象形文字の秘密
漢字の解読

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「勹」の解読 /26

 今回は「勹」の解読です。「勹」(ホウ)には似た字「勺」(シャク)があるので、まず辞書の解説から手掛かりを探します。

「勹」 部首解説:これを部首にして、包み込む、抱き込むなどの意を表わす文字ができている。
    字義:つつむ。包むの本字
    解字:象形。人が前かがみになって何かを包むようにている形にかたどる。あるいは人が何かを抱きかかえこむ形にかたどる。つつむ意。
「勺」 字義:象形。瓢箪などを立てに割って、大きな椀のようにした、液体を汲む道具の形にかたどる。杓の原字。ひいて、くみとる道具、ひしゃくの意に用いる。

これでは全く手掛かりが得られないので、文字達に聞くよりありません。「勹」は利用された字が少ないので、比較的に仲間の多い「勺」の字を捕らえます。

「妁」 なこうど。       <=男女をつなぐ
「杓」 ひしゃく。       <=木で(液体に)つながる
「灼」 やく。あぶる。     <=火とつながる
「約」 つづめる。たばねる。 <=糸でつなぐ
「仢」 丸木橋。        <=土地がつながる
「彴」 丸木橋。        <=土地がつながる
「酌」 酒をくむ。       <=酒と(さかずきが)つながる
「釣」 つる。         <=釣りばりで(魚と)つながる
「汋」 うるおう。       <=水とつながる
「靮」 たづな。        <=革でつながる

「勺」からは「つながる」という意味が炙り出されてきます。ただ、下の二つは「勺」の「丶」が「一」になっていますが同じように意味がつながるので、区別が見えてくるまでそのままで進みます。

ここで次のXを考えます。
「勺」=「勹」+「丶」:=X+特別な=>特別なX=>つながる
Xにはこれまでの経験から「我々の体に関すること」、その図形から「二つの要素であること」がヒントです。

 体で「(特別でなく)普通に繋がっている所」とは手か足で、手の繋がっている所は「戸」の字で捕らえることができます。少し横道にそれますが、処理しておきましょう。
」:=「戸」+「月」=>行き来するもの+体=>体で(手の)行き来するところ=>かた

残るは足で、「勹」は「股関節」の意味を持つ可能性が高くなります。
」:=足のつながる所=>股関節
」=「勹」+「丶」:=股関節+特別な=>(神経の)つながった足=>つながったもの=>つながる=>木で(水と)繋がるもの=>ひしゃく

「勹」の展開を見て確認を取りましょう。
」=「勹」+「二」:=足のつながる所+ふたつ=>対の二本の足=>均等に働く足=>そろう
」=「土」+「」:=男+そろう=>そろえた男=>均等に扱う男=>ひとしく扱う=>ひとしい
」=「勹」+「甫」:=足のつながる所+はじめ=>始めのつながった足=>はう。はらばう
「旬」=「勹」+「日」:=つながった足+日=>?=>一連の日(十日)=>一連のもの

「旬」の繋がりが途中で切れます。おそまきながら「旬」の辞書の内容です。
「旬」 字義:十日。十日間。
    解字:形声。意符の日(ひ)と、音符の「勹の変形」(勹は誤った形。へびがとぐろを巻いた形)とから成る。(十干の暦法により)日が一巡する、十日間の意。

「旬」の繋がりが途中で切れたまま「十日」から導かれる「一連の日(十日)=>一連のもの」を手掛かりに展開してみます。

」=「竹」+「旬」:=竹+一連のもの=>繋がった竹=>たけのこ
」(ケン)=「糸」+「旬」:=いと+一連のもの=>一連の糸=>あやなす糸=>あや
」=「氵」+「旬」:=みず+一連のもの=>一連の水=>渦巻く水=>うずまき
」(シュン)=「山」+「旬」:=やま+一連のもの=>一連のやま=>つらなる
」=「言」+「旬」:=ことば+一連のもの=(相手と)つながった言葉=>同意する言葉=>したがう
」=「忄」+「旬」:=こころ+一連のもの=つながった心=>信じる=>まこと

「旬」の展開に関しても問題はありませんが、未判読の部分を埋めるために再度「勹」の検討を洗い直します。

これまでの流れからすると
「勹」=「ノ」+「刀-ノ」:=特別な+曲がった足?
がまず考えられます。しかし「刀-ノ」が曲がった足だと、「勹」の「ノ」の部分に「体」の意味がなければ全体として「足のつながる所」の意味が生まれず、今までの解読と矛盾します。

「勹」の形をよく見てください。「勹」を象形と考えると、先に解読した「|:=立った足」に対抗する「普段の足」の象形で「曲げた足にかたどる」と考えられます。矛盾なく「勹」を解釈するには以上を配慮して次のようになります。
」=象形/曲げた足に形にかたどる:=>足のつながる所=>股関節

更に現在の意味への流れもつかめます。
」:足のつながる所=>=股関節=>座った股関節=>またぐらをなす所=>またぐら=>ものをつつむ=>つつむ


 一方、「勹」の第一画が長めの展開である「万」や「成」(「方」もこの仲間:後述)には「動きまわる」意味が共通に読取れ、もう一つの解読が成立するのです。
」:=足のつながる所=>股関節=>何度も折れ曲がる=>動きつづける=>動き回る
」=「一」+「勹」:=体+動き回る=>動きまわる体=>しなやかな体=>千変万化の格好をするもの=>ものすごい変化=>ものすごい数=>まん
」=「勹」+「戈」:=動き回る+武器=>持ち歩く武器=>武器を持ち歩くひと=>大人になった人=>大人になること=>なる

 「成」は攻撃の武器とは限らず腰を守る防具、もしくは両足を守るための「腿当て」のような防御道具だったかもしれません。それらは一人前になって使用する成人祝いの道具だったのでしょう。

 結局「勹」には最初の「足のつながる所=>股関節」の先に「座った足」と「動き回る足」の二つの意味の分岐があったのです。そして「動き回る」意味からのやっと「旬」の解読が見えてきます。
」=「勹」+「日」:=動き回る+日=>続けて働く日=>働く日々=>一連の日(十日)=>一連のもの


 最初「勺」が繋がる意味で「旬」が複数のつながりの意味でした。「勺」が次第に「ひしゃく」の意味となってしまったので、改めて「旬」が繋がる意味を引き継いだと考えられます。

 ここで振り返えると「勺」と「汋-氵」における「丶」と「一」の混同の様子も理解できます。「勺」の単なるつながり、「」の二つのつながり、「旬」の複数のつながり、以上のはざまで「汋-氵」は一つのつながりを強調しようとした意図だったのです。意味としては「勺」に近く混同されたと思われます。


 「旬」の字の解読から、原始社会では十日間の連続勤務(もしくは十日で一巡する勤務)であったと考えられます。


 最後に今回の手掛かりを与えてくれた文字達の解読です。
」=「女」+「勺」:=女+つなげる=>(男女を)つなぐ女=>なこうど
」=「木」+「勺」:=き+つながる=>木と(液体が)つながる=>ひしゃく
」=「火」+「勺」:=火+つながる=>火とつながる=>やける
」=「糸」+「勺」:=糸+つなげる=>糸でつなげる=>たばねる
」=「イ」+「勺」:=部族内の仕事+つなげる=>両岸をつなげる=>橋をかける=>丸木橋
」=「彳」+「勺」:=部族外の仕事+つなげる=>両岸をつなげる=>橋をかける=>丸木橋        
」=「酉」+「勺」:=酒+つながる=>酒と(さかずきが)つながる=>酒をつぐ=>つぐ
」=「金」+「勺」:=金+つながる=>釣りばりで(魚と)つながる=>魚をつる=>つる
」=「氵」+「勺」:=みず+つながる=>水とつながる=>うるおう
」=「革」+「勺」:=かわ+つながる=>革でつながる=>たずな

 これらの字が繊細な自然の観察から生みだされていることを改めて味わってください。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「肩」 解字:会意。意符の肉(からだ)と、意符の戸(戸は省略形。肩甲骨から肘に連なる部分の形)とからある。からだの左右の肩甲骨のある腕の付け根の部分、「かた」の意。

「」 解字:会意。意符の「勹の変形」(勹は変わった形。みみずの形にかたどる)と、意符の二(同じ物が二つ重なる意)とから成る。みみずの一回り、あるいは二回りの意のち、一般に、まわる意に用いる。
「均」 解字:形声。意符の土(土地)と、音符の(たいら意=平)とから成る。土地をならしてたいらにする意。ひいて「「ととのえる」「ひとしい」意に用いる。
「匍」 解字:形声。意符の勹(ひとが前に屈んださま)と、音符の甫(ふせる意=伏)とから成る。手をつき腹を地面に着ける、はらばう意。

「筍」 解字:形声。意符の竹(たけ)と、音符の旬(めぐる意=巡)とから成る。竹の皮にぐるぐる巻かれているもの、「たけのこ」の意。
「絢」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の旬(五色の色糸の意=筍)とから成る。色糸をおり巡らした模様、「あや」の意。
「洵」 解字:形声。意符の水(みず)と、音符の旬(めぐる意=巡)とから成る。うずまく水の意。

「峋」 解字:形声。意符の山(やま)と、音符の旬(うすぐらい意)とから成る。山が薄暗いほど奥深い意。
「詢」 解字:形声。意符の言(ことば)と、音符の旬(たずねる意=尋)とから成る。意見などを問い尋ねる意。
「恂」 解字:形声。意符の心(こころ)と、音符の旬(混じりけがない意=純)とから成る。心に混じりけがない、「まこと」の意。

「万」 解字。ナシ(萬の解説)
「成」 解字。形声。意符の戊(弓なりに曲がった小刀)と、音符の丁(かさねる意)とから成る。小刀で木の表面を幾度も重ねて削る意。ひいて「なす」「なる」「たいらげる」などの意に用いる。

「妁」 解字:形声。音符の女(おんな)と、意符の勺(むすぶ意=結)とから成る。二姓の間を結ぶ人、なこうどの意。
「杓」 解字:会意形声。意符の木(き)と、意符と音符を兼ねる勺(液体を汲み取るひしゃくの意味)とから成る。ひしゃくの柄の意。
「灼」 解字:形声。意符の火(ひ)と、音符の勺(やく意)とから成る。火でやく意。
「約」 解字:形声。意符の糸(いと)と、音符の勺(しばる意)とから成る。意とでしっかりしばる意。
「仢」 解字:ナシ(彴の別字)    
「彴」 解字:形声。意符の彳(あるく)と、音符の勺(まるきばしの意)とから成る。水面の上に架け渡したまるきばしの意。
「酌」 解字:会意形声。意符の酉(さけ)と、音符と音符を兼ねる勺(ひしゃくでくみとる意)とから成る。酒樽からひしゃくで酒を汲み取る意。
「釣」 解字:形声。意符の金(金属)と、音符の勺(つる、つるすの意=吊)とから成る。金属製のかぎで魚を捕らえる、「つる」意。
「汋」 解字:形声。意符の氵(水)と、音符の勺(たちまち、急激の意)とから成る。水が急激に流れる音の意。
「靮」 解字:形声。意符の革(かわ)と、音符の勺(しめる意=締)とから成る。午を締め着けて制御する皮のひも、手綱の意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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【2006/08/30 23:20】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「角-ク」の解読/25

 今回は「角-ク」の解読です。この字そのものは現在使われていませんが、派生した文字からこの文字が存在したと考えられます。活字がなくて読みにくいでしょうが、図を見ながら読んでください。

まづ、「|:=立った足」 を使います。
||」=「|」+「|」:=二本の立った足=>立った両足=>立ったひと=>立った体=>ひとの体

 羽がなくて二本足で立つことはひとの特徴です(尾を使うカンガルーは例外)。以下「田」と結びついて左側の足が外にはねるのは「厂」(がんだれ)の時と同じで、書きやすさ等による変形でしょう。

角-ク」=「||」+「田」=>立った両足+生むもの=>二本足で立つ妊婦=>立った妊婦
」=「ク」+「角-ク」:=動物+立った妊婦=>動物的な妊婦=>気の荒い妊婦=>周囲に突き当たる妊婦=>回りに当たるもの=>角をもつもの=>つの
」=「角」+「虫」:=つの+むし=>虫の角=>虫の触覚=>ものに触れる=>ふれる(図は略)

 「角」の上部は「魚」と同じで、「ク+田」+「||」と考えることもできます。そのときの解釈は、次のとおりです。
ク+田」=「ク」+「田」:=動物+生むもの=>子を産む動物=>身ごもった動物
」=「ク+田」+「||」:=妊娠した動物+立ったひと=>動物的な妊婦=>・・・

 動物が非常に気が荒くなり不用意に近づくと危険なのは、妊娠した時と怪我をしている時で、これは人間でも同じです。妊娠時の用意に結婚式には角隠しを付ける因習が生まれたものと思われます。

 以上は「角」=「ク」+「田」+「||」を意味しますが、「ク」+「||」が現実的な意味を持たないので、三つの要素のどの組合せから解釈を始めてもよいわけではありません。
 特に以下に示す「一」「二」のように限定して修飾する意味の場合は、字のできた順番に読み取らないと意味が通じません。

角-ク+|」=「由+||」:=上に伸びるもの+立ったひと=>上半身が伸びあがる妊婦の体=>臨月の妊婦
」(ゼン)=「一」+「||+由」:=体+臨月の妊婦=>臨月の体=>じわじわ上向く=>じわじわ進む
」=「ニ」+「||+由」:=二+臨月の妊婦=>二度目の妊娠=>再びの妊娠=>ふたたび

「冉」と「再」では「由+||」と「一」「二」が各々融合しています。要素の融合は「戈」でもありましたが、多くはありません。特別な融合体はまとめて後述します。


」=「角-ク」+「|」:=立った妊婦+垂れ流すもの=>垂れ流す妊婦=>羊水を垂らす妊婦=>羊水=>(誕生祝いの)祭礼に使う羊水=>祝いにもちいる=>もちいる
」=「マ」+「用」:=ある+羊水=>羊水がある=>保存する羊水(保存した羊水)

」(ヨウ)=「イ」+「甬」:=仕事+保存する羊水=>羊水を守る仕事=>(魔除け等の)人型の人形=>副葬人形=>ひと型
」=「木」+「甬」:=き+保存する羊水=>羊水を保存するもの=>おけ
」=「辶」+「甬」:=とおる+保存した羊水=>保存した羊水で通れる=>通過できる=>通過する=>とおる(注:「辶」の解説は後述)
」=「疒」+「甬」:=やまい+破水がある=>破水のやまい=>陣痛=>いたい

 ひとの産道口は下方を向いており、原始社会では立って木に手をくくり付け、ぶら下がる格好で子を生む(産婆が受ける)部族が報告されています。そこで「冉」=「由」+「||」に対抗して「用」=「甲」+「||」を考えてみます。すると「甲:=下に伸びるもの」の他に次の枝分かれが考えられます。
」:=「田」+「|」:=生む所+真直ぐに落ちるもの=>下に流し出すもの

 「痛」は「甬」の意味が「破水がある=>羊水がある」のもとの意味で、他の派生文字より早い時代にできたと考えられます。

 生命誕生に先駆ける羊水は、神聖なものであり、神社の通過を許される通過証であったのでしょう。

甫-丶」=「十」+「用」=男+羊水=>男子出生の羊水
」=「甫-丶」+「丶」=男子出生の羊水+特別な=>初産男子の羊水=>はじめての羊水=>始めてのもの=>はじめ


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「角-ク」 解字:ナシ
「角」 部首解説:これを部首にして、角の状態・製品なとに関する意を表わす文字ができている。
    解字:象形。牛や羊などの角の生え始めた形にかたどる。硬い「つの」の意。
「触」 解字:ナシ(觸の解説) 注意:説文解字にはないが、意味が解ける。

「由+||」解字:ナシ
「冉」 解字:ナシ(冉の田の中央横棒も左右に飛出した字(ゼン)の説明)
「再」 解字:会意。意符の「ゼン(即上行の字)」(ものを入れる竹籠)と、意符の一(竹籠を更に重ねるために置いた台)とから成る。もと、ものを載せる台の意。同じ竹籠を更に重ね乗せることから「ふたたび」の意に用いる。

「用」 部首解説:これを部首にしてできている文字はほとんどなく、主として、字形の上から文字整理のために設けられた。
    解字:象形。弋(くい)と何本か不ぞろいに立て横棒を渡して作った柵の形にかたどる。牧場の塀の意。借りて「もちいる」意に用いる。
:「車」の時のように甲骨文や金文は複雑に変形されています。
「甬」 解字:ナシ

「俑」(ヨウ) 解字:形声。意符の人(ひと)と、音符の甬(犠牲にする意=用)とから成る。死者を葬るときに副葬品として埋められる人形の意。
「桶」 解字:形声。意符の木(き)と、音符の甬(からっぽ、中空の意=洞)とから成る。内部を中空にした木製の容器、「おけ」の意。
「通」 解字:意符の彳(または辶。みち)と、音符の甬(つきとおる意=洞)とから成る。未知が真直ぐとおっている、「とおる」の意。
「痛」 解字:形声。意符の疒(やまい)と、音符の甬(かさの意=瘍)とから成る。突き刺されるような「いたみ」の意。

「甫-丶」 解字:ナシ
「甫」 解字:会意形声。意符の用(もちいる)と、意符と音符とをかね備える父(おのを手に持った意)とからなる。おのを手に持って仕事を使用する意。ひいて仕事の「はじめ」の意にもちいる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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【2006/08/24 07:59】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) |

「序」と「車」-その24

 前回の続きが残っているので「序」の字の展開をしますが、この字はもう少し戻って大切な字「予」から解読が可能です。まずは一連の字の辞書の内容です。

「了」 字義:おわる。すむ。
    解字:象形。ひじのない子供の形にかたどる。もと、両手がなえて体にまつわる意。借りて「おわる」の意に用いる。
「予」 字義:あらかじめ。
    解字:指示。機を織る時に梭(ヒ、横糸を通す道具)を左右に押すさまを示す。杼(コチの源字)。一説に象形で、機の横糸を通す杼の形にかたどり、杼を横に押しやる意という。
「序」 字義:ついで。ひさし。
    解字:形声。意符の广(いえ)と、意符と音符の予(壁の意)とから成る。壁だけの家、四方に壁だけあって部屋のない家屋の意という。


 現段階では「了」の解読は後回しにして「予」から始めましょう。上の説明では特に「予」の解字の中にある指示とは何を意味しているのか理解できません。

」=「マ」+「了」:=ある+おわり=>終りがある=>終りが見通せる=>予定すること=>あらかじめ
」=「广」+「予」:=いえ+予定すること=>先に家となる所=>ついでに造る所(ひさし)=>ついでの先取り=>ついで
」=「|+二」+「予」=手+予定すること=>間もなく手にするもの=>すくいだす=>くみとる
」=「木」+「予」=木+予定すること=>これから木になるもの=>木に成る実=>どんぐり
」=「里」+「予」:=さと+予定すること=>これから里になる所=>のはら=>の

 それまで単細胞生物や多細胞生物の本能が、地球自転等によるの反復的な未来を捕らえて季節毎の変態と成長をして来ました。「予」は知能が始めて未来を文字で捕らえた金字塔です。


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「抒」 字義:くむ。のべる。
    解字:形声。意符の手(て)と、音符の予(くむ意)とから成る。手でくみとる意。
「杼」 字義:ひ(機織の道具)
    解字:会意形声。意符の木(き)と、意符と音符を兼ねる予(機織で横糸を通す道具の意)とから成る。木製の機織の横糸を送る道具、「ひ」の意。
「野」 字義:の。まちはずれ。
    解字:形声。意符の里(むらざと)と、音符の予(のんびりの意)とから成る。のんびりした田舎のすまいの意。ひいて「の」の意味に用いる。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****



 先に約束した「田」の付く字ですが、他と毛並みの違う「車」のみを今回の対象とします。まず、「車」とその関係する文字を辞書で確認します。

「車」部首解説:これを部首にして車の種類・部分・状態に関する文字が出来ている。
   字義:くるま
   解字:象形。車の形にかたどる。人が乗っている「くるま」の意。ひいて、車の総称に用いる。

 辞書で実際に確かめてほしいのですが、甲骨文字や金文は故意に複雑化した「車」の象形を示しており、最初のデッサンの素晴らしさを壊しています。
 この字に限らずこのような複雑化した修飾や変形のある甲骨文字や金文は象形文字解読には不向きです。

 「田」の上下の「十」には確かに「男」の意味がありますが、人が乗っているイメージには繋がりません。

」=「十」+「田」+「十」:=棒+生む所+棒=>(粉を)生む手臼石=>まわるもの=>くるま

原始的な石臼は、円盤型の中央にコマの軸のように棒を突き通し、この軸を両手で持って石皿台の上で転がして粉を挽く手石臼です。別型の石を重ねたタイプは、上の石に突き刺した棒を持って回し粉を挽きます。この型の石臼が象形の元とすると、続く「軸」の字がうまく解読できません。

 また、手石臼の形から45度回転させた方がいいように思われますが、そうすると「棒」の意味がなくなってしまうのです。

 車を上から眺め「田」が荷台、横の二本棒が車輪で左右に動き出しそうにみえます。これは後代に発明された乗る車の形と偶然に一致したのでしょう。記憶の混乱を招く途中での字形の修正は今までの解読から考えられません。


 「車」の展開です。
」=「車」+「由」:=手石臼+上に伸びるもの=>手石臼を両手で持つ軸木=>じく木=>じく
」=「車」+「L」:=くるま+女の徳=>徳のある女の車=>女指導者の車=>おしのけ進む=>きしみ音を立てて進む=>きしむ音=>きしむ
」=「車」+「九」:=くるま+女首領=>女首領の車=>車に従う=>わだちを追う=>わだち
」=「車」+「欠」:=くるま+口を開けた男=>男の車=>ぐにゃぐにゃに動く車=>ぐらぐらするもの=>軟らかいもの=>やわらかい

 でこぼこ道を、歪んだ車であえぎながら転がり、荷物が揺れて振り落とされそうな男の車の動きが「軟」の意味の始まりとはユーモラスです。


「載-車」の解説は「戈」(その19)で図が入らなかったので、ここで追加しておきます。

載-車」=「土」+「戈」:=おとこ+武器/道具=>男の武器/道具(その15も参照)
」=「載-車」+「車」:=男の武器/道具+車=>車で使う男の武器/道具=>車にのせる=>のせる


***** 開始 関連する辞書の解字 *****

「軸」 解字:会意形声。意符の車(くるま)と、音符の由(支える意)とから成る。車の軸をしっかりささえるもの、輪の軸の意味。
「軋」 解字:形声。意符の車(くるま)と、音符の?(イツ、Lは誤り変わった形。おさえつける意=圧)とから成る。車でひく、また、車輪が擦れ合って音を立てる、「きしる」意。
「軌」 解字:形声。意符の車(くるま)と、音符の九(へだたりの意=隔)とから成る。輪と輪の隔たり、両輪の感覚の意。また、車輪の通ったあと、「わだち」の意。
「軟」 解字:会意形声。意符の車(くるま)と、音符の「而/大」(欠は誤り変わった形、やわらかい意)とから成る。車輪に蒲の穂を巻いて反動をやわらかくした車の意。ひいて「やわらかい」意に用いる。

「載」 解字:形声。意符の車(くるま)と、音符の「載-車」(積み重ねる意=積)とから成る。車にものを積み重ねる、「のせる」意。

***** 終了 関連する辞書の解字 *****

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【2006/08/19 20:45】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「厂」の追求-その23

「|+ノ」をもつ「厂」を検討します。まず辞書の解説を見てみましょう。
「厂」 部首解説:これを部首にして、がけ、石、岩などの形状をあらわす文字が出来ている。「がんだれ」、また「いしだれ」とも言う。
    解字:象形。切り立った崖の下の人の住む所の形にかたどる。もと、岩山のがけに造られた住居の意。


 いままで獲得した「一:=いち。体=>器官。地面。」を使って解いてみます。
「厂」=「|+ノ」+「一」:=垂れ下がるもの+からだ=>からだに垂れ下がるもの=>ふらさがるもの
「厂」=「|+ノ」+「一」:=垂れ下がるもの+器官=>垂れ下がる器官=>ぶらさがるもの
「厂」=「|+ノ」+「一」:=垂れ下がるもの+地面=>垂れ下がる地面=>がけ
と考えられますが、「圧」「灰」の字も解けません。


 そこで、方針変更です。逆に字から解きほぐすしかありません。「雁」の字を捕らえます(隹の解読は後述)。
「雁」=「厂」+「イ」+「隹」:=?+働く男+とり=>?して働く鳥=>かぎになり渡るがん=>がん

「厂」は上の式で両側から追うと「かぎ」もしくは「がぎ型」の意味に絞られます。一方「厂」は「一:=体」の要素を持ちますから、
「厂」=「|+ノ」+「一」:=?+体=>曲げる体=>曲げた体=>かぎ型の体=>かぎ型
と、間違いの入らない範囲で慎重に解釈を広げます。そして他の字で検証してみましょう。

」=「厂」+「土」:=曲げた体+座った男=>体を曲げて男を座らせる=>肩を押さえて座わらせる=>押さえて座らせる=>あっする
」=「土」+「土」:=つち+つち=>かさなった土
崖-山」=「厂」+「圭」=>かぎ型+重なった土=>かぎ型に重なった土=>がけ=>行き止まり=>おわり
」=「山」+「崖-山」=>やま+がけ=>山のがけ=>がけ
」:=「氵」+「涯-氵」:=みず+がけ=>崖の水流=>流れの終り=>流れのはて=>はて=>かぎり
」=「厂」+「火」:=曲がった体(曲がったもの)+火=>火で曲がったもの=>はい
と解けてきます。

 「崖-山」は後代に意味が「おわり」に変わったので、「おわり」と区別のため改めて山を付けて「がけ」の意味を表わしたものでしょう。また既に解読した「土:=座った男=>座る所=>地面=>つち」の意味の変化にはかなり長い時間が掛かっていますから、「圧」と「崖―山」の二つの字のできた時代は遥かに離れていたと思われます。


 外堀がはっきりしたので、いよいよ「厂」の中の「|+ノ」の分析です。
「厂」=「|+ノ」+「一」:=曲げた体
これで問題なく残りの字が解けたのですから、「|+ノ」は単なる「|」であると考えてみましょう。そして、悩みの種であった縦棒の下を左に曲げる形は、筆記上の経年変化または混乱から生じたものと解釈します。

これまで学んだ「象形の形:意味に合せた要素の構成」を使うと、「厂」は「|」と「一」を「腰を直角に曲げた体の形に合成した」と解釈できます。

改めて示します。
「厂」=「|」+「一」:=棒+体=>曲げた体=>かぎ型の体=>かぎ型

 縦棒「|」は(「真直ぐに落ちるもの」の意を除き)、これまでは遡る解読であったので棒の意味からはじめましたが、ここでは正確に意識の生まれた焦点、すなわち根本の意味であったと思われる「男根」からの意味の流れとして捉え直します。
」:=男根=>棒=>立った足

」=「|」+「一」:=立った足+体=>曲げた体=>曲がったもの=>かぎ型のもの=>かぎ型
广」=「厂」+「丶」:=かぎ型のもの+特別な=>等別にかぎ型のもの=>雨よけの囲い=>仮小屋=>小屋=>家
」=「广」+「車」:=小屋+車=>車の小屋=>車小屋=>くら
」=「广」+「丁」:=小屋+男の労働者=>労働者の小屋=>仕事をする小屋=>事務所(オフィス)
」=「广」+「土」:=家+男=>男の家=>男の家のある所=>いなか
」=「广」+「奄」:=家+纏足の男=>纏足の男の家=>仮の小屋=>いおり


 最後に今回関係した文字の辞書による解字を参考に追加しておきます。
「圧」 解字:ナシ(「厭/土」の解説)
「圭」 解字: 象形。土を積み重ねたさまにかたどる。(かどのある)たま。
「崖-山」解字:形声。音符の厂(がけ、いわお)と、音符の圭(きわ・ほとりの意=際)とから成る。がけや巌のそばの意。
「崖」 解字:会意形声。意符の山(やま)と、意符と音符を兼ねる「崖-山」(がけの意)とから成る。山のがけの意。
「涯」 解字:会意形声。意符の水(みず)と、意符と音符を兼ねる「崖-山」(かぎりの意)とから成る。水のかぎり、「きし」の意。
「灰」 解字:形声。意符の火(ひ)と、音符の又(厂は変わった形。消えて尽きる意)とから成る。火が消えて尽きたもの、「はい」の意。

「庫」 解字:意符の广(いえ)と、意符と音符を兼ねる車(くるまの意)とから成る。車を入れておく家の意。
「庁」 解字:(ナシ。「廳」の説明)
「庄」 解字:荘の草書体からの転化字。
「庵」 解字:形声。音符の广(いえ)と、音符の奄(おおう意)とから成る。草や茅などでおおっただけの「いおり」の意。

23gan.gif


 「|:=立った足」の獲得により、漢字解読は再び新たな段階に達することになります。近々「田」の付く文字「車」「角」「用」について解読する予定です。皆さんも挑戦してみてください。

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【2006/08/16 07:20】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「|+ノ」の展開-その22

 今回は「|+ノ」(その16)の成長を追いかけます。本来は検証のための手続きですが、「|+ノ」という単純な基本要素の解読が一気に進んだために、時間の流れに乗って戻ってきても全体の関係が壊れないかを確かめる必要があります。

|+ノ」(左はね縦棒)=「|」+「ノ」:=真直ぐ落ちるもの+特別なもの=>真直ぐ落ちる特別なもの=>くそ=>垂れ落ちるもの=>垂れ下がるもの

斤-丁」=「ノ」+「|+ノ」:=特に+垂れ下がるもの=>特別に垂れ下がるもの=>反りかえるもの=>反発するもの
」=「斤-丁」+「丁」:=反りかえるもの+働く男=>反りかえる使用人=>威張った使用人=>反抗する使用人=>反抗するもの=>処分するもの=>処分する=>処刑する

 「斤」は処刑する意味と「おの」の形にこじつけることにより、かなり後代になって「おの」の象形と解釈されたと考えられます。

」=「斤」+「丶」:=反抗するもの+特別に=>特別な反抗=>訴えること=>邪魔なこと=>しりぞける
」=「|+二」+「斤」:=て+処分する=>手で処分する=>おる
」=「木」+「斤」:=き+処分する=>木をさく=>さく
」=「石」+「斤」:=いし+処分する=>石で処分する=>きる

」=「新-斤」+「斤」:=夫婦+威張った使用人=>新婚家庭=>あたらしい(「新-斤」は後述)
」=「戸」+「斤」:=と+処刑する=>処刑する戸=>処刑するところ=>ところ
」=「車」+「斤」:=くるま+処刑する=>車で処刑する=>ひききる=>きる


 そして「斥」の展開です。
」=「|+二」+「斥」:=て+邪魔なもの=>手にした邪魔なもの=>さく。きる。
」=「木」+「斥」:=き+邪魔なもの=>邪魔な木=>さく
」=「言」+「斥」:=ことば+特別な反抗=>うったえる

 「斤」に関する「折」「析」の字は道具が未発達で、素手でしか「処分すること」ができなかった時代が見えてきます。
 「斫」「斬」で石器時代と車を使う時代との大きな時代の隔たりを感じます。

 「所」が最も単純な処刑場所であり、皆が指差して「そんな事すると所いきだよ!」とささやきあっている姿が浮かびます。
 「斬」に刀の要素がないことから、刀の生まれる以前は「戸」に続いて「車」が処刑道具であったようです。


 今回の各字に関しては比較のため、辞書の解字のみを追加しておきます。

「斤-丁」部首解説:これをもとにして出来ている字は特になく、文字の整理の上から設けられた部首。文字を構成する一画としては、たれているさま、斜めのさまなどを示す。の、のかんむり、はらいぼうなどという。
    解字:指示。右上から左下にひいたさまを示す。
「斤」 解字:形声。意符の「長いS」(柄の曲がったおの、ちょうなの意)と、音符の「斤-丁」(みみずのように体が曲がっている意)とから成る。柄の曲がっている「おの」の意。
「斥」 解字:(旧字「广+「朔-月」」の解説)
「新」 解字:意符の斤(おの)・木(き)と、音符の辛(立は省略形。切りそろえる意=剪)とから成る。おので木を切りそろえて得た薪の意。
「折」 解字:なし(旧字「屮/屮+斤」の解説)
「析」 解字:会意。意符の木(き)と、意符の斤(おの)とから成る。木を斧で細かく分ける、「さく」意。
「斫」 解字:形声。意符の斤(おの)と、音符
の石(いしさく、ひらく意)とから成る。おので切り開く意。ひいて、「きる」意に用いる。
「所」 解字:形声。意符の斤(おの)と、意符の戸(こつこつという木を切る音=許)とから成る。木を切るときの音の意。借りて、「ところ」の意に用いる。
「斬」 解字:意符の斤(おの)と、音符の車(けずる意=削)とから成る。斧で削る、「きる」意。
「拆」 解字:意符の手(て)と、音符の斥(おので切る意=断)とから成る。手に斧を持ってきる、「さく」意。
「柝」 解字:意符の木(き)と、音符の斥(=「广+朔-月」。うったえる意)とから成る。木をたたき割る意。
「訴」 解字:意符の言(ことば)と、音符の斥(=「广+朔-月」。うったえる意)とから成る。ことばで「うったえる」意。

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 以上「斤」の字が石器時代に出来た字であることが想定できます。そしてそれは「反りかえるもの」と「働く男」と言う二つの文字要素で出来上がっていたと考えられます。

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【2006/08/13 03:24】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |

「一」の追求-その21

 今回は「一」:=体 を更に追求します。「十」と同じ骨格でその構成位置が微妙に異なる「丁」とその仲間ですが、まずは辞書の内容の確認です。

「丁」 字義:くぎ、男子、力仕事の男
    解字:象形。くぎの形にかたどる。甲骨文の□、金文の?は上から、▼は横から見た形、篆文は下にひっぱった形。
「打」 字義:うつ
    解字:形声。意符の手(て)と、音符の丁(うつ意=撻)夜から成る。手でうつ意。
「町」 字義:まち。
    解字:形声。意符の田(た)と、音符の丁(ふむ意=踏)とから成る。田を踏むあぜ道の意。
「訂」 字義:ただす
    解字:形声。意符の言(ことば)と、音符の丁(公平の意=平)とから成る。公平な言葉の意。借りて「ただす」の意に用いる。
「汀」 字義:なぎさ。みづぎわ。
    解字:形声。意符の水(みず)と、音符の丁(たいらの意=平)とから成る。水際の平らな砂地の意。
「燈(灯)」 字義:ともしび。ひ。
    解字:(灯は燈の俗字で灯の解説はなし)

 「丁」は「十」に比べて「|」の位置が「一」の下にさがっています。
」=「一」+「|」:=体+男根=>男根を下げた体=>働く男=>男子/労働者=(形)=>くぎ
」=「|+二」+「丁」:=手+労働者=>手にした労働者=>たたいて導く=>たたく
」=「田」+「丁」:=生むもの+労働者=>労働者を生むもの=>労働者を生む所=>まち
」=「言」+「丁」:=ことば+労働者=>労働者の言葉=>なおす

「丁」は始め男子もしくは労働者の意味ですが、金属の利用が進み釘の形がちょうど「丁」になっていることから、後代に釘の象形とされたのでしょう。説文解字では「丁」を部首としていますが、康熙字典では部首にはなく「个」の新字体として「一」の部に解説されています。「町」は説文解字の解説を康熙字典がそのまま写しています。

」=「氵」+「丁」:=みず+労働者=>水を扱う男=>水際の男=>みずぎわ
」=「火」+「丁」:=ひ+労働者=>火を扱う男=>火を守る男=>目印の灯火=>ともしび
「汀」と「灯」は以上のように解読できるのですが、説文解字で「汀」は平偏に丁旁の解説となっています。また、「灯」は説文解字にはなく、康熙字典では「燈」に略字として添えられています。
 現存する「園丁」とか「馬丁」という言葉から「汀」「灯」という言葉の説明があっても不思議ではありませんが、どちらの辞書からも説明が得られません。


「一」:=体 が「丁」の字の中に解け込んで別の意味を獲得すると、更に「一」が加わって新たな文字ができます。「工」とその展開である「式」です。「工」にまた更に「一」が加わって「王」と成ります。「王」の派生である「玉」と「弄」も含めて、まず辞書の説明を見てみましょう。辞書の解説では「玉」の部首の仲に「王」があることに注意してください。

「工」 部首解説:これを部首にして工作・工人、ひいて仕事などの意を表わす文字ができている。
    字義:たくみ。わざ。しごと。
    解字:象形。おのの形にかたどる。おのの意。木材の工作におのを用いることから、ひいて「たくみ」などの意味に用いる。
「式」 字義:のり。てほん。かた。
    解字:形声。意符の工(しごと)と、音符の弋(しるしの意=則)とから成る。大工が寸法に従って印をつける意。ひいて、「のり」「のっとる」などの意味に用いる。
「王」 字義:かしら。きみ。
    解字:象形。おのの形にかたどる。大きなおのの意。借りて、君王の意に用いる。
「玉」 部首解説:これを部首として玉の種類・状態・製品などに関する意を表わす文字ができている。偏になると王の形となり、点が省略される。王(おう)は玉とは無関係であるが、字形が似ているところからこの部首に収める。
    字義:たま。
    解字:象形。たま(石)を三つ、紐で連結した形にかたどる。曲がった玉の連なった形から「たま」の意に用いる。
「弄」 字義:もてあそぶ
    解字:会意象形。意符の王(玉の源字。たま)と、意符と音符を兼ねる廾(両手で持つ意)とからなる。両手で玉をなでる意。


「一」:=体  を使うと「工」は意味の流れが二つ読み取れます。
」=「丁」+「一」:=労働者+体=>労働者の体=>鍛えられたもの=>磨かれた技を持つもの=>たくみ
」=「丁」+「一」:=労働者+体=>労働者の体=>鍛えられたもの=>磨かれた技=>磨かれたもの=>磨くこと=>磨く
」=「工」+「弋」:=磨からた技+くい=>磨かれたくい使いの技=>てほん=>かた
」=「工」+「一」:=磨かれた技+体=>磨かれた技の体=>最高の体=>強力な体=>おう
」=「王」+「丶」:=磨かれたもの+特別な=>特別に磨からたもの=>たま
「弄」=「王」+「廾」:=最高の体+垂れ流す=>?=>もてあそぶ

一見順調に進みましたが、ここまできて「弄」の字が解けないことが分かります。そして「玉」は「王」の部首でいいのに、なぜ辞書では「玉」の部に「王」が含まれているのかの疑問も解決していません。

」=「土」+「一」:=座る男+体=>座る男の体=>座る指導者=>指揮者=>かしら=>おう
この解釈も成立しますが「玉」の解釈には繋がりません。


 解釈を遡りどこか修正する必要があります。「十」と「士」の字の解釈を再検討しましょう(その19)。
「十」=「一」+「|」:=体+棒=>棒のある体=>男根のある体=>男根=>(一本の)棒=>はり
「士」=「十」+「一」:=男根+体=>男根の目立つ体=>青年男子

「士」の字は「十」の下に「一」が加わったと解釈していました。この解釈を変更し、逆に「逆丁」(丁の逆さま)をまず考え、それに上の横棒「一」が加わったと考えると、「一」が別の指示に近い意味となります。参考までに「逆丁」は設問解字にも康熙字典にも「上」の変形として説明されています。権威ある解説でも、現状に合わなければ無視して進みます。

「士」から「十」を決め直します。
逆丁」=「一」+「|」:=体+棒=>棒を立てた体
」=「逆丁」+「一」:=棒を立てた体+からだの部分(器官)=>男根のある体=>男根=>青年男子
」=「一」+「|」:=器官+棒=>棒である器官=>男根=>(一本の)棒=>はり

 結局、「一」は「体」の意味が変化し、体の一部、すなわち「器官」をも意味していると解釈できます。
」:=体=>体の一部=>器官


本題に戻ります。「王」の字は「工」+「一」ではなく、「士」+「一」と解釈し直します。

」=「士」+「一」:=男根+器官=>男根の先の部分=>亀頭=>男の先=>男の先頭=>おう
」=「王」+「丶」:=亀頭+特別なもの=>特にまるいもの=>たま
」=「王」+「廾」:=亀頭+垂れ流す=>亀頭が垂れ流す=>もてあそぶ

以上横棒の長さを無神経に扱っていますが、意味の上から王は最初中央の横棒が長かったと想定できます。「王」と「玉」に関しては後者の解釈が先に成立し、前者の「工」や「土」からの後付けの解釈も間違いではなく成立するということです。すっきりと解ければ、辞書の「王」「玉」の混乱ももはや取るに足りません。


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【2006/08/05 00:28】 | 漢字解読2 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
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 このブログは漢字の解読を紹介します。従来、部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。  「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。

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