象形文字の秘密
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「ノ」の追求-その11

「人偏」と「彳偏」
 白,自,手,壬,などの「ノ」の意味を取り出しましょう。似た形に縦棒が長く末端を左にはねた「丿」(ヘツ)があり、意味が全く異なりますから注意が必要です。仲間が多く意味の取り出し易い兄弟のような字、人偏(イ)と彳偏を手掛かりとします。最初に辞書の部首解説を調べます。

人偏〔部首解説〕:これを部首にして人の状態・動作・性質などを表す。この場合多く偏に成ってイの形をとる。
彳偏〔部首解説〕:これを部首にして、道、または道行く動作などに関する意を示す文字ができている。

 人偏の字はたくさんありますから、まづ彳偏の字から比較する仲間を選びます。

「彳偏」:役、従、待、行、徒、徐、往、復、征、律、得、御、徹
 辞書での彳偏の字の説明は正しいようです。更に良く眺めると人の仕事を示す言葉のようです。以上の字から従順で役目に忠実なサラリーマンが連想できます。

 次は比較のために人偏の中で特に動作に関する字を選びます。ただしなるべく画数が少なく後代にできた繁雑な字を避けます(厳密には康熙字典で確認する必要がありますが)。

「人偏」:仕、代、付、伺、促、伐、佐、作、供、使、侍、保、俢、係、借、任、伝、伍、等
 人偏の動作は彳偏に比べ身近な仕事の意味が共通に読み取れます。

 改めて両者を比べると、交通事情の未発達の原始社会での部族内の仕事と部族外の仕事が、各々人偏と彳偏の意味の違いのようです。
 歴史的には部族内の仕事を、人の仕事の意味を持つ人偏を付けて表わした。次第に部族間の関係が複雑になり、部族間の仕事を彳偏で表わした。ちょうど英語のダッシュが似て非なるものを表わすように、新たな仕事を表わす字として「ノ」を加えて彳偏を造ったと考えられます。人偏を動作に限り彳偏と対比させてまとめると、次のようになります。
」:働く人=>仕事をする人=>部族内の仕事
」:「イ」+「ノ」=人の仕事+特別な=>人の特別な仕事=>部族外の仕事

 試しに共に象形とされる二組の字、「木」「禾」と「米」「釆」に当てはめてみますが、これに先だって辞書の各解字を調べておきます。
「木」 解字:象形。立ち木の形にかたどる。字形は枝と幹と中根とわき根を表わす。
「禾」 解字:象形。穀物の未の垂れ下がった形にかたどる。種が分散するところから分かれ意。
「米」 解字:象形。もみがらから出た黍(きび)の粒のさまにかたどる。籾殻を破ってでた粒の意味。
「釆」 解字:象形。掌の上に種を乗せた様にかたどる。手で種をまく意。

 「ノ」の「特別の」または「特別な」という意味の繋がりで説明できるでしょうか?
「禾」=「木」+「ノ」:木+特別な=>特別な木=>米のなる木=>いね
少し無理を感じるので、なじみの深い辞書の木の象形図をとり入れ「木」の最初の意味が「草木」だったと変更しましょう。
」=「木」+「ノ」:草木+特別な=>特別な草木=>米のなる草木=>いね
」=「米」+「ノ」:米+特別な=>特別な米=>脱穀した米(白米)=>籾殻をとること=>解き放つこと

 途中で「木」の元の意味に一歩近付くことができたことは大きな収穫です。始め「木」は草木の意味で、時代が進み「ノ」を付けて稲を表わすようになると、残った草木の中で幹を持つものが「木」で表わされ、木質のないものを指す「草」の字が別に生まれたと考えられます。


 確認のために、既に学んだ「田」と組み合わせてみましょう。
」=「釆」+「田」:白米が生むもの=>白米がもたらすもの=>順番に見張ること=>順番=>ばん

 ちなみに辞書での「番」の解字を参考に付けておきます。
「番」解字:会意象形。意符(田)のはたけと、意符と音符を兼ねる釆(手で種を撒き散らす意)とからなる。田に手で種を撒く意。転じて、かわるがわるの意にもちいる。
 注:辞書の解字の中の「転じて」とは前後の意味の脈絡が切れるときの常用語ですから注意が必要です。

以上、今回「ノ」が確定できました。
」:「特別の」または「特別な」

*「」:草木=>き
*「」=「田」+「木」:生むもの+草木=>草木を生むもの=>かじつ
                 *は解読が進み更新した印です


 アルタミラの洞窟の芸術的壁画が約1万数千年前、最終氷河期が約1万年前、黄河文明で農耕が始まったのはおよそ6000年前、新石器時代の始まりは約5000年前です。
「木」から「禾」が生まれたのが6000年前頃以降ですから、漢字は旧石器時代に既に生まれていたのです。そして、成立がこの時代より古いと考えられる字、例えば「木」に関する考察は既に6000年以前の世界に踏み込んでおり、漢字に刻まれた歴史の探検でもあります。
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【2006/06/09 20:43】 | 漢字解読1 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) |
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 このブログは漢字の解読を紹介します。従来、部首はほとんど象形とされていますが、部首である「用」「角」「車」「里」「鬼」「竜」「魚」「黄」は部首「田」を含んでいます。  「田」を含む部首を「田」から派生した文字と説明しようとする探検です。

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定年後に漢字の解読を研究中
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