

 今回は「口」と「一」の関係とその結合を主に追及します。

1. 「口」と「一」の関係

万-一」:=二本の足 
」=「万-一」+「一」:=二本足+体(体の一部)=>動き回る足の部分=>(女以外の)動き回る足=>いろいろな足=>ものすごくたくさんの種類=>まん(第30回参照)
別-刂」=「口」+「万-一」:=女+二本足=>女の足
」=「別-刂」+「刂」:=女の足+刀=>女の足を切る=>(足を切られて)違う生活=>べつあつかい=>べつ

 同じ動き回る足でも女の足には「口」が付き、それ以外の足には「一」がついています。「万」の解釈は前回は足の動きの変化と捕らえましたが、今回のように足の種類の数と捕らえることもできそうです?

足-口」=「ト」+「ト」:=二本の棒=>あし(第20回参照)
」=「口」+「足-口」:=おんな+あし=>おんなのあし=>あし=>女を加える=>たす
定-ウ冠」=「一」+「足-口」:=体(体の一部)+あし=>足という器官=>(女以外の)あし
」=「宀」+「定-宀」:=いえ+(女以外の)足=>家の中の足=>居場所のさだまったもの=>さだまる(第20回参照)

 このケースも女の足には「口」が付き、それ以外の足には「一」がついています。
 「足」の「たす」意味は現在の「(人)手を借りる」という表現に匹敵するのでしょう。「加」が男を加える意味に対応すると思われます。

***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「足」 解字:象形。ひざから下の足の形にかたどる。まっすぐな脛と、それに繋がった部分「あし」の意。借りて、「たす」「たりる」に用いる。
「定」 解字:形声。意符の宀(いえ)と、音符の正(「定-宀」は変わった形。きちんと整える意=整)とから成る。家屋を整え造る意。家屋を造る最初に、土台の石を置くところから、「さだめる」意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****


2. 「一」と「口」の関係2

同-冂」=「一+口」:=からだ+おんな=>女の体
」=「一+口」+「冂」:=女の体+立った体=>女の立った体>おなじ
」=「斤-丁」+「同-冂」:=反りかえるもの+女の体=>反りかえる女の体=>きさき

」=「同-冂」+「田」:=女の体+生むもの=>女の体が生むもの=>豊かな子孫=>豊かなひと=>豊かなもの(ゆたか)=>女に備わるもの=>備わるもの=>付随するもの=>ふく
」=「イ」+「畐」:=男の仕事+ゆたかなもの=>財を守る仕事=>財を守る=>身近で監視する=>身近にせまる=>付迫る
」=「勹」+「畐」:=股間+ゆたか=>豊かな股間=>はらんだ獣の腹=>腹を引きずる=>はらばう
」=「冖」+「畐」:=おおい+ゆたかなもの=>覆いをつけた蓄財=>とむもの=>とむ
」=「宀」+「畐」:=いえ+ゆたか=>繁栄する家=>とみのある家=>とむ
」=「巾」+「畐」:=布切れ+ゆたかなもの=>はばのある布=>はば
」=「示」+「畐」:=しめす+ゆたか=>(神が)ゆたかさを示す=>ゆたかになる=>さいわい
」=「畐」+「刂」:=とむもの+かたな=>とみを切り崩すもの=>必要な経費=>とみに備わるもの=>ふずいするもの=>ふく
」=「虫」+「畐」:=むし+ゆたか=>豊かなむし(酒を飲んだ虫)=>腹の赤い虫=>まむし

 正と副の備える性格が逆となり全体でバランスを取ろうとする「集合体の意志?」は人の関係でも通用するらしく、会社での役職は一段上がる毎にその役の人の性格が反転する場合が多いと指摘されています。


 「戈」は融合することが多いと述べましたが(第15回参照)、「口」の上の「一」と「戈」と融合すると「一」の意味が消えてしまうので、この時は「一」が「口」の下へ回ります。
或-戈」=「口」+「一」:=おんな+からだ=>女の体=>女
」=「或-戈」+「戈」:=女の体+武器=>武器を持つ女の体=>武器の有る女(ある)=>境界を主張する=>区切りをつける=くぎる=>あるものは~、あるものは~=>あるは
」=「或」+「囗」:=武器を持つ女+かこう=>武器を持つ女が囲うもの=>なわばり=>くに
」=「土」+「或」:=つち+くぎり=>土地の区切り=>さかい
」=「氵」+「或」:=みず+区切りがある=>水で区切られる=>渡れない川=>速い流れの川=>早い流れ
」=「糸」+「或」:=いと+くぎる=>(仕立て布を)糸で区切る=>縫い飾り=>縫い目


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「同-冂」 解字:見出しなし
「同」 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の??(=舟。あつめる意=聚)とから成る。ことばを集める、口をそろえる意。ひいて、「おなじ」の意に用いる。
「后」 解字: 会意形成。意符の「后-口」(体の曲がった形)と、意符と音符を兼ねる口(尻の穴の意)とから成る。人の尻の口、つまり、尻の穴の意。借りて、きみの意に用いる。

「畐」 解字:なし(見出し字なし)
「偪」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の畐(せまる意=逼)とから成る。身近にくっつき迫る意。
「匐」 解字:形声。意符の勹(人が前にかがんださま)と、音符の畐(ふせる意=伏)とから成る。地に伏して腹ばう意。
「冨」 解字:富の俗字
「富」 解字:会意形成。意符の宀(いえ)と、意符と音符を兼ねる畐(ゆたかの意)とから成る。家がゆたかになる、「とむ」の意。ひいて、資産、財貨の意に用いる。
「幅」 解字:形声。意符の巾(ぬの)と、音符の畐(左右間隔のいっぱいの意から、みちる意)とから成る。布の左右の間隔いっぱい、「はば」の意。
「」 解字:会意形声。意符の示(しめす)と、意符と音符をかねる畐(神から分け与えられた酒を入れた酒つぼの意)とから成る。ひいて、神から与えられるもの、「さいわい」の意に広く用いる。
「副」 解字:形声。意符の刂(かたな)と、音符の畐(ひらく意=拓)とから成る。刀で切り開く意。または、切り分ける意に用いる。「そう」意に用いるのは、切り分けられた半分と半分とが並んでいるところからきている。
「蝠」 解字:なし(「蝮」の別体)。

「或-戈」 解字:見出しなし
「或」 解字:会意形声。意符の亘(??の省略形。境界の意)と、意符と音符を兼ねる弋(とがった折れ木の意)とから成る。折木で標識した田の境界の意。かりて、「ある」「あるいは」の意に用いる。
「國」 解字:会意形声。意符の口(かこむ)と、意符と音符を兼ねる或(一定の区域の意)とから成る。囲んで領有された一定の区域、「くに」の意。
「域」 解字:会意形声。意符の土(田地)と、意符と音符を兼ねる或(しるしを立てて示した区切り、境界の意)とから成る。しるしの境界を立てて表示した田地の意。もとは田界の意味であったものが、後に国境、さらに一般に区域・境界の意になった。
「淢」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の或(水の流れの意)とから成る。水が流れる意。
「緎」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の或(区切りをつける意=域)とから成る。糸で皮衣に境目を付けて縫う意。ひいて、「ぬいめ」の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3. 「告-ノ」の追求

「告」=「ノ」+「告-ノ」:=特別な+(めでたい?)=>特別にめでたいこと(出産?)=>皆に告げる=>つげる
「周」=「告-ノ」+「冂」:=(めでたい?)+立った女=>おめでたい女=>出産した女=>祝福されるひと=>祝福する取り巻き=>取り巻き=>まわり

 現在「吉」の字の上は「士」になっていますが、「土」であったと考えられます。それは上に示すように「告-ノ:=しあわせ。よい。」とすると、「告」も「周」もその展開としてつじつまが合い、その形は「士」ではありません(角川大字源のみは「告-ノ」を「吉」の俗字として提示していますが、康煕字典は「吉」のみしか載っていません)。

」=「十」+「一」:=男+地面=>座るおとこ=>座る所=>つち(第19回参照)

 「告-ノ」が「きち」であるとして、それを分解した「土」と「口」に関して特に「土」の中に読み取れる「生む」の意味を再度検討する必要があります。

「土」=「十」+「一」:=男+地面=>座るおとこ=>座る所=>つち=>草木を生むもの=>うむ

この解読では「生まれるもの」が「ひと」のイメージとかけ離れています。「一」のもう一つの意味を使って次の解読を採用すると、最初の「告」と「周」へ筋が通ります。

」=「十」+「一」:=棒+体=>棒の体=>(手足の短い)赤ん坊(中性)の体=>生まれた体=>うまれる
告-ノ」=「土」+「口」:=生まれる+ひと=>生まれたばかりのひと=>生まれたひと=>めでたい=>きち
」=「ノ」+「告-ノ」:=特別な+生まれたひと=>特別に生まれたひと=>最初に生まれたひと=>皆に告げる(あまねく)=>つげる
」=「辶」+「告」:=あるく+つげる=>(お社をつくることを)行って告げる=>お社をつくる=>つくる
」=「告-ノ」+「冂」:=生まれたひと+(立った)女=>新生児と産んだ女(おえる)=>集まり祝福されるひと=>祝福する取り巻き=>取り巻き=>まわり

 「周」の字は特に「告-ノ:=生まれたひと」の周りを「冂:=女の体」で取り囲み「下向きの口(「凵」に上向きの口の意味がある‐第31回、第35回参照)」から出産する雰囲気を字形で伝えている秀作です。

結局父系社会になって「吉」の字だけがその上部を「士:=>男子」(第20回参照)に換えられたと考えられます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「告」 解字:形声。意符の口(ことば)と、音符の??(生の下の一画を省いたもので、草木の柔弱な芽のだした形。上へすすめる意=上)とから成る。ことばを上の方へ進める、進言する意。
「造」 解字:形声。もと、意符の辵(ゆく)と、音符の??(「牛+口」は誤り変わった形。つく意=就)とから成る。行って席につく意。ひいて、「いたる」意、借りて「つくる」意に用いる。
「周」 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の??(田の中に稲が密生した形。びっしりと茂る意=稠)とから成る。口をぴったり閉じてしゃべらない意。借りて、「あまねし」の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****


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【2006/12/09 18:28】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「口」の追求4 /40

 これまでは時代の流れを遡のが主でした。1~2項は趣向が違い、始から時代を下る解読です。

1. 「喬」の字とその展開です。

」=「夭」+「口」:=(特に大きい男=>)早死にする男+ひと=>(酒をがぶがぶ)飲む人=>のむ
」=「呑」+「冋」:=のむ+女の体=>呑んだ女の体=>酔った体=>縦に伸びた体/ふらふら揺れる体/横に伸びた体=>縦に伸びたもの/揺れるもの/横に伸びたもの=>高いもの/揺れるもの/横たわるもの
」=「イ」+「喬」:=男の仕事+酔った体=>酌をする男=>(酔って)態度の大きい人=>大きい人=>背の高い人
」=「女」+「喬」:=おんな+酔った体=>酔った女=>なまめかしい
」=「忄」+「喬」:=こころ+酔った体=>酔った心=>気ままなこころ=>ほしまま=>おごる
」=「馬」+「喬」:=うま+酔った体=>馬上で揺れる体=>得意満面のもの=>おごるもの=>おごる
」=「扌」+「喬」:=て+横に伸びたもの=>横に伸ばした手=>てをあげる
」=「足」+「喬」:=あし+横に伸ばしたもの=>横に伸ばした足=>足を上げる=>あげる
」=「木」+「喬」:=き+横に伸びたもの=>横に伸びた木=>はし
」=「山」+「喬」:=火山+横に伸びたもの=>連なる火山=>火山脈=>たかいやま
」=「矢」+「喬」:=や+横に伸びたもの=>横に伸ばす矢=>曲がりを直す=>ためる

 「喬」は元の意味は「酔った体」で、まずは警戒心が解けて大きく上に伸びた体、次に揺れ動く体、最後は横に伸びた体のどれかの意味で比較的簡明です。


***** 終了 関連する辞書の解字 *****

「喬」 解字:形声。意符の高(たかい)と、音符の??(まがる意=句)とから成る。高い屋根の上の飾り物の意。転じて非常に「たかい」意に用いる。
「僑」 解字:会意形声。意符の人(ひと)と、意符と音符を兼ねる喬(たかい意)とから成る。背の高い人の意。
「嬌」 解字:形声。意符の女(おんな)と、音符の喬(なまめかしく美しい意=姣)とから成る。女がなまめかしく美しい意。際立ったあでやかさをいう。
「憍」 解字:形声。意符の忄(こころ)と、音符の喬(たかい意=驕)とから成る。心が高ぶる意。
「驕」 解字:会意形声。意符の馬(うま)と、意符と音符を兼ねる喬(高い意)とから成る。高い馬、特に六尺の馬の意。転じて「おごる」意に用いる。
「撟」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の喬(たかい意=堯)とから成る。手を高くあげる意。
「蹻」 解字:会意形声。意符の足(あし)と、意符と音符を兼ねる喬(高い意)とから成る。足を高く上げて歩く意。
「橋」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の喬(はねつるべの意)とから成る。はねつるべの意。借りて「はし」の意に用いる。
「嶠」 解字:形声。意符の山(やま)と、音符の喬(山が鋭くたかい意=堯)とから成る。山頂が鋭く高い意。
「矯」 解字:会意形声。意符の矢(や)と、意符と音符を兼ねる喬(高い屋根の曲がった飾りの意)とから成る。矢を曲げて狂いを直す意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2. 次は「可」の字とその展開です。「可」の辞書の内容から入ります。

「可」 字義:できる。よい。
 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の丂(許す意=許)とから成る。口でよろしいと言って許す意。

」=「丁」+「口」:=働く男+ひと=>働く男のひと=>仕事のできる人(できる)=>役に立つ人(使える)=>よい

 「可」の字はすぐ解読できるのですが、この字の展開を確認するのは少し困難です。以下に辞書の展開を並べて見ます。

「笴」 解字:形声。意符の竹(たけ)と、音符の可(柄の意=柯)とから成る。矢の柄に当たる竹製の部分、「やがら」の意。
「柯」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の可(枝の意=戈)とから成る。木の枝の意。ひいて、「柄」のいみに用いる。
「奇」 解字:形声。意符の大(人の立っているさま)と、音符の可(一本足の意=踦)とから成る。一本足で立つ意。ひいて、「めずらしい」意に用いる。
「呵」 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の可(とがめとう意=訶)とから成る。口でとがめる、しかる意。転じて、大声で「わらう」意に用いる。
「訶」 解字:形声。意符の言(ことば)と、音符の可(おおきい意=廈)とから成る。大きな声でしかる「せめる」意。
「疴」 解字:形声。意符の疒(やまい)と、音符の可(口や舌のまわらないときの声の意=「口偏に亞」)とから成る。口の病気の意。
「哥」 解字:会意形声。意符の可(口で「よろしい」という意)二つからなる。「ああ」と言って、長く伸ばして発音する音。歌の古字。
「歌」 解字:形声。意符の欠(または言。口を開いた形)と、音符の哥(カという音を重ねたカーという擬声音)とから成る。口を開いてカーと伸ばして歌う意。

「軻」 解字:形声。意符の車(くるま)と、音符の可(もろい意)とから成る。軸をつなぎ合わせたもろい車の意。
「何」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の可(背中の曲がっている意=句)とから成る。背中の曲がっている人の意。その形が荷物を背負っているさまに似ていることから、転じて、担う意味に用いる。借りて、「なに」「なんぞ」という疑問詞に用いる。
「坷」 解字:形声。意符の土(つち)と、音符の可(曲がる意=阿)とから成る。土地が曲がっていて平らかでない意。

「河」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の可(曲がっている意=句)とから成る。水流の曲がりくねった川の、黄河をさす。
「砢」 解字:形声。意符の石(小石)と、音符の可(小石がごろごろと重なっている意=磊)とから成る。小石がでこぼこと積み重なっている意。

 「可」の字の場合は少し歩幅を広げて意味を汲むと辞書の意味と繋がるのです。先の解読を以下のように修正します。

」=「丁」+「口」:=働く男+ひと=>働く男のひと=>仕事のできる人(できる/使いものになる)=>怒鳴る人(しかる)=>大声の人(うたう人)=>(態度の)大きい人=>大きいこと(よい)=>たくさん(たいりょう)

」=「竹」+「可」:=たけ+できる=>矢にできる竹=>やがらの竹=>やがら
」=「木」+「可」;=き+つかえる=>使いえる木切れ=>もち手にする木=>え
」=「大」+「可」:=おおきい+できる人=>おおきくて仕事ができる人=>能力の飛び出した人=>(単一の)飛び出すもの/他と違うもの=>めずらしい=>きいなもの

」=「口」+「可」:=くち+大声=>大声で笑う=>わらう
」=「言」+「可」:=ことば+怒鳴る人=>大声でしかる=>せめる
」=「疒」+「可」:=やまい+大きい声=>大声の病=>声が(かれて)出なくなる病=>つぶれた声
」=「可」+「可」:=大声の人+大声の人=>大声の男たち=>唱和する男達=>うたう
」=「哥」+「欠」:=大声の男たち+口を開けること=>歌う男の人たち=>歌い手たち=>うたう

」=「車」+「可」:=くるま+おおきい=>大きい車=>軸を継いだ車
」=「イ」+「可」:=男の仕事+おおきなもの=>男の大きな仕事=>そんなものはない=>なにかあるか=>なに

」=「土」+「可」:=つち+たいりょう=>大量の土=>こやま
」=「氵」+「可」:=みず+たいりょう=>大量の水=>大河=>かわ
」=「石」+「可」:=いし+たいりょう=>大量の石=>大量の小石=>壮大

 「可」は長い時代に転々と意味が移り変わっています。中でも「奇」の字はさらに展開が多くあり、それらの意味が取れるように少し細かく展開しておきました。



3. 「口」と「ム」の関係

「ム」はいろいろの字の共通の意味として単に「ない」という意味を捉えました(第19回参照)。前回獲得した内容を再度深く検討してみましょう。次の一組の中では「ム」が単に「ない」の意味です。

」=「禾」+「口」:=いね+ひと=>米をもつひと=>和する(争わない)ひと=>なごむ
」=「禾」+「ム」:=いね+ない=>米のないひと=>わたし

 「和」の意味は格言の「金持ち喧嘩せず」を一文字で表しています。「私」は謙遜や謙譲の、もしくはねたみを買うのを避ける表現です。


 次に「冋」「禸」の関係を確認し更に深く追求してみます。

」=「冂」+「口」:=立っているからだ+女性器=>女性器のある体=>女の体
」=「冂」+「ム」:=立っている(女の)からだ+ない=>女でない体=>男の体=>おすの体

 以上の二つをよく比べると「ム」の「ない」の元は「女性器がない」の展開で、意味は二つに分かれ、一方は「男」の意味を持ったと推測できます。

」:=女性器がない=>女性器がないもの=>ない
」:=女性器がない=>女性器がないもの=>おとこ=>おす

以上の二つを元に解読を進めます。

」=「ム」+「儿」:=おとこ+垂れ流すこども=>男子=>養育を許された男子=>養育を許す=>ゆるす=>誠実なもの=>まこと
」=「口」+「儿」:=おんな+垂れ流す子供=>垂れ流す女=>長女=>長子=>相続者=>長男=>あに
」=「十」+「兄」:=おとこ+長子=>長男=>(命を)になう=>生きとげる=>よくする=>かつ

 母系社会での長男「克」は種馬として命を「になう」(説文解字)意です。父系社会での長男は相続者の意味をもつ「兄」をそのまま使っています。


」=「勹」+「口」:=股関節+口=>産道口=>(赤子の生まれる)丸い口=>まるい=>まるいもの出産=>一回の出産=>くぎり
」=「勹」+「口」:=股関節+女=>女の股間節=>女の腰(まるい)=>二つの円い尻=>区切られたこぶ=>くぎり(以上の2種は第26~30回参照)
」=「金」+「句」:=かね+まるいもの=>まるくしたかね=>?=>かぎ(つりばり)
」=「勹」+「ム」:=股関節+男=>男の股関節=>引っ掛かる所=>引っ掛けるもの=>かぎ
」=「金」+「勾」:=かね+かぎ=>かねのかぎ=>かぎ

 「句」と「勾」との間には対となる意味が取り出せません。また、「鉤」の意味が辿れません。
 「かぎ」の意味は「鉤」より「鈎」の方が正しいと思われますが、康煕字典では「鈎」が「鉤」の俗字とされ両者に混同が生じているようです。


沿-氵」=「ハ」+「口」:=わける+ひと=>ひとの分けるもの=>女の分配=>絶対従うもの
沿」=「氵」+「沿-氵」:=みず+絶対従うもの=>水が従うもの=>きしべ=>そう
」=「金」+「沿-氵」:=かね+絶対に従うもの=>(低融点で他金属の)目詰めに使うもの=>なまり
」=「ハ」+「ム」:=わける+おとこ=>男が分けるもの=>皆の物=>おおやけのもの=>おおやけ

 今回「公」は「ム」の中の「男」の意味が明確になったので以上のように訂正します。「公」は第17回で強引過ぎる解読に陶酔してしまいました。なお「ハ」の分けるの下にくるものは「分ける主体のみ」のようです。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「和」 解字:形声。意符の口(くち)と、音符の禾(くわえる意=加)とから成る。一声あってさらに他の口が加わる、さらに声を加えて調子を合わせる(唱和)の意。ひいて、「やわらぐ」意に用いる。
「私」 解字:形声。意符の禾(いね)と、意符と音符をかねる口(=圍。ムは変わった形。囲い込む意)とから成る。囲みこんで我がものにした稲の意。古代の稲は刈り分け制だったので、農民の手に残った稲を私といった。ひいて、「わたくし」の意の用いる。

「允」 解字:形声。意符の儿(=??。背の曲がった形)と、音符のム(背中が突き出る意=仁)とから成る。もと背中の突き出したせむしの意。
「兄」 解字:形声。意符の口(ことば)と、音符の儿(??の省略形。大きい意=王)とから成る。もと、大言の意。のち、大きい意となり、さらに長兄の意に用いる。
「克」 解字:象形。儿(人)が古い(冑)をすっぽりとかぶり、重さが肩にかかっているのをじっと我慢しているさまにかたどる。かぶとの重さにじっと耐える意。ひいて、「かつ」の意に用いる。
「勾」 解字:象形。鍵の引っかかっている形、あるいは、かみ合わさっている形にかたどる。曲っている鍵の意。
「鉤」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の句(曲がる意=曲)とから成る。金属製の「かぎ」の意。
「鈎」 解字:鉤の俗字。

「沿-氵」 解字:なし。
「沿」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の「沿-氵」(よりしたがう意=縁)とから成る。水により従っていく、「そう」意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****


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【2006/12/03 10:47】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
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 このブログは漢字の解読を紹介します。従来、部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。  「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。

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