象形文字の秘密
漢字の解読

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「口」の追求3 /39

 今回もさらに「口」を追求します。

1. 字の下に付く「口」を探します。そして二つのグループに分けてみます。

 「告、呑、言、名」 と 「君、后、各、吾、吝」 です。両グループの各字を何度も眺めて、その中にある共通の意味を引き出しましょう。

 第一グループの各字は「告げる」「呑む」「言う」「呼び名」と確かに「食べる口」のと関係があります。しかし第二一グループには「口」というより共通に「ひと」の意味が読取れます。逆に、第一グループも「くち」よりむしろ「ひと」と関係が深いと考えることができます。
以上から次の二つの流れの解読を断行します。

」(象形):=産道口/女性器=>産道口をもつもの=>子を産むもの=>おんな=>ひと
」(象形):=産道口/女性器=>産道口をもつもの=>欠け込む口=>食べる口=>くち


以上の「口」を手がかりに解読を進めることにします。

」=「ト」+「口」:=小枝+ひと=>枝占いのひと=>枝で占う=>うらなう=>占いでだます=>依頼者のものを占領する=>せしめる=>しめる
 現代でもオカルト的な人物が予言の名の下に多くの人を洗脳(マインドコントロール)します。

」=「矢」+「口」:=や+ひと=>矢のようなひと=>飛び出すひと=>すでに知っているひと=>知っていること=>しる
 自然界では知らないものは不気味で危険ですが、すでに知っている獲物には飛び出して先を争う様子が「知」の字で想像できます。

」=「口」+「巾」:=ひと+せいする=>(勝手な)支配をする人=>つるす
 「吊」は口の位置が逆さまで拒否の意味を含んでいるようです。この字の構成は絞首刑の形を暗示したのでしょう。

」=「力」+「口」:=ちから+ひと=>力のあるひと=>仲間にくわえるひと=>くわえる
」=「不」+「口」:=だめ+ひと=>だめというひと=>こばむひと=>こばむ
」=「扌」+「口」:=て+ひと=>手をだすひと=>たたくひと=>たたく

 以上、母系制時代では「ひと」といえば狭い意味では女を意味し、広くは男を含んでいたのです。以降、女を中心とし男を含む広い意味を「ひと」と仮名で示し、男を中心とする狭い意味を「人」と漢字で示します。

 同じく母系社会では漢字の「人」は狭くは男の意味を、広くは獣を含んでいました。現代では逆転し「人」は狭くは男の意味を、広くは女を含んでいます。


」=「尹-(|+ノ)」+「|+ノ」:=制する男+衣=>衣を付けた支配者(男)=>衣を着けた役人=>役人(第34回参照)
」=「尹」+「口」:=役人+ひと=>役人の御方=>役人の長=>君主=>きみ

 「尹」はもともと男の意味で「口」が付いていますからこの「口」は狭い意味の「女」ではなく、広い意味の「ひと」です。さらに「口」には尊敬の意味を感じます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「占」 解字:会意形成。意符のト(亀甲を焼いたひび割れでうらなう)と、音符と意符を兼ねる咨(口は省略形。問いはかる意)とから成る。トして吉凶を判断する意。借りて、「しめる」意にもちいる。
「加」 解字:会意。意符の力(ちから)と、意符の口(ことば)とから成る。力を入れて言葉を多くする、いいまくる意。ひいて、他人をしのぐ意に用いる。
「知」 解字:形声。意符の吁(口は省略形。驚き叫ぶ意)と、音符の矢(続けて並べる意=陳)とから成る。叫び続け並べる意。借りて、「しる」意味にもちいる。

「否」 解字:会意形声。意符の口(くち)と、意符と音符とを兼ねる不(いな。反対の意思表示の語)とから成る。くちで「いいえ」という意。もと不で原義を表したが、のちに否が持ちられるようになった。
「扣」 解字:形声。意符の手(て)と、音符の口(ひかえる意=控)とから成る。手で押さえる意。
「吊」 解字:仮借。もと、弔の俗字。弔がおもに「とむらう」意に用いられたため、「つるす」を表すのにこの字が作られた。
「君」 解字:形声。意符の口(くし)と、意符と音符を兼ねる尹(衆を治める意)とから成る。口から号令を出して衆を統率する人、「きみ」の意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2. 「口」の解読により新たな展望が開けてきます。

」=「二」+「二」+「口」:=複数+複数+ひと=>たくさんのグループのひとびと=>がやがやするひと達=>うるさいことば=>ことば

「女三人寄ればかしましい」の全体が「言」の一文字に要約されています。

「言」は類似な形を持つ字が他になく解読が困難を極めました。現在の辞書では「言」の第三画と第四画は同じ長さですが、康煕字典では第四画が第三画よりわずかに長くなっています。これがヒントでした。


」=「一」+「|」:=いち+棒=>一本の棒=>棒(男根)を持つもの=>おとこ(第12回参照)
」=「口」+「十」:=くち+おとこ=>おとこを口にする=>(欲望が)かなう=>かなう
」=「十」+「口」:=おとこ+ひと=>男のひと=>部族に残ったおとこ=>ふるいひと=>ふるい
「()」=「十」+「口」:=一本の棒+口=>口の棒=>した
」=「ノ」+「古」:=特別な+口の棒=>特別な口の棒=>口の中の棒=>した

 今までしばしば利用した同じ形を持つ文字の共通な意味から解読する方法は「古」と「舌」には利用できません。歴史的に意味の絡んだこれらの解読は、基本的な「口」の意味の流れを基にして始めて可能となります。

 「口」は始め「ひと」の意味で後に「食べる口」の意味が加わったか、同時に両方の意味が通用していたとすれば「ひと」の意味の方が優勢であったと考えられます。上の「舌」の例ばかりか実際に「ひと」の意味の「口」は文字の中の位置が下、右、上と自由であるのに対し、「食べる口」が口偏に統一されていることからもうかがえます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「言」 部首解説:これを部首にして、ことば、また、言葉による表現・意見などの性質・状態に関する意を表す文字ができている。
解字: 形声。意符の口(くち)と、音符の辛(「言―口」は変わった形。こころの意=心)とから成る。口から表現された心のうち、ことばの意。
「叶」 解字:形声。意符の口(意見)と、音符の十(あつまる意=集)とから成る。多くの人が意見を一つに合わせ、共にする意。協の古字。
「古」 解字:象形。大昔の神々の頭に似せた冠の形にかたどる。神々は遠い昔に人であることから、「いにしえ」「ふるい」意に用いる。
「舌」 解字:会意。意符の口(くち)と、音符の干(千は誤り変わった形。含と音通でふくむ意)とから成る。口中に含んでいて外に出すもの、「した」の意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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【2006/11/26 15:13】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) |

「口」の追求2 /38

 今回は「口」をさらに追及します。

1. 前回の「口」の意味を展開で確認するのに「中」「串」「已」「巳」「冋」「亜」で行います。少しきわどい意味の文字達ですが辞書の意味から入ります。

「中」 字義:あたる。なか。
    解字:二形ある。??は象形。|は旗ざお、??は吹流し、「横長の〇」は強風に折れないように、旗ざおの周囲に竹を当てて革でしっかり巻きつけたさま。旗ざおの意。
       ??は会意。意符の|(数取り棒)と、意符も??(声を高く張り上げて歌うように数える)とから成る。口で数を読む意。まんなか、中心の意は旗ざおが木を中心としてできていることからきている。
「串」 字義:くし。
    解字:象形。重ねた貝(貨幣の意)を紐で通し連ねた銭差しの形にかたどる。
「已」 字義:おのれ。
    解字:象形。糸の先の曲がりくねっている形にかたどる。長い糸の先端の意。借りて、「おのれ」の意に用いる。
「已」 字義;すでに。
    解字:象形。古代の耕作用の木の鋤の曲がった形にかたどる。耕作用の除草をするもの、すきの意。
「巳」 字義:み。
    解字:象形。蛇の形にかたどる。蛇の意。原義が廃れ、十二支に第六位に用いる。
「冋」 解字:冂の別字体。
「亜」 字義:つぎ。つぐ。
    解字:なし(亞の説明)。


 前回獲得した意味で解読しその展開を追ってみましょう。

」=「口」+「|」:=女性器+男性器=>男性器を入れた女性器(=なか)=>交わる(~の最中)=>あう=>符合する=>あたる
」=「イ」+「中」:=男の仕事+交わる=>交わりに関する仕事=>介在者=>かいする=>なか
」=「忄」+「中」:=こころ+性交中=>揺れ動く(体のような)心=>うれえる
」=「氵」+「中」:=みず+性交中=>わきあがる愛液=>あふれる=>水のあふれた所=>(海の)おき

 「中」はたった四画で「性交中」を表した象形文字の中でも傑作中の傑作です。


」=「口」+「口」+「|」:=食べる口+肛門+棒:=獲物をくしざしにする=>くしざす=>くし

「串」は「中」に似た文字ですが「口」の意味がまったく異なります。


」=「コ」+「L」:=横を向くからだ+女の徳=>はいはいする女=>幼女=>わたし=>おのれ(第31回参照)
」=「口」+「L」:=女性器+女の徳=>処女でない女=>わたし=>?=>へび
」=「コ」+「L」:=「コ」と「口」の中間+女の徳=>処女を卒業した女=>すでに処女でなくなった女=>すでに

 「己」「巳」「已」は三者並べて解読する必要があります。「巳」はすでに現代の意味への繋がりがたどれません。「巳」が十二支に組み込まれ元の意味が消えていることから、十二支は父系社会になって成立したと考えられます。


」=丁+口+丄=男+女+男=>前後から男を入れる女=>二番目によいこと=>二番目=>つぐ

「亜」は前後の二つの穴をひとつで表現するという飛躍した創造性が光っています。


」=「冂」+「口」:=立っているからだ+女性器=>女性器のある体=>女の体
」=「ノ」+「冋」:=特別な+女の体=>特別な女の体=>構えた女の体=>~に向かう体=>むかう



***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「仲」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の中(真ん中の意)とから成る。伯(長男)と叔(三男以下)の間の人。
「忡」 解字:形声。意符の心(こころ)と、音符の中(揺れ動く意=憧)とから成る。心が揺れ動いて定まらない、「うれえる」意。
「沖」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の中(揺れ動く意=動)とから成る。水が揺れ動く、わく意。

「向」 解字:象形。昔の家の北側に開いた、高い所にある明り取りの横窓の形にかたどる。家の明り取りの高窓の意。借りて、「むかう」意にもちいる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2. 続いて少し脇道へそれますが前項に関係の深い「虫」と「禸」を取り上げます。まず辞書の意味です。

「虫」 部首解説:これを部首にして爬虫類、貝類、昆虫類の名など、小動物に関する文字ができている。
    解字:(A)まむし。象形。大きな頭を持った蛇の形にかたどる。まむしの意。
    解字:(B)むし(蟲)。会意。意符の虫(足のある虫)三つからなる。小さい足のある虫の意。
「禸」 部首解説:これを部首にして、足や尾のある動物に関する意を表す文字ができている。数はきわめて少ない。「じゅうのあし」という。
    字義:けものの足跡(音は「ジュウ」)
    解字:形声。意符のム(尾の形)と、音符の九(冂は変わった形。曲がる意)とから成る。尾の曲がっている動物の意。


 「中」の助けを借りてやっと「虫」の解読が可能になります。

」=「中」+(融合)+「ム」:=交尾+ない=>交尾しないもの=>むし
」=「犭」+「虫」:=けもの+むし=>虫のようなけもの=>単独のけもの=>単独=>ひとり
」=「虫」+「工」:=むし+磨かれた技=>虫の技=>にじ(「工」は第21回参照)

風-几」=「ノ」+「虫」:=特別な+虫=>特別な虫=>ひとにつく虫
」=「風-几」+「乙」:=人につく虫+乙女=>乙女につく虫=>しらみ
」=「風-几」+「几」:=人に付く虫+成人女=>虫のついた女=>風邪を引いた女=>寒気を感じるもの=>かぜ

 「風邪」は当時「虫」が原因の悪寒であると考えられたのでしょう。「強」等は「ム」の追求(第14回)を参照してください。


」=「一」+「||」:=体+二本足=>立っている体=>立っているもの=>とびだすもの=>飛出した形=>ものの形/ものの型=>輪郭=>きょうかい(第31回参照)
」=「冂」+「ム」:=立っている(女の)からだ+ない=>女でない体=>男の体

 「禸」は当然前項の「冋:=女の体」に対抗した文字です。

」=「田」+(融合)+「禸」:=生む+男の体=>男を生むもの=>おろかなもの(おろか)=>すみにいるもの=>すみっこ
」=「イ」+「禺」:=男の仕事+すみにいるもの=>すみにいる男=>立つだけの男=>木偶の坊=>でく
」=「イ」+「禺」:=男の仕事+すみにいるもの=>すみにいる男=>つれあいの男=>つれあい

 「禺」は本来「偶」の他にも「遇、隅、寓、齵、耦、庽」などの字を並べてその共通の意味をとることから始めるのですが、今回は省略し先を急ぎます。共通な意味として「すみっこ」が得られます。

 「禺」は意味の流れが二分しています。この時代では「男」の意味は「動物」もしくは「おす」の意味を含んでいます。辞書では男の意味が消えています。

 母系社会における配偶者「偶」は、父系社会における「愚妻」に相当します。


禹-ノ」=「虫」+「冂」=むし+立っているからだ=>交尾しないけもの
」=「禹-ノ」+「ノ」=交尾しないけもの+特別な=>特別に交尾しないけもの=>交尾の(目撃され)ないけもの=>?(ウサギ)
」=「尸」+「禹」:=やね+交尾の(目撃され)ないけもの=>同じ巣のけもの=>同類のけもの=>同じやから=>やから

 「禹」(音は「ウ」)は辞書の意味は「虫の名」となっていて手がかりがありません。「禹」を含む字からはかすかに「白く丸い」意味が読み取れ(偊、竬、踽、齲とう)、「ウサギ」ではないかと予想されます? 「ウサギ」は特に臆病で捕らえると交尾をせず子を生まず、当時は家畜とできなかったのでしょう。



***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「独」 解字:なし(旧字「獨」の解字)。
「虹」 解字:形声。意符の虫(たつ)と、音符の工(小さい橋の意=杠)とから成る。竜の一種といわれる、小さい橋のような形をしたもの、「にじ」の意。

「虱」 解字:なし(「卂+虫+虫」の解説)。
「風」 部首解説:これを部首にして、風の呼称、状態に関する意を表す文字ができている。
解字:形声。意符の鳥(とり。のち、虫に変わった)と、音符の凡(大きい意=磐)とから成る。大きいとり、鳳凰の意。借りて、「かぜ」の意に用いる。
「禺」 解字:会意。意符の禸(曲がっている長い尾)と、音符の「ノ+田」(田は変わった形、鬼の頭の形)とから成る。長い尾を持った鬼に似た猿、長尾猿の意。
「偶」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の禺(出会う意=遇)とから成る。二人が出会う意。のち、死人に連れ立つことから、木偶の意味に用いる。

「禹-ノ」 解字:なし(見出しなし)。
「禹」 解字:形声。意符の「ノ+虫」(大きな蛇の形。水の神の意)と、音符の九(=冂。まがりくねる意)とから成る。虫の名。ひいて、水神として祭られた天使禹王の意。
「属」 解字:なし(旧字「屬」の解字)。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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【2006/11/18 23:47】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「口」の追求 /37

 いよいよ「口」の追求です。今回は囲う口を除いてどんな口の種類があるかを探します。


1. 食べる口の確認をします。最初にこれまでに解読した字の見直しと、すでに解読可能な文字を紹介します。まず「口」に関する辞書の意味から見ることにします。

「口」 部首解説:これを部首にして、食う、飲む、話すなどの口の動きや、口から発する声・言葉などに関する文字ができている。口の意味に関係なく、場所や穴などを示すことがある。
    字義:くち。あな。
    解字:象形。人間の開かれた口を真正面から見たさまにかたどる。人のくちの意。ひいてさまざまな穴の意に用いる。

 これまでに出てきた要素で「食べる口」と関係するものは次のとおりです。
」(第5回参照)=「口」+「欠」:=くち+口を開けた男=>口を開けた男の口=>(冷ます)ふく口=>ふく
」(第8回参照)=「口」+「申」:=口+上下に伸びたもの=>上下に伸びた口=>うめく
」(第13回参照)=「口」+「犬」:=くち+いぬ=>犬の口=>ほえる
」(第14回参照)=「口」+「矣」:=くち+きのぬけたもの=>気の抜けた口=>ああ
」(第20回参照)=「口」+「土」:=くち+つち=>くちのつち=>嘔吐物=>はく
」(第22回参照)=「口」+「丁」:=くち+働く男=>(口答えする)男の口=>たたく
」(第22回参照)=「口」+「斤」:=くち+反抗する男=>大口で笑う=>あざ笑う=>わらう
」(第28回参照)=「口」+「勿」:=くち+四本足のけもの=>獣の口=>くちさき
」(第29回参照)=「口」+「句」:=くち+まるいもに=>丸くした口=>(暖めるために)ふく口=>ふく
」(第32回参照)=「口」+「吶-口」:=くち+うち=>内にこもるくち=>どもる
」(第36回参照)=「口」+「因」:=くち+よる=>くちで生じること=>胸がつかえる=>むせぶ

 食べる口の意味はよく見るとすべて口偏となっていることに注意してください。



2. 「食べる口」以外の「口」の意味を整理しておきます。

」(第16回参照)=「口」+「|+ノ」:=肛門+垂れ流すもの=>しり=>(後ろに)突き出したもの=>覆うもの
」(第29回参照)=「勹」+「口」=>股関節+口=>産道口=>(赤子の生まれる)丸い口=>まるい=>まるいもの出産=>一回の出産=>くぎり
」(第29回参照)=「尸」+(融合)+「句」:=しり+産道口=>股間の産道口=>産道口=>(産後)縮まる所=>ちぢまる
」(第29回参照)=「尸」+(融合)+「句」:=しり+産道口=>股間の産道口=>赤子を収めた口=>赤子ツボの口=>子宮の口=>子宮=>つぼ

 今振り返ると「尸」の意味の「肛門」は限定のしすぎですから次のように修正します。
「尸」:=「|+ノ」(左下はね棒)+「口」=>垂れ流すもの+排泄口=>しり=>突き出したもの=>おおうもの

 「尸」は横から見て突き出した尻の意味が、「句」は内側から見た尻の意味が強いようです。



3. ほかの意味を持つ「口」を探索します。「台」を取り上げますが、まずは辞書の意味を確認します。

「台」 意味:(A)だい。(B)われ。
    解字1:ナシ(旧字「臺」の解説)
    解字2:形声。意符の口(くち)と、音符のム(おのれの意=自)とから成る。一人称代名詞で、「おれ」という意。古くは台が臺と同音であることから、借用された。

 「ム」(第14回を参照)のすでに獲得した意味で「台」を追ってみます。
「台」=「ム」+「口」=>ない+口=>口のないもの=>あなのないもの=>?=>だい

 「だい」の意味には繋がりませんが、不思議なことに「口のないもの」で解読すると、「台」を持つ字の展開がうまく進みます。

」=「氵」+「台」=>みず+口のないもの=>決壊口のない水=>治水した川=>川をおさめる=>おさめる
」=「月」+「台」=>からだ+口のないもの=>口のない器官=>妊娠した子宮(羊水が漏れない)=>はらむ
」=「女」+「台」=>おんな+口のないもの=>口のない女=>処女膜のある女=>処女=>はじめ

「台」の意味は逆転的で「陥没した穴のない」の意味が単に「平らなもの」を通り過ぎて「隆起した所」を意味しているとは、これまでの解読に誤りがあったのでしょうか?

「だい」とは繋がらないと考えてはいけません。この字が「火山」に対する「火口ない山」を表しているのです。口は口でも台の口は山頂の「火を噴出す口」の意味なのです。そして「ム」が山の形を連想させています。初期の時代は「山:=火山」で「台:=非火山=>やま」だったのです(第33回「火山でない山」の回答)。

」=「ム」+「口」:=>ない+口=>口のないもの=>火口のないもの=>非火山=>山=>だいち=>だい

「台」はさらに辞書に示された「始」に連なるもう一つの意味の流れが読み取れます。
」=「ム」+「口」:=>ない+口=>口のないもの=>(処女膜のある)わたし=>われ(女子の自称)=>おれ(男子の自称)

 以上「口」は開いている方から眺めた穴の意味が強く、前回までの「凵」は横から眺めた穴の意味が強くなっています。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「治」 解字:形成。意符の水(みず)と、音符の台(よくする意=能)とからなる。水をよくする、「おさめる」意。
「胎」 解字:形成。意符の肉(からだ)と、音符の台(みごもる意=胚)とからなる。体がみごもる、「はらむ」意。
「始」 解字:形声。意符の女(おんな)と、音符の台(はじめの意=初)とから成る。始に生まれた女、長女の意。ひいて、「はじめ」の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



4. 「田」の追求に入る前に第8回から第10回にかけて集めた「田」の展開を二つ補います。先の時点では解読できませんでしたが、もう解読可能です。初めは「卑」の字で、まずは辞書を参照します。

「卑」 字義:いやしい。ひくい。
    解字:会意。意符の??(由の倒形。酒のかすを搾るかご)と、音符の??(手)とから成る。もと酒かすを搾るかごを手に持つ意ひいて、「いやしい」意に用いる。

 辞書の解説にはあまり期待が持てませんが、時々思わぬヒントが隠れています。

卑-上のノ-十」=「田」+「ノ」:=うまれる所+曲がって伸びるもの=>曲がって伸びるもの
卑-上のノ」=「卑-上のノ-十」+「十」:=曲がって伸びるもの+棒=>曲がって伸びる棒
」=「ノ」+「卑-上のノ」:=特別な+曲がって伸びる棒=>曲がって伸びた男根=>いやしい=>ひくい

 説問解字では「卑」の中央の「ノ」は「田」の中央縦棒と繋がっており、康煕字典には切れた九画の正字と繋がった八画の俗字が載っています。

 「曲」は「曲がってたくさん伸びるもの」、「甩」は「曲がって下に伸びるもの」でしたが、「卑-上のノ-十」は「ひとつの曲がって伸びるもの」の意味です。



5. 追加する二つ目は「華」の字です。辞書の内容からはじめます。

「華」 字義:はな。
    解字:会意形声。意符の艸(くさ)と、意符と音符かねる??(「華―草冠」は省略形。つぼみが美しく垂れ下がって咲く意)とから成る。草のつぼみが美しく咲く意。ひいて「はな」「はなやか」の意に用いる。

華-草冠-十」=「田」+(融合)+「三」:=生むところ+たくさん=>種の周りで四方に伸びるもの=>はなびら
華-草冠」=「華-草冠-十」+「十」:=はなびら+棒=>茎の先の花=>はな
」=「華-草冠」+「草冠」:=茎の先の花+くさ=>くさのはな

 康煕字典の「華-草冠」は同じく「はな」の意味で「田」の左右の縦棒も上に突き出しています(図を参照)。草花を生む種の四方に開く花びらを表現したい気持ちがひつこい程に伝わってきます・・・(^∇^)クスッ♪。



6. 「田」の字の追求です。第10回では立ちはだかる壁に挑戦をあきらめた「田」に挑みます。「田」の辞書の意味ももう一度確認します。

「田」 字義:た。はたけ。
    解字:象形。十(あぜみち)で区切られた畑が並んでいる形にかたどる。稲や野菜を栽培するための並んだ土地、耕作地、「た」の意。

 第12回、第20回で得た「十」の結果を改めて整えると次のようになります。
」=「」+「一」:棒+一=>一本の棒(=>はり)=>棒のある体=>男根の体=>男=>じゅう(「九:=女」に対抗する)

「田」-「十」=「口」
また、意味の関係から次のことが成立します。
「田」-「十」=「生まれる」-「男性器」=「女性器」

したっがて最終的には次のように解読できます。
」:=女性器
」=「口」+「十」:=女性器+男性器=>交わる性器=>生まれる=>生まれる所=>稲の生まれる所=>た

 このブログの紹介文で右コラムの先頭に示した内容をもう一度見てください。
『部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。』

 私たちはついに「田」をさらに深く分解することができたのです。


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【2006/11/11 13:12】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) |

「口」(かこう)の追求 /36

 今回から「口」の追求に入ります。

注意:Windows98で特殊文字や偏の字が左へ90度回転した変な表示となるものがありますのでご注意ください。ブログのプレビユーでは正常ですが、実際のブログでは回転します(原因不明です)?。

 辞書の口には全体を囲う「くにがまえ」と「くち」の2種類があります。

1.まず分かり易い「囗」(くにがまえ)から挑戦します。「口」と「囚」の辞書の内容から入ります。

「口」(くにがまえ)部首解説:これを部首にして、囲む、巡らすなどの意味を持つ文字ができている。また、○の変形として、円い意味を表わすことも有る。
    字義:かこむ。めぐる。
    解字:指示。四面を囲った形により囲む・囲い・囲み、また、巡らすなどの意を示す。
「囚」 字義:とらえる。とらわれる。
    解字:会意。意符の口(囲い)と、意符の人(ひと)とから成る。人を囲いの中に入れて捕らえる意。ひいて「とらえる」意に用いる。


 「くにがまえ」の解説はまったく矛盾を感じません。展開をみてみましょう。「囚」は辞書の解字が明快です。

」=「口」+「人」:=囲う+男=>囲われた男=>とらわれた男=>とらわれる=>とらえる
」=「氵」+「囚」:=みず+とらわれる=>水にとらわれる=>水中を動く=>およぐ

 辞書には能動と受動の両者の意味がありますが、「泅」を解読すれば当初の意味が受動形であったと考えられます。すなわちこの時代にすでに受動形があったのです。


 「因」について少し見ておきます。「大」の字が男を意味することの確認でもあります。
「裀」「絪」「茵」がみな「しとね(ふとん)」の意味です(下の辞書の解字を参照)。そこで以上の「因」の偏や冠は布団の原料を示しており「因」が「ふとん」の意味となっていたはずです。

」=「口」+「大」:=囲う+大きい男=>囲った大きい男=>身を寄せる男=>よせる=>よる/原因=>よりどころ=>寝る所=>布団
」=「女」+「因」:=おんな+身を寄せる男=>(子を産む)女のよりどころ=>女になる所=>女のしとね=>縁組=>嫁ぎ先
」=「火」+「因」:=ひ+よる=>火の起きる所=>火になるところ=>火の原因=>けむり
」=「因」+「心」:=よりどころ+こころ=>心の拠り所=>安らぐこころ=>いつくしむ

 「姻」の最後の「嫁ぎ先」は父系社会になって追加された意味でしょう。「烟」の厳密な意味は「発火直前に上る白いけむり」で、炎の先から出る煙とは異なります。「恩」の当初の「いつくしむ」は女が扶養(「扶:=手に入れた夫」に注意)する夫を思う気持ちです。

」=「口」+「古」:=囲う+古い=>古い囲い=>年を経て固まった囲い=>固い囲い=>かたい
」=「氵」+「固」:=みず+かたい=>みずで(溶いて)固まったもの=>かれる
」=「イ」+「固」:=男の仕事+固い囲い=>囲う仕事=>(レンガを)ひとつづつ積む=>一つ一つ=>こ
」=「疒」+「固」:=やまい+かたい=>固いやまい=>固定した病=>長患い
」=「金」+「固」:=かね+かたい=>固いかね=>(鋳型で)固めるかね=>かねでふさぐ=>ふさぐ

」=「口」+「儿」:=囲う+垂れ流す子供=>囲う垂れ流す子供=>囲う四年目の児童(三歳児)=>四年目=>よん
」=>「氵」+「四」:=みず+四年目の子供=>三歳児の水=>たらすみずばな=>みずばな

 特に「四」(「儿」は第19回を参照)の意味は四年目の児童(=現在の三才児・・・注:当時ゼロ才はない)で歩き回りますが、まだ当時は垂れ流す年代です。

 前回解読した「屯」は「たむろす=集まる」意味でしたが「囤」を解読するため「集める」意味を追加します。
」=「ノ」+「凵+L」:=特別な+メス犬=>メス犬の特性=>同種で寄合うメス犬=>均一の集まり(純血なもの/純粋のもの)=>たむろす(あつまる)=>あつめる
」=「□」+「屯」:=かこう+あつめる=>集めて囲う=>小さい倉

」=「□」+「甫」:=かこう+はじめ=>初めに囲うもの=>はたけ
」=「□」+「巻」:=かこう+夫の子供が分ける=>夫の子供が分けたものを囲う=>子供が成長するまで囲う=>手を付けない範囲=>しきり


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「泅」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の囚(旈のようにうねうねする意)とからなる。水上や水中をうねうねする意、ひいて「およぐ」意。

「因」 解字:会意。意符の口(家の回りの囲い)と、意符の大(ひと)とから成る。他人の家に身を寄せて生活する意。ひいて、「よる」意に広く用いる。
「裀」 解字:形声。意符の衣(ころも)と、音符の因(かさねる意=襲)とから成る。布団の上にしき重ねたもの、「しとね」の意。
「綑」 解字:形声。意符の糸(ぬの)と、音符の因(しとねの意=茵)とから成る。布製の敷物の意。
「茵」 解字:形声。意符の艸(くさ)と、音符の因(しとねの意=裀)とから成る。草で作った「しとね」の意。

「固」 解字:形声。意符の口(四囲の城壁)と、音符の古(かたい意=堅)とから成る。城壁を固く守る意。ひいて、「かたい」意に用いる。
「涸」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の固(かれる意=枯)とから成る。水がかれて尽きる意。
「個」 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の個(鎧を着ている人の意=介)とから成る。よろいを着ている人の意。のち箇と同意に用いる。
「痼」 解字:形声。意符の疒(やまい)と、音符の固(長く久しい意)とから成る。長患いの意。
「錮」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の固(閉じ込める意=禁)とから成る。金属を溶かして穴などをふさぐ意。

「四」 解字:象形。開いた口と、舌と、はく息のさまにかたどる。気息の意。借りて、数詞の「よつ」に用いる。
「泗」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の四(はなの意=自)とから成る。鼻から出る水、はなみずの意。

「囤」 解字:形声。意符の囗(かこい)と、音符の屯(あつめる意)とから成る。穀物をまとめておく囲い、米倉の意。
「圃」 解字:会意形声。意符の囗(かこい)と、意符と音符を兼ね備える甫(田に苗を植える意)とから成る。蔬菜を植える「はたけ」の意。
「圏」 解字:形声。意符の□(四方をかこんだおり)と、音符の巻(さえぎりふせぐ意=閑)とから成る。四方を囲んで出られなくした獣を入れておくおりの意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



2.「囲」の追求

特に「囲」の字を追求しましょう。まず辞書の意味です。

「井」 字義:い。いど。
    解字:象形。井戸の井桁の形にかたどる。穴をうがって水を出すところ、つまり「いど」の意。
「囲」 字義:かこむ。かこう。
    解字:形成。なし(「圍」の解字)。

「囲」=「□」+「井」:=かこう+いど=>井戸の周りを囲う=>かこう
簡単に解読が得られますが、「井」の字の解読に疑問があります。「井」の字は単独では解読不可能で「囲」以外に他の字の助けも必要です。

 少しわき道へそれます。「先」の字に注目してください。
」=「土」+「儿」:=おとこ+垂れ流す子供=>垂れ流す男子
」=「ノ」+「圥」:=特別な+垂れ流す男子=>特別な男子=>最初の男子(育てる男子)=>先のもの=>さき

 詳細は後の説明に譲りますが、長男だけは育て次男以降は間引く貧しい時代であったようです。だからこそ「先」という字が特に存在したのです。「先」の表す意味は財産分与などの末節の問題ではなく、育てるか間引くかという命の問題を表現しています。
 「甫」(第25回参照)の字は「初産の男児」の意味でしたが、やはり「育てる男児」と絡んでいます。

これまでの知識で「囲」を追ってみましょう。

井-二」=「|+ノ」(下左はね棒)+「|」=>垂れ流すもの+棒=>垂れ流す男子
」=「二」+「井-二」:=二+垂れ流す男子=>二人の男子
」=「□」+「井」:=かこう+二人の男子=>二人の男子を囲う(二人の男子を育てる)=>かこう

 以上の検討から「囲」の意味を考えると、男児を一度に両手で抱えられるだけしか育てられなかった時代を想像することができます。

 「先」の一人の男子を育てる時代と、「囲」の二人の男子を育てる時代の前後は現在不明です。後世に「井」が井戸の周囲を(泥水の流入を防ぐ)木枠で囲う形に見立て、その意味が書き換えられたと考えられます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「圥」 解字:なし。
「先」 解字:形声。意符の儿(人)と、音符の止(死の意=遷)とから成る。死んだ人の意。ひいて先祖・昔などの意味に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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【2006/11/04 19:27】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
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