象形文字の秘密
漢字の解読

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「凵」の追求3 /35

今回は「凵」の字です。

 1.前々回「冂+|」の回転型で「山」を説明した時つい勢い余って「凵」まで話を進めました。今回は「冂」の回転型で残っている「凵」を中心に検討します。

「凵」の仲間の「艸-屮」、「屮」、「艸」、「屯」も一緒に辞書の意味を見ておきましょう。

「凵」 部首解説:(カンニョウ)これをもとにしてできている文字はすくなく、おもに文字整理の上から設けられた部首。文字構成の上からは、容器の形や、くぼんでいるさまを示している。「うけばこ」ともいう。
    字義:口を開いたさま。
    解字:象形。容器類が上に向かって口を開いているさまにかたどる。
「艸-屮」部首解説:これを部首にして、草やその芽生えに関する意を表わす文字ができているが、数はきわめて少ない大部分は艸の形になって「くさかんむり」の部首に属している。
    字義:め。めばえ。 
    解字:象形。一本の草が地を突き破って生えたさまに象る。
「屮」 字義:ひだりて。
    解字:象形。左手を突き出している形にかたどる。
「艸」 部首解説:これを部首にして草花の種類・状態などに関する意を表わす文字ができている。
    字義:くさ。
    解字:会意。意符の「艸-屮」を二つ並べた形から成る。草が並びはえている意。

「屯」 字義:たむろす
    解字:指示。草(艸-屮)が地(一)を突き出ようとして伸び悩むさまを示す。悩み苦しむ意。

「凵」と「艸-屮」が独立した別の部首となっている点に気をつけてください。


」=「一」+「||」:=体+二本足=>立っている体=>立っているもの=>とびだすもの/下に欠込むもの=>飛出した形/欠込む形=>ものの形/ものの型=>輪郭=>きょうかい

 「コ」には「ハイハイするもの(=横を向く口)」の意味がありました。辞書の中に「凵」が部首解説で「うけばこ」の意、その意味に「口を開いたさま」があり、一緒にすると「上を向く口」が出てきます。

 今度は「凵」に関する「艸-屮」と「屯-ノ」の二つの字を書き並べてよく見てください。「凵」に各々「|」と「L」が組み合わさっています。すでに解読した内容「|:=男」「L:=女」の対の両者があるということは「凵」がオスとメスの対を意識した動物であるはずです。

以上を統合すると「凵」の意味として「お座りして上に口を向けた犬」が浮かんできます。
」=「冂」の逆転:=上に欠込むもの=>欠け込むも形=>上を向く口(口をあけたさま)=>いぬ(けもの)

 意味の流れから時代的には「上に欠け込む」意味の「山」の認識の方が早く、その後「イヌ」が人の友達となったと考えられます。

 実際の字で確認を採りましょう。
艸-屮」=「凵+|」:=いぬ+棒=>犬のペニス=>オス犬
屯-ノ」=「凵+L」:=いぬ+女の徳=>子を産む犬=>メス犬
」=「ノ」+「凵+L」:=特別な+メス犬=>メス犬の特性=>同種で寄合うメス犬=>均一の集まり(純血なもの/純粋のもの)=>たむろす

」=「糸」+「屯」:=いと+均一なもの=>均一な糸=>きぬ/きぬいと
」=「金」+「屯」:=金+均一なもの=>均一の金属=>単一金属の刀=>切れ味のにぶいもの=>にぶいもの=>にぶい
」=「氵」+「屯」:=水+たむろす=>寄り集る水=>流れない水=>よどんだもの=>よどむ

 注:易経には「たむろす」意味の「水雷屯」の卦があり、易経のできた周時代(B.C.770年~B.C.22年)にはすでに「屯」に「たむろす」意味が有ったと思われます。しかし「屯」を持つ「沌」は説文解字(A.D.100年頃)に載っていません。

 強くてよく切れた銅と錫の合金である青銅器の時代(始まりは紀元前2000年頃)に「鈍」の字が生まれたようです。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「純」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の屯(優れて立派な混じりけのない意=淳)とから成る。りっぱで美しい絹糸の意。ひいて、混じりけのない意に用いる。
「鈍」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の屯(にぶくなる意)とから成る。刀が鈍ってよく切れない、「にぶい」の意。
「沌」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の屯(ゆきなやむ意)とから成る。水が思うように流れない意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

 上の3例は、辞書の解字の典型例を示しています。音符であるはずの「屯」に全て意味の由来を持たせています。
 しかもその意味が字によって自在に変わっており一貫していません。この時代では最早正確に文字の由来を辿ることは不可能だったとも考えられます。

 文字の意味を書き残す手段が発達していなかった長い原始の時代には「各文字の形と意味」だけが伝えられた可能性が高く、たとえ焚書坑儒がなくて文字に関する古代の書が存在したとしても「艸-屮」や「屯-ノ」の元の由来まで正しく伝えられていたか疑問です。



2.続いて「屮」の検討です。

」=「凵」+「|+ノ」:=犬+垂れ下がるもの=>犬に垂れ下がるもの=>尻尾=>うしろ=>?=>ひだりて
」=「屮」+「艸-屮」:=尻尾+犬のペニス=>先の尖ったものたち=>くさ

 「屮」は動物の尻尾(=>うしろ)の意味ですが、脈略なく「ひだりて」の意味に変化しており、最早たどることができません。
 「艸」は現在クサカンムリになっています。クサカンムリは別に検討する予定です。

 遡る時代が古くなり解読の確認の例を探すのが困難になってきました。「屮」の展開である「逆」の字で確認したいのですが、少し遠回りをする必要があります。

 「前」の字に注目してください。
「前」=「ソ+一」+「月」+「刂」:=「ソ+一」+体+刀=>「ソ+一」+切った体=>切った体の「ソ+一」/「ソ+一」の切った体=>まえ

 分かっている付随的な意味を取り除くと「ソ+一」だけで「まえ」の意味があることが分かります。したがって次の解読が可能です。
前-月-刂」=「ソ+一」:=まえ
」=「ソ+一」+「月+刂」:=まえ+切った体=>切った体の前=>まえの肉=>まえ
」=「ソ+一」+「屮」:=まえ+うしろ=>まえうしろ=>ぜんご=>はんたい=>もどる
」=「辶」+「屰」:=あし+まえうしろ=>前後する足=>常に逆になるもの=>ぎゃくのもの=>ぎゃく

 正確には「屰」は最初それだけで「ぎゃく」の意味があったのが、次第に「後に戻る」意味になってゆき、改めて「辶」を付けた「逆」で「ぎゃく」の意味を表したと考えられます。

 ついでにその辺りの「逆-辶」の展開も処理しておきましょう。

」=「屰」+「月」:=後へ戻る+つき=>日時(月)を戻る=>月の始めに戻る=>始めに戻る=>ついたち
」=「朔」+「辶」:=日時を戻る+あし=>過去の日に戻る=>さかのぼる
」=「朔」+「土」:=始めに戻る+つち=>形が戻る土=>ねんど=>粘土で作られた人形=>でく


画-凵」=「一」+「由」:=体+上に伸びるもの=>上に伸びる体=>妊娠した体=>はらむ
」=「画-凵」+「凵」:=はらむ+いぬ=>はらんだ犬=>気の立ったもの=>隔離する=>くぎる


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「前」 解字:形声。意符の刀(かたな)と、音符の「前-刂」(そろえる意)とから成る。刀で切りそろえる意。借りて、「まえ」の意に用いる。
「屰」(ぎゃく) 解字:象形。木の葉が枯れて落ちて、葉だけが尖って、交錯する形にかたどる。相手を正そうとして争う意。転じて、隔て妨げる、反撃などの意に用いる。
「逆」 解字:形声。意符の「足-口+彡」(ゆく)と、音符の「逆-辶」(むかえる意=迎)とから成る。行って出迎える意。ひいて、「あらかじめ」の意に、借りて「さからう」の意に用いる。
「朔」 解字:形声。意符の月(つき)と、音符の「逆-辶」(白い明るさの意)とから成る。月が白い明るさを取戻すころ、「ついたち」の意。
「溯」(遡) 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の「逆-辶」(はばむ意=阻)とから成る。川を流れに阻まれながら進む、「さかのぼる」意。
「塑」 解字:形声。意符の土(つち)と、音符の「逆-辶」(かたどる意=相)とから成る。土で作る人形の意。
 注:説文解字にも康熙字典も「遡」はありますが、「溯」と「塑」は共にどちらにもありません。
「画-凵」 解字:なし
「画」 解字:なし(旧字「畫」の解字)。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3.「凵」の別の意味。

「凵」は二つの意味の流れがあるようで、今度は前とは逆に飛出した方の意味です。
」=「冂」の逆転:=下に飛出すもの=>垂れ下がる形=>垂れ下がるもの

 この字の展開を見てゆきましょう。
廿」=「凵」+「一」:=下に飛び出すもの+体の一部=>下に垂れ下がる部分=>乳房=>?=>にじゅう
」=「廿」+「丶」:=乳房+特別な=>乳=>あまい
」=「廿」+「L」:=乳房+女の徳=>乳房を持つ女=>乳房の張る期間=>ひとの支配期間=>一世代=>よ
」=「艸」+「世」+「木」:=くさ+一世代+木=>草と木の一世代=>芽を出してから散り落ちるまでの葉=>はっぱ

 「廿」の現代の意味「にじゅう」とは最早繋がりません。「にじゅう」はいかにも後付け追加の感がします。

 現代では強烈な甘味が開発されていますが、自然環境の味覚では母乳は甘いとされています。また、一世代は東洋でも西洋でも30年を意味し、これは当時の一人の女の支配する平均的な寿命であったようです。


 「冂」の展開の最後は「冂」の展開ばかりからできている「帯」で〆ましょう。

「帯」の冠は「廿」+「廿」の横融合型です。したがって次のようになります。

」=「廿」+「廿」+「冖」+「巾」:=両乳+覆う+おさえる=>両乳に被せておさえるもの=>乳当て(ブラジャー)=>おび

 「帯-冠」の「冖+巾」の意味が「覆って押さえるもの」であり、後代の「冠を着けた指揮者」の意味より基本の意味に近いので、かなり古い時代にできた文字であると考えられます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「廿」 解字:会意。意符の「十」二つからなる二十の意。
「甘」 解字:象形指示。口の中に一画を書いて、物を口の中に入れて,含み味わうさまにかたどる。口中に物を含む意。ひいて、「うまい」「あまい」意に用いる。
「世」 解字:なし(旧字「丗」の解字)。
「葉」 解字:会意形声。意符の艸(くさ)と、意符と音符を兼ねる「蝶-虫」(うすい木札の意)とから成る。薄い木札のような草の部分、「は」の意。
「帯」 解字:なし(旧字「帶」の解説)。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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【2006/10/28 01:04】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(1) |

「巾」の追求 /34

1.「冂」と「|」との組合わせ

 再び「冂」と「|」の組合わせですが、今回は「巾」の字です。まず辞書の内容からみてみましょう。

「巾」 部首解説:これを部首にして、織物の性質や形状・用途など、布に関する文字ができている。
    字義:おおい。きれ。
    解字:象形。腰の帯からぶら下がった布の形にかたどる。手をぬぐう布の意。


 手掛かりが見つからないので遠回りします。「制」を手掛かりに進めようと思うのですが、更に遠回りする必要があります。

 「气」の最初の二画や、「遊」の字の中にある「子」の上にかぶっている二画に注意してください。

「遊」の中の「方」は未だ解読していませんがその下半分は「動き回る」意味でした。全体では「子供と何か、もしくは何かの子供が動き回る足(シンニュウ)=>あそぶ」と読めます。

同じ要素が「制」「監」「覧」の中にあり、これらは「气」のように下に一画多くなっています(「権,權」「歓,歡」「勧,勸」「観,觀」は旧字があり問題なのであえて避けます)。

「气」の最初の二画はよく眺めると「人」の変形で、「气」では「乙:=少女」と組みをなし、「遊」では「子」と組みを成しています。

そこで「气-乙-一」は「男子」の意味と考えられます。正確には「乙」と「子」の両者の年齢に跨る「男子」でしょう。

气-乙-一」=[人の変形]:=男子
气-乙」=「气-乙-一」+「一」:=男子+体=>男子の体

ついでに解読しておきます。
」=「气-乙-一」+「一」+「乙」:=男子+体+乙女=>若い男女の体=>引合う体=>引合うもの=>もとめる=>引力(魅力)


 次に「制」の字を分解し「巾:=Xする」とすれば次のようになります。

「制-刂」=「气-乙」+「巾」:=男子の体+Xする=>男子の体をXする=>男子をXする=>Xする
「制」=「制-刂」+「刂」:=Xする+刀=>刀でXする=>強制的にXさせる=>Xする
一方「制」:=おさえる/せいする、ですから結局「Xする=おさえる/せいする」が得られます。

改めて逆に解読を進めましょう。
」:=おさえる/せいする
制-刂」=「气-乙」+「巾」:=男子の体+おさえる/せいする=>(狂暴な)男子をおさえる/せいする=>おさえる/せいする
」=「制-刂」+「刂」=>おさえる/せいする+刀=>刀で切りおさえる/せいする=>おさえる/せいする

 実際アラブでは軽犯罪者の手首を切り落とす罰があるようです。「おさえる/せいする」を意味する文字は時代と共に最初「巾」、次に「制-刂」、そして最後に「制」と変化してきたのです。


 「巾」の意味が得られてやっと解読する準備ができました。「制」「冂」「|」そして辞書の意味を総合し、「巾」の字を解読します。この字の特徴は縦棒が「冂」の横棒を上下に突き抜いていますから、その意味を考える必要があります。

」=「冂」+「|」:=体+男根=>体で上下する男根=>操る男根=>操れるもの=>制御できるもの=>制御すること=>制する/おさえる=>髪や乳房を押さえる布=>覆う布=>ぬのきれ



2.「巾」の展開

 以下に「巾」をそれが含まれる展開で確認します。

帚-(カンムリ)」=「冖」+「巾」:=覆う+制する=>制するものの冠=>支配者の冠=>(女)総統者

 続けて「帚」のカンムリの「巾」を右90度回転した「帚-冖-巾」ですが、横を向くと意味が異なることをすでに知りました。「帚」の下が総統者ですから、それに準ずる指揮者です。女に関する字であれば「帝」(後述)のように別の要素が付くはずです。考えられるのは「指揮する男」以外にありません.

帚-冖-巾」=「巾」の右90度回転:=制する男=>指揮する男


」=「帚-冖-巾」+「帚-(カンムリ)」:=制する男+制するものの冠=>冠をつけた男指揮者=>戦場の指揮者=>敵を追い出す男=>掃伐する男=>掃伐する=>はきだす=>はく

」=「扌」+「帚」=>て+掃伐する=>手で掃伐する=>はく
」=「女」+「帚」:=おんな+指揮する男=>指揮する男の女=>男に従う女=>よめ

妻-女」=「十」+[融合]+「帚-冖-巾」:=棒+指揮する男=>棒で指揮する男
」=「妻-女」+「女」:=指揮する男+女=>男に支配される女=>男に従う女=>つま


 次は「尹」ですが、解釈するために時代の進歩も考えに入れて「|+ノ」(左はね縦棒):=紐 に対して「ころも」の意味を追加します。

|+ノ」(左はね縦棒):=真直ぐ落ちるもの+特別な=>くそ=>垂れ落ちるもの=>垂れ下がるもの=>紐=>ころも
」=「尹-(|+ノ)」+「|+ノ」:=制する男+衣=>衣を付けた支配者=>衣を付けた役人=>役人=>つかさどる
」=「イ」+「尹」:=男の仕事+役人=>役人を助ける仕事=>助役=>(身近な)相談者=>あの男=>かれ

 「掃」や「婦」の字で現在「ヨ」となっている部分は、説文解字も康熙字典もいずれも「巾」の右90度回転型で横棒が右に飛出しています。
ただし、説文解字では単独の見出しの「帚」だけは冠が「ヨ」になっています。


 「帚-(カンムリ)=冖+巾」が女の最高統率者の意味であり、戦を指揮する男が「帚」、役人の長が「尹」、そして女を支配する男が「妻-女」であると思われます。ただ説文解字には「帝」の字は載っているのにその元となる「冖+巾」が載っていません。



」=「一」+「巾」:=からだ+掃伐する=>掃伐する体=>追出して回る人=>めぐる人=>めぐる

 「帀」の確認は「師-帀」の解読の後に展開します。また「帀」と「雨-四点」とは非常に似ていますが、「帀」は「冂」の縦幅が短く中央の縦棒が比較的に長く下に突き抜けています。



」=「帚-冖-巾」+「扌」:=制するもの+手=>制御された手=>訓練された手=>技能者=>書の技能者=>ふでの使い手=>ふで
」=「彳」+「聿」:=部族間の仕事+技能者=>部族間の調停者=>合意するもの=>きまり=>のり
」=「氵」+「聿」:=みず+技能者=>川の技能者=>渡り場所を導くもの=>導き渡す=>みちびく/わたす

注:「巾」が右回転しても「扌」と融合した時には「男」の意味はないことから、初期には男の意味を持たなかったと思われます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「气」 部首解説:これを部首にして気体の状態に関する文字ができている。
    字義:き。もとめる。
    解字:象形。人の呼吸する気息、あるいは蒸気が立ちあがる形にかたどる。立ちあがる蒸気の意。

「制」 解字:会意。意符の刀(かたな)と、音符の「制-刂」(幹と枝を備えた木の形)とから成る。刀で木を切り刻む、また大きな木材を規格に従って,大小それぞれに裁断する意。

「帚」 解字:象形。ほうきを架に逆さまに立て掛けた形にかたどる.掃除をする道具「ほうき」の意味。

「掃」 解字:形声。意符の手(て)と、意符の帚(清める意=修)とから成る。手で清める、「はく」「はらう」意。
「婦」 解字:会意形声。意符の女(おんな)と、意符と音符を兼ねる帚(箒の原字)とから成る。斎宮の清掃・管理に当たる女,ひいて、一家の祭事を司る女の意を表わしたが、のち、これに女を加えたものという。

「妻」 解字:形声。意符の女(おんな)と、音符の「妻-女」(とる意=取)とから成る。手で捕まえている女、己の所有する女、めとった女、「つま」の意。
「尹」(いん) 解字:象形。人が棒を持った様にかたどる。棒を持って人を引導する意。ひいて、「ただす」また、つかさどる意に用いる。
「伊」解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の尹(殷の湯王の時の名宰相、伊尹の意)とから成る。殷の賢者、伊尹の意。借りて、「これ」「かれ」の意に用いる。

「帀」 解字:指示。?(=之、ゆく意)を逆さまにした形により、帰る意を示す。行って帰ることから「めぐる」意に用いる。

「律」 解字:形声。意符の彳(みち)と、音符の聿(ひとつにする意=一)とから成る。一筋の道の意。ひいて、「のり」の意に用いる。
「津」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の「聿+彡」(聿は省略形。進む意=晋)とから成る。川の向こう岸へ進み渡る所、渡し場の意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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【2006/10/20 22:09】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「冂」の展開2 /33

今回も続いて「冂」の展開です。文字達の繋がりが途切れそうな時代に遡ぼっています。文字の追求も展開も難しくなってきました。


1.「冂」と「|」との組合わせ

 辞書では一切見当たりませんが「用-二」が当然存在したと考えられます。
第一の根拠は、前回得た「冂」の回転形が存在するということです。
第二の根拠は、「山」と似た形に横向きの「ヨ」が「急」や「尋」の中に存在することです。

 「ヨ」の解説はその変形しか辞書にありませんが、[山」はあるのでその部首解説と解字をまず示します。

「山」 部首解説:これを元にして山の状態・名称などを表わす文字ができている。
    解字:象形。やまの形にかたどる。高く険しい「やま」の意。

以上から「山」と「ヨ」の共通な基本形「用-二」が存在したと仮定します。これまでの知識で解読できる範囲を伸ばし「山」の辞書の意味へと繋げてみます。

」=「一」+「||」:=体+二本足=>立っている体=>立っているもの=>とびだすもの=>飛出した形=>ものの形/ものの型=>輪郭=>きょうかい
用-二」=「冂」+「|」:=体+男根=>体から下に飛出すも=>下に飛出すもの=>下に飛出す形
」=「用-二」の逆転=>上に飛出すもの=>上に飛出す地形=>やま

 簡単に「山」が解読できたのですが何か物足りなく思いませんか?


 冷静に「冂」の字をみ直してください.辞書の意味に引きずられ「飛出す形=>ものの形」と凸面にばかり注意が飛んでいました。

逆に凹面にも注意してみます。「冂」+「|」の「冂」は両足の股間をも示していたのです。そこで「冂」「コ」「匚」の欠込む意味を追加修正します(第31回参照)。

」=「一」+「||」:=体+二本足=>立っている体=>立っているもの=>とびだすもの/下に欠込むもの=>飛出した形/欠込む形=>ものの形/ものの型=>輪郭=>きょうかい
」=「冂」の右90度回転:=前に欠けたもの=>前を向く口=>横向きの体/横向きの形=>はいずる体=>ハイハイする体
」=「冂」の左90度回転:=後向きの体/後向きの形=>後に欠込むもの=>獣の尻/どうくつ=>糞を隠す所/物を隠す形=>かくす

」=「冂」の逆転+|:=下に欠込んだもの+上に吹出すもの=>火山口+真直ぐに昇るもの=>火山の爆発=>噴火するもの=>火山=>やま    (更新)

 そうです、「山」が我々の意識を捕らえた最初はその噴火の強烈な印象だったはずです。そして、この解読のためには「|」:=真直ぐに垂れ下がるもの、も飛躍的な再検討を必要としたのです。

」:=真直ぐ上に吹出すもの=>真直ぐのぼるもの
」=「冂」逆転:=下に欠込んだもの

 現在「山」は連なる山の象形とされています。それならば、山の象形は「△」でも、「Λ」でもよいのです。「上に飛出すもの」の意味を与え、かつ山のイメージに合わせるために「ヨ」では横棒の長さが均等ですが、「山」では噴火口から吹き出す火柱を特に長い縦棒で表わしています。

続いて「出」を辞書でみてみましょう。
「出」 字義:でる
    解字:会意形成。意符の凵(くつ、履物)と、意符と音符を兼ね備える止(足の意)とから成る。足に履物を履いて外に出て行く意。のち、一般に「でる」「だす」意に用いられる。 

」=「山」+「山」:=噴火するもの+吹出するもの=>火山の火柱=>飛び出すもの=>飛び出ること=>でること=>でる

 噴火でその吹出す火柱のすさまじさは、山の上に特別なという記号や指示を与えるだけでは気が済まず、「山」の上に更に「山」をかさねて強調して表現したものと思われます。


」=(「冂」+「|」)の右90度回転=「コ+一」:=横を向く体+前に飛出すもの=>前に飛び出す形(例:とり)
急-心」=「ク」+「ヨ」:=動物+前に飛出すもの=>首の飛出した動物=>とり

注:「急」については後述。また、「ヨ」の中央の横棒は特別に「冂」+「|」の縦棒が全体として回転したので「一:=体」の意味がないことに注意してください。


 「急」も辞書では「ク+ヨ」の部分が「及」に置き換わった旧字の解説となっており、辞書からの手掛かりがありません。

 「ヨ」に付いて辞書に何も解説がありませんが、存在することそのものが解読の大きな手掛かりとなっています。


両-一」=「山」+「冂」=上に飛出すもの+まわりに飛出すもの=>男根の両横に飛出したもの=>両側の睾丸=>睾丸
」=「両-一」+「一」=睾丸+体の部分=>両側にある睾丸=>両側にあるもの=>ふたつ

 「両」は辞書では複雑な「兩」の省略形として説明が省略されています。また、「両」は「雨」に骨格が似ており、解読は非常に困難で綱渡りのような連想です。ただ、噴火と射精のイメージがかすかに繋がる必要があります。



2.「冂」と「||」との組合わせ

 「用-一」と似た類推で「冊-一」があったと思われます。最初に「冊」を辞書で確かめておきます。

「冊」 字義:ふみ。
    解字:象形。文字の書きこまれた亀の甲羅、およそ六枚ぐらいを穴をあけて束ねた形にかたどる。一説に文字を記した札を紐で編んだ形にかたどり、文書の意を表わすという。
 注:「冊」には中央横棒の両側が飛出さない変形がある。


冊-一」=「冂」+「||」:=体+二本足=>体を支える二本足=>(下に突き出す)二本足の体=>下向きの二本足
「冊の左90度回転-|」:=後に伸ばす二本足=>後向きの二本足

ここで「冊」の使われた字を探してみます。
「姍」 字義:けなす。
「珊」 字義:よろめきあるく
「跚」 字義:よろよろあるく   注:この字は説文解字にない?
以上の字から「冊」の中の意味で「よろめく」意味がおぼろげに取り出せます。形と結び合わせると、「手を使ってあるく体=>よろよろあるく=>けなす」の筋が見えてきます。

」=「冊-一」+「一」:=下に突き出す二本足+体=>手で支えて二本足で立つ体=>手を使って二本足で移動する=>手を使って移動する二本足=>?=>ふみ

 もはや現在の意味とは脈絡が掴めません。しかし、これの回転型にかすかな繋がりが見えてきます。

冊の左90度回転」:=手を使い後に二本足を伸ばして移動するもの=>鳥類
」=「ノ」+「冊の左90度回転」=>特別な+手を使い二本足を伸ばして移動するもの=>羽を使い二本足を後に伸ばして移動するもの=>足を伸ばして飛ぶ鳥(大型の鳥)=>尾の短い鳥

「隹」は「|」の中央縦棒の下が回転に伴い欠落しています。やっと「とり」の意味への脈略がどうにか繋がりました。

 ついでに「馬」の冠だけを解読しておきます。
馬-灬」=「冊の左90度回転」+(融合)+「勹-ノ」=後に二本足を伸ばして移動するもの+曲がった足=>後に曲がった二本足を伸ばして移動するもの
注:「灬」については後述

「冊」の中央横棒の左右の飛出しが回転に伴い欠落していますが、辞書の引用の注でも述べたように、最初から横一棒の飛出した部分は欠落型があったのです。めでたく疾走する馬のイメージと繋がりました。


 遅くなりましたが「隹」と「馬」の辞書の記述です。
「隹」 字義:とり。尾の短い鳥。
    解字:象形。鳥の形にかたどる。
「馬」 字義:うま
    解字:象形。うまの形にかたどる。たてがみのある「うま」の意。



 今回解読した文字は感覚的に三万年前から二万年前頃に造られたと考えられる比較的古い文字です。「冊」はすでに現在の意味との繋がりが辿れません。

 以上で「冂+|」と「冂+||」の解読は両者まとめて成功とします。

33yama2.gif


 今回の解読に関しては特に独断が入りこむ余地が多いので、別解釈を思いつかれた方の意見を歓迎します。

 「山」:=火山、なら火山でない山の字は何か知りたい、と思われた方も多いと思います。この解答は今回の中に少しヒントが隠れています。

 近いうちに解答しますが、答えが分からないと安眠できない方のために安眠ボタンを用意しました。

「華文字」

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【2006/10/14 09:37】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(1) |

「冂」の展開 /32

今回は前回解読した「冂」の展開です。

1.「冂」と「一」との組合わせ

」=「一」+「||」:=体+二本足=>立っている体=>立っている人=>立っているもの=>とびだすもの=>飛出した形=>ものの形/ものの型=>輪郭=>きょうかい

丹-丶」=「冂」+「一」:=立ったからだ+体の部分=>ひとの体
」=「丹-丶」+「丶」:=ひとの体+特別な(指示)=>ひとの体の中=>肉色=>あか



2.「冂」と「入」/「人」の組合わせ

冂+入」=「冂」+「入」:=飛出したもの+はいる=>飛出したもの(男根)がはいる周り=>膣=>体の内側=>うち

丙-一」=「冂」+「人」:=輪郭+おとこ=>男の体型=>男とその仲間(=獣)=>男達
」=「内」+「一」:=男達+体=>男達の体=>動物の体(肉体を持つもの)=>動物
」=「木」+「丙」:=木+男達=>木でできた男達=>ものの握る所=>握る所=>え
」=「疒」+「丙」:=やまい+男達=>病んだ男達=>男の病=>やまい
」=「火」+「丙」:=やく+動物の体=>やいた動物の体=>確実にうまいもの=>あきらかにうまい=>あきらか

 教育用漢字「内」=「丙-一」は「冂+入」の俗字です。設問解字や康熙字典では「冂+入」(:=はいる) は「入」の部の文字で「冂」+「人」の字は見当たりません。

 「丙」が「人」と「冂」を組合わせた展開であり、たとえ設問解字や康熙字典になくても「内」=「冂」+「人」が別に存在したと考えられるので、その解釈が必要です。

」=「冂」+「人+人」:=体+おとこたち=>男達の体=>食べる体=>にく

 「肉」は男が食料の一部であった悲惨な時代にできた文字です。この項の文字の説明は「冂+人」を中心に父系社会になって特に抹殺された部分です。



3.「冂」と「丁」の組合わせ

雨-四点」=「丁」+「冂」=>職人+ものの形=>職人の体型
」=「雨-四点」+「四点」=>職人の体型+あせ=>汗だくの職人=>ぬれた体=>雨にぬれた体=>あめ

 「丁」+「冂」が「職人の体型」までが解ければ、「雨」の字にのみ表れる右下がりの四点が「汗」であると連想できます!

 「雨」も身近なもの(この場合「汗」)が、自然の対応するもの(この場合「雨粒」)へと意味の外延が生じた例です。初期の文字にはこの種の文字が多くあります。


舟-ノ-丶」=「冂」+「丁」:=ものの形+労働者=>男の操るもの
舟-丶」=「ノ」+「舟-ノ-丶」:=特別な+男の操るもの=>特別な男の操るもの=>いかだ
」=「舟-丶」+「丶」:=いかだ+特別な(指示)=>ものを載せ男の操るもの=>ふね

 「丹」や「舟」の左縦棒は「|+ノ:=の垂れ下がるもの」で解読することができず、「冂」の第一画縦棒の変形です。また、全ての辞書で「舟」の「横棒」とその下の「丶」は離れてはおらず、両者が「丁」の字を形成しています。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「丹」 解字:会意。意符の?(丹砂を採る井戸)と、音符の・(丹砂の形)とから成る。井戸の中から採る炎色(赤色)の意志、丹砂の意。

「冂+入」 解字:象形。穴居、あるいは家の入り口の形にかたどる。入り口、または、はいる意。ひいて、内部「うち」の意味に用いる。
「冂+人」 解字:なし
「丙」 解字:象形。祭肉を載せる大きな机の形にかたどる。神にいけにえを奉げる大きい祭祀用の机の意。
「柄」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の丙(手に取る意)とから成る。手にとって持つ木の部分、「え」の意味。
「病」 解字:形声。意符の疒(やまい)と、音符の丙(益し加わる意=竝)とから成る。病状が増し加わって重くなる、危篤の状態になること。
「炳」 解字:形声。意符の火(ひ)と、音符の丙(著しい意=「艸+丙」)とから成る。火の著しく明るい意。
「肉」 解字:象形。切り離した獣肉と、その筋のあるさまにかたどる。やわらかな「にく」の意。

「雨-四点」 解字:なし
「雨」 部首解説:これを部首として降雨を中心とした気象状況に関する意を表わす文字ができている。
    解字:象形。天(一)の雲(「冂+|」)と、水滴(四点)の降るさまにかたどる。雲から落ちる水滴、「あめ」の意。

「舟」 解字:象形。木の内部をくりぬき、転覆を防ぐ装置をつけた丸木舟の形にかたどる。ひいて、「ふね」の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****


 「田」の展開として紹介した「冉」と「再」(第25回参照)は辞書では「冂」の部に入っていますが、「冂」の展開では解読できません。


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【2006/10/09 08:06】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「冂」の追求 /31

1. 今回は「冂」の追求です。まず辞書の内容から入りましょう。

「冂」 部首解説:これをもとにしてできている文字はすくなく、おもに文字整理の上から設けられた部首。
    字義:さかい。
    解字:象形。はるかかなたにある境界のさまにかたどる。

 例によって辞書からの手掛かりがありません。手掛かりを掴むために骨格が同じ文字を集めたいのですが余り見つかりません。

 これまでに得た手持ちの要素を使って解読を試みます。
」=「一」+「||」:=体+二本足=>立っている体=>立っているもの=>とびだすもの=>飛出した形=>ものの形/ものの型=>輪郭=>きょうかい

 この解読を確かめる手掛かりもありません。「冂」の形は漢字解読の大きな溝になって立ちはだかっており、飛び越えるのが大変な溝です。



2. 少し遠回りして同じ骨格でも横を向いた「コ」、そして「L」と結合した「己」を捕まえます。
 困難なことに「コ」は部首にもありませんが、当然「L:=女の徳=>徳」(第19回参照)を利用します。

「己」 字義:わたし。はじめ。  <=女児(女の始まり)
「已」 字義:すでに。      <=歩き出した女児
「包」 字義:つつむ。      <=股間に包まれる女児
「起」 字義:おきる。      <=立ち始める女児
「記」 字義:しるす。      <=話し始める女児
「妃」 字義:きさき。      <=跡取りの女児
「紀」 字義:しるす。いとぐち。 <=糸の始まり
「配」 字義:くばる。      <=酒盛りの始まり


 「己」の中に「ハイハイする女児」の意味が見えてきましたので、以上の字を逆に解読します。
」=「冂」の右90度回転=>横向きの体/横向きの形=>前向きの体/前向きの形=>はいずる体=>ハイハイする体
」=「コ」+「L」+=ハイハイする体+女の徳=>ハイハイする女児=>はいずる体/はじめの体=>はいずる私=>おのれ/はじめ
」=「コ」+「L」+=ハイハイする体+女の徳=>「己」より少し成長した女児=>すでに歩き始めた女児=>すでに歩く体=>すでに
」=「勹」+「己」=>つつむ+ハイハイする女児=>股ぐらの女児=>女児をつつむ=>つつむ
」=「走」+「己」=>ひとの足(走る)+ハイハイする女児=>ヨチヨチ歩き出す女児=>おきる
」=「言」+「己」=>ことば+ハイハイする女児=>片言の女児=>初期の言葉=>ことば=>しるす
」=「女」+「己」=>おんな+ハイハイする女児=>跡取りの女児(長女)=>跡取り=>大切な女=>連れ添う女=>きさき
」=「糸」+「己」=>いと+はじめ=>いとぐち
」=「酉」+「己」=>さけ+はじめ=>酒盛りの始まり=>酒をくばる=>くばる


注:第19回の「土」と第20回の「走」の解読では「土:=男」でしたが、「起」の字に及んで両者に「ひと」の意味を追加更新します。
」=「十」+「一」:=男+体=>男の体=>男/ひと=>座り込む体=>座る所=>地面=>つち
」=「土」+「足-口」:=おとこ+あし=>男の足/ひとの足=>はしる/あるく

 「つつむ」は始め「勹」でしたが、文字が複雑化するにつれ次第に単独では使われなくなり、「己」を加えた「包」が「つつむ」の意味を引き継いだものと思われます。

 「記」の「ことば」から「しるす」までの意味の間には、文字を書き始めた時代から文字を書くことで通達や記録を記すまでの数千年の時間の経過が伺われます。

 「妃」の字は父系社会以降その意味が男社会用の「連れ添う女」に変更されています。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「己」 解字:象形。糸の先端の曲がりくねっている形にかたどる。長い糸の先端の意、かりて「おのれ」の意味に用いる。
「已」 解字:象形。誇大の工作用の木の鋤の曲がった形にかたどる。すきの意。のち已(やめる)などに変化した。
「包」 解字:会意形声。意符の巳(腹の中のまだ形が出来上がらない意)と、意符と音符を兼ねる勹(人が体を曲げてつつむ)とから成る。胎児を腹中に抱えている、身ごもっている意。ひいて、「つつむ」意に用いる。
「起」 解字:形声。意符の走(はしる)と、音符の巳(己は誤り変わった形。止まる意=止)とから成る。走るのを止めて立ち止まる意。ひいて、「たつ」の意に用いる。
「記」 解字:形声。意符の言(ことば)と、音符の己(記す意=識)とから成る。言葉をしるす意、ひいて「しるす」意に用いる。
「妃」 解字:形声。意符の女(おんな)と、音符の己(そう、ならぶ意=配)とから成る。夫に連れ添いならぶ女の意。
「紀」 解字:会意形声。意符の糸(いと)と、意符と音符を兼ね備える己(糸の先端の意)とから成る。糸の先端、いとぐちの意。
「配」 解字:形声。意符の酉(さけ)と、音符の己(意味不明)とから成る。酒の色の意という。かりて、「つれあい」「くばる」などの意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



3. 「コ」が「冂」の回転として意味が繋がっているようなので、更に進めてみます。次は「匚」ですが、似た形の「匸」もいっしょに検討します。

「匚」(ハコガマエ) 部首解説:これを部首にして、箱の種類に関する文字ができている。匸(かくしがまえ)とは異なる。
字義:ものを入れる四角の器
解字:象形。ヤナギの枝や竹などを曲げてつくった、方形の枠や箱などの形にかたどる。四角形の入れ物の意。
「匸」 部首解説:(カクシガマエ)これを部首にして、区切る、囲う、隠すなどの意を示す字ができている。匚とは異なる。
    字義:斜めに待ち望み、鋏み隠すものがあるさま。
    解字:象形。両足をそろえて出して体をかがめ、さらに両手をそろえて前に出して、物を覆い隠す形にかたどる。形には諸説あり。


 始に簡明な所から決めてゆきます。これまでの解読から得た知識で「匸」を解読すると次のようになります。
」=「一」+「L」:=からだ+女の徳=>女体の徳=>女の秘めた徳=>隠された徳=>かくす

 「元々隠れている」意味が途中から「隠す」意味に変わっています。注意して辞書を見ると、不思議なことに「匸」を持つ文字は多く「匚」の形での見出し字があり、また、実際「匸」や「匚」の付く字達の旁を比べると、基本的な文字要素を持つ持つ字は全て「匚」にあります(「医」は例外)。

 「亡」の文字が一見「匸」と関係あるように見えますが、「亡」は「亠」を持つ骨格で全く別の仲間です(後述)。

 「匸」の形だけが他と無関係に現れており、「匸」と「匚」の意味も類似しているので、後代の追加型と思われます。そこで「匸」は全て「匚」の変形または仲間の字として考えます。

」=「冂」の左90度回転=>横向きの体/横向きの形=>後向きの体/後向きの形=>物を隠す形=>かくす
」=「匚」+「斤」:=かくす+反抗する職人=>反抗心を隠す職人=>秘めた探求心=>匠の心=>たくみ
」=「匚」+「儿」:=かくす+たれ流す女児=>大切な子供=>けものの子供(逆意)=>ひき
」=「匚」+「王」:=かくす+亀頭=>亀頭を隠す=>情欲をかくす=>行儀をただす=>ただす
」=「匚」+「若」:=かくす+わかい=>若さを隠す(年配に振舞う)=>かくす

 「匹」は途中で意味が逆転しています。母系社会の意味が父系社会になって逆転させられたものと思われます。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「匠」 解字:会意。意符の匚(はこ)と、音符の斤(ちょうな)とから成る。道具箱の中に大工道具を装備している意。ひいて、木工の意に用いる。
「匹」 解字:会意。意符の?(二つの布を並べて広げたさま)と、意符の?(一巻き、または、一反の布)とから成る。一説に象形で、馬の尻の形にかたどるという。
「匡」 解字:形声。意符の匚(はこ)と、音符の「|+凵+王」(王は省略の形。ただしい、四角形の意)とから成る。飯を入れる方形の器の意。借りて、「ただす」意に用いる。
「匿」 解字:形声。旧字は意符の匸(体を曲げて腕で挟み隠す形)と、音符の若(置く意=置)とから成る。物を脇の下に挟みおいて、人目に触れなくする、「かくす」意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



4. 「冖」と「宀」の追求です。辞書の意味をまず見てみます。

「冖」(ワカンムリ) 部首解説:これを部首にして、覆い・覆われたものの意を表わす文字ができている。
    字義:おおう
    解字:象形。上から物を覆い、四方に垂れ下がっている形にかたどる。
「宀」(ウカンムリ) 部首解説:これを部首にして、屋根で覆われた家屋の、部分・種類・状態など、住居に関する意味を表わす文字ができている。
    字義:屋根を四方に垂れ寄せ棟の奥深い屋根。
解字:象形。他かい屋根に覆われた家屋の、屋根の形にかたどる。

 象形となっていますが「冖」はこれまでの解読と辞書の解字の内容とから、「冂」の足を短くし高さに比べて上の面積が大きい形へとすぐ連想がつながります。


」=「冂」の高さの低いもの:=かぶせるもの=>おおうもの/覆う布=>おおう
」=「冖」+「与」:=おおう+あたえる=(布を)被せて(字形を)あたえる=>被せて字を学ばせる=>字をうつさせる=>うつす
」=「冖」+「几」:=おおい+指揮する女=>指揮する女の冠=>無用なもの=>むだなもの
冘-L」=「冖+ノ」:=おおい+垂れ下がるもの=>垂れ下がる覆い=>垂れた衣
」=「冖+|+ノ」+「L」:=垂れた衣+女=>女の垂れた衣=>重い衣のひと(サックドレス型?)=>下に引かれる体=>下に引かれる
」=「氵」+「冘」:=みず+下に引かれる=>水で下に引かれる=>しずむ

」=「冖」+「丶」:=おおい+特別な=>特別な覆い=>空の覆い=>いえ
」=「宀」+「女」:=いえ+おんな=>家の中の女=>安全なひと=>安心なこと=>やすい
」=「宀」+「元」:=いえ+二年目の幼女=>家で育てる二年目の幼児=>必ず育つ幼児=>まっとうする
」=「宀」+「子」:=いえ+こども=>同じ家の子供=>同じ仲間=>同類のもの=>同類の字=>もじ


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「写」 解字:形声。意符の宀(いえ)と、音符の「寫-宀」(こちらからあちらへ物を運んで降ろす意=卸)とから成る。こちらの家からあちらの家に物を運び置く意。ひいて、「うつす」意に広く用いる。
「冗」 解字:会意形声。意符の宀(冖は変わった形=家)と、意符と音符を兼ねる儿(几は変わった形。労働のできない柔軟な人の意=)とから成る。もと人が家の中で何もせず、勝手気ままにしている意。ひいて、むだの意に用いる。
「冘」 解字:象形。武器か農具のようなものを持っている形にかたどる。物を担って下に引く力が強い、重い意。
「沈」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の冘(重く垂れ下がる意=耽)とから成る。重くて水中に深く没する、「しずむ」意。

「安」 解字:会意形声。意符の女(おんな)と、ノ(むつき)と意符と音符を兼ねる宀(意家の中でくつろぎ楽しむ意)とから成る。婦人が生理の時にむつきを着けて、家の中に隠れて静かにくつろいでいる意。ひいて、静かに家の中にいる、「やすんじる」意に用いる。
「完」 解字:形声。意符の宀(いえ)と、音符の元(垣根の意=垣)とから成る。家の回りを巡る垣の意。ぐるっと巡らして、欠けた所がないことから、完全の意味に用いる。
「字」 解字:形声。意符の宀(いえ)と、音符の子(出生の意=乳)とから成る。子を産む家、産屋の意。ひいて、やしなう、借りて、「あざな」の意に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



 以上今回の「冂」の解読は「コ」を最初の手掛かりとし「匚」「冖」「宀」の変形した部首により間接的に検証することが出来ました。


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【2006/10/02 08:44】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) |
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 このブログは漢字の解読を紹介します。従来、部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。  「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。

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